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ダンジョン編
99 side ルーナ
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ロスティさんとミーチャさんが行ってしまいました。
馬車に残されたのは私とドワーフのお二方だけです。
「ユグドラシルに誓って、私がお二人を必ずお守りしますね」
「かっこいいぃ」
「しびれるぅ」
ドワーフの二人は双子なのかな?
似ている……かな?
それにしても私の知っているドワーフ族とはちょっと印象が違うような気がする。
もうちょっと毛深いと言うか……
「お二方は本当にドワーフ族なのですか?」
「ドワーフぅ」
「祖先~」
つまり、ドワーフ族を祖先に持つ別の種族ってことかな?
ドワーフ族もユグーノ族も古い民族で、どちらかが起源とする同族と言われているんだけど、私ともあまり共通点がないかな。
大きな耳もないし……
でも、ちょっと気になることがあるの。
「その大きな手袋は使いにくくないですか?」
お二方は、私から見ても体が子供のように小さいのです。
それなのに、手袋だけは大きな人がつけるような物なのです。それがチグハグな感じがして……。
するとお二方が珍しく視線を合わせて、なにやら相槌を打ちました。
「ルーナぁ」
「特別ぅ」
そういうと手袋を片方だけ外してくれました。
ドワーフ族は外見的特徴も変わっているけど、一番の特徴と言えるのが鍛冶に対する情熱と技術です。
手袋の下にあった手は、大きく、そして固かった。
「これがドワーフの手なんですね。初めて見ました。どうもありがとうございました」
「ルーナ、友達ぃ」
「気にするなぁ」
友達……一瞬だけ涙が出そうになりました。
故郷を離れて、違う世界に来てしまって……ずっとすごい嫌な思いばかりしてきた。
それでもルカ姉様に会うためと思っていたけど、それも諦めかけそうになって……
優しいロスティさんとミーチャさんに出会って、そしてドワーフのお二方に出会うことが出来た。
それだけでも嬉しいことなのに、ドワーフのお二方は私を友達と……
初めての友達。
故郷では友達と呼べる存在はいませんでした。
ずっとユグドラシルへのお祈りをする毎日。
ユグドラシルと会話が出来ない私に近づいてくれる人はルカ姉様だけだった……。
「はい。私達、友達ですね!」
「ルーナぁ」
「笑ったぁ」
お二方との時間は本当に楽しかった。
ロスティさんとミーチャさんにも私の初めての友達を紹介したかった。
でも、急に外が騒がしくなって、男の人が馬車の扉を開けたんです。
「無事か!? 襲撃だ! ここは俺達が護衛するから、お前たちは馬車から出るんじゃないぞ」
確か、ロドという方だったかな?
それにしても襲撃?
お二方は心配そうに……していないですね。
さっきと調子は変わらない様子。さすがはドワーフ族です。
「お二方は必ず助け……」
「来るぅ」
「来るぅ」
何が来るんでしょうか? でもお二方は何かが分かっている様子。
「何が来るんですか?」
「巫女ぉ」
「姫ぇ」
巫女姫? 一体……まさか。
「ドワーフ族にも同じ伝承が残っていると言うんですか?」
お二方は巫女姫と繰り返し、言うだけ。
どういうことだろう?
窓から覗くと外では護衛役の人達がなにやら黒尽くめの衣装に身を包んだ人達と戦っていた。
私から見ても護衛役の人たちのほうが分が悪そう。
実力は護衛役の方達の方が多いんだけど、人数が違う。
護衛役は……10人。あれ? もっといたような気がするけど。
護衛役の人達がどんどん倒れていって、残すは馬車の目の前にいるロドという冒険者だけ。
もう私が戦うしかない……私に出来るかな?
でも、初めての友達をこんなところで失いたくない!
「私、絶対守るね」
「大丈夫ぅ」
「必要ないぃ」
やっぱり私には信用がないのかな?
そうだよね。何の力もない私には……違う!! 違うよ。
私には力がないなんて嘘。
ロスティさんからもらったスキルがある。攻撃だって出来る。
お二方を守る力だってある。
「私には力が……」
「来たぁ」
「待ってたぁ」
外の雰囲気が変わった気がした。
窓を覗くと……
「ロスティさん!! それにミーチャさんも。来てくれたんだ……」
ふと思った。
ドワーフのお二方は、ロスティさんとミーチャさんが来るのに気付いていたのかな?
ロスティさんは周りの襲撃者を倒して、ロドと言う人と何かを話していた。
ロスティさんたちが何かを指差していたから、その先を見たら火の玉が……
こっちに飛んでくる?
「伏せて下さい! 火の玉が飛んできます」
「大丈夫ぅ」
「安心」
何を言って……あれ? 火の玉が消えた?
どうしてでしょう?
ミーチャさんがずっと馬車の前に立って、何かの魔法を使っている?
そのおかげでしょうか?
ロスティさんはミーチャさんに何かを言って、少し離れた場所にいる襲撃者のところに突撃してしまいました。
大丈夫かな?
「ルーナ!! 無事なの?」
ミーチャさんが馬車の外から声を掛けてきました。
「ミーチャさん。ありがとうございます」
「ううん。いい? よく聞いて。今、私は防御結界を張っているわ。ここだけはどんな攻撃でも耐えられると思うの。でもね、いつまでも展開していられないから、私が合図をしたらドワーフを連れて、避難しなさい。私達のことは無視してもいいから」
ロスティさんとミーチャさんを置いてなんて……
「だめよ。ドワーフを守るってロスティと約束したんでしょ? それを守りなさい」
何も言えませんでした。
ロスティさんとミーチャさんは私を救ってくれた人。
お二方は初めての友達。
どっちも見捨てることなんて出来ない人達。
「大丈夫ぅ」
「安心」
お二方は私を慰めてくれます。
それともお二方には何かが見えているのでしょうか?
「ロスティ」
ロスティさん、ドワーフに名前を覚えてもらえるなんて、流石ですね。
「巫女ぉ」
ん? 何を言っているの?
巫女は……ミーチャさんの方でしょ?
褐色の肌、紫色の髪、そして黒い瞳……伝承通りの巫女の姿そのもの。
私はミーチャさんこそ、ユグドラシルのお導きを与えてくれる方だと……
ロスティさんはその恩恵をもらっているだけでは?
ドワーフのお二方にはロスティさんが巫女に見えるのかな?
たしかに黒い瞳だし……今は分かりませんね。
それからも火の玉が馬車に向かってくるけど、ミーチャさんの結界ですべてを弾いてくれている。
外を眺めていると……ロスティさんが……ニーダ!? に蹴られているじゃないですか!
「ミーチャさん!! ロスティさんが」
「知っているわ。でも動いちゃだめよ。ロスティもそれを望んでいないわ」
「でも……」
ミーチャさんは強い人です。
ロスティさんはきっとミーチャさんにとって一番大切な人。守ってあげたい人だというのに……
するとお二方が私の袖を引っ張ってきました。
「助けてぇ」
「ロスティ巫女ぉ」
お二方のこんな表情は初めてみました。
でもこれで決心がつきました。
友達のお願いを無下にするのは友達失格です!
私は無我夢中で馬車を飛び出していました。
「ルーナ。止まりなさい」
ミーチャさんの制止が遠くから聞こえてきました。
私が無我夢中で『解呪』を発動してしました。
なんで、そう思ったか分かりません。
その魔法が必要だと直感したんです。
そしたら、ロスティさんが立ち上がり、ニーダを倒してくれました。
なんとか無事に解決したそうです。
ミーチャさんに怒られるのが怖いので、ロスティさんと一緒に帰ることにします。
馬車に残されたのは私とドワーフのお二方だけです。
「ユグドラシルに誓って、私がお二人を必ずお守りしますね」
「かっこいいぃ」
「しびれるぅ」
ドワーフの二人は双子なのかな?
似ている……かな?
それにしても私の知っているドワーフ族とはちょっと印象が違うような気がする。
もうちょっと毛深いと言うか……
「お二方は本当にドワーフ族なのですか?」
「ドワーフぅ」
「祖先~」
つまり、ドワーフ族を祖先に持つ別の種族ってことかな?
ドワーフ族もユグーノ族も古い民族で、どちらかが起源とする同族と言われているんだけど、私ともあまり共通点がないかな。
大きな耳もないし……
でも、ちょっと気になることがあるの。
「その大きな手袋は使いにくくないですか?」
お二方は、私から見ても体が子供のように小さいのです。
それなのに、手袋だけは大きな人がつけるような物なのです。それがチグハグな感じがして……。
するとお二方が珍しく視線を合わせて、なにやら相槌を打ちました。
「ルーナぁ」
「特別ぅ」
そういうと手袋を片方だけ外してくれました。
ドワーフ族は外見的特徴も変わっているけど、一番の特徴と言えるのが鍛冶に対する情熱と技術です。
手袋の下にあった手は、大きく、そして固かった。
「これがドワーフの手なんですね。初めて見ました。どうもありがとうございました」
「ルーナ、友達ぃ」
「気にするなぁ」
友達……一瞬だけ涙が出そうになりました。
故郷を離れて、違う世界に来てしまって……ずっとすごい嫌な思いばかりしてきた。
それでもルカ姉様に会うためと思っていたけど、それも諦めかけそうになって……
優しいロスティさんとミーチャさんに出会って、そしてドワーフのお二方に出会うことが出来た。
それだけでも嬉しいことなのに、ドワーフのお二方は私を友達と……
初めての友達。
故郷では友達と呼べる存在はいませんでした。
ずっとユグドラシルへのお祈りをする毎日。
ユグドラシルと会話が出来ない私に近づいてくれる人はルカ姉様だけだった……。
「はい。私達、友達ですね!」
「ルーナぁ」
「笑ったぁ」
お二方との時間は本当に楽しかった。
ロスティさんとミーチャさんにも私の初めての友達を紹介したかった。
でも、急に外が騒がしくなって、男の人が馬車の扉を開けたんです。
「無事か!? 襲撃だ! ここは俺達が護衛するから、お前たちは馬車から出るんじゃないぞ」
確か、ロドという方だったかな?
それにしても襲撃?
お二方は心配そうに……していないですね。
さっきと調子は変わらない様子。さすがはドワーフ族です。
「お二方は必ず助け……」
「来るぅ」
「来るぅ」
何が来るんでしょうか? でもお二方は何かが分かっている様子。
「何が来るんですか?」
「巫女ぉ」
「姫ぇ」
巫女姫? 一体……まさか。
「ドワーフ族にも同じ伝承が残っていると言うんですか?」
お二方は巫女姫と繰り返し、言うだけ。
どういうことだろう?
窓から覗くと外では護衛役の人達がなにやら黒尽くめの衣装に身を包んだ人達と戦っていた。
私から見ても護衛役の人たちのほうが分が悪そう。
実力は護衛役の方達の方が多いんだけど、人数が違う。
護衛役は……10人。あれ? もっといたような気がするけど。
護衛役の人達がどんどん倒れていって、残すは馬車の目の前にいるロドという冒険者だけ。
もう私が戦うしかない……私に出来るかな?
でも、初めての友達をこんなところで失いたくない!
「私、絶対守るね」
「大丈夫ぅ」
「必要ないぃ」
やっぱり私には信用がないのかな?
そうだよね。何の力もない私には……違う!! 違うよ。
私には力がないなんて嘘。
ロスティさんからもらったスキルがある。攻撃だって出来る。
お二方を守る力だってある。
「私には力が……」
「来たぁ」
「待ってたぁ」
外の雰囲気が変わった気がした。
窓を覗くと……
「ロスティさん!! それにミーチャさんも。来てくれたんだ……」
ふと思った。
ドワーフのお二方は、ロスティさんとミーチャさんが来るのに気付いていたのかな?
ロスティさんは周りの襲撃者を倒して、ロドと言う人と何かを話していた。
ロスティさんたちが何かを指差していたから、その先を見たら火の玉が……
こっちに飛んでくる?
「伏せて下さい! 火の玉が飛んできます」
「大丈夫ぅ」
「安心」
何を言って……あれ? 火の玉が消えた?
どうしてでしょう?
ミーチャさんがずっと馬車の前に立って、何かの魔法を使っている?
そのおかげでしょうか?
ロスティさんはミーチャさんに何かを言って、少し離れた場所にいる襲撃者のところに突撃してしまいました。
大丈夫かな?
「ルーナ!! 無事なの?」
ミーチャさんが馬車の外から声を掛けてきました。
「ミーチャさん。ありがとうございます」
「ううん。いい? よく聞いて。今、私は防御結界を張っているわ。ここだけはどんな攻撃でも耐えられると思うの。でもね、いつまでも展開していられないから、私が合図をしたらドワーフを連れて、避難しなさい。私達のことは無視してもいいから」
ロスティさんとミーチャさんを置いてなんて……
「だめよ。ドワーフを守るってロスティと約束したんでしょ? それを守りなさい」
何も言えませんでした。
ロスティさんとミーチャさんは私を救ってくれた人。
お二方は初めての友達。
どっちも見捨てることなんて出来ない人達。
「大丈夫ぅ」
「安心」
お二方は私を慰めてくれます。
それともお二方には何かが見えているのでしょうか?
「ロスティ」
ロスティさん、ドワーフに名前を覚えてもらえるなんて、流石ですね。
「巫女ぉ」
ん? 何を言っているの?
巫女は……ミーチャさんの方でしょ?
褐色の肌、紫色の髪、そして黒い瞳……伝承通りの巫女の姿そのもの。
私はミーチャさんこそ、ユグドラシルのお導きを与えてくれる方だと……
ロスティさんはその恩恵をもらっているだけでは?
ドワーフのお二方にはロスティさんが巫女に見えるのかな?
たしかに黒い瞳だし……今は分かりませんね。
それからも火の玉が馬車に向かってくるけど、ミーチャさんの結界ですべてを弾いてくれている。
外を眺めていると……ロスティさんが……ニーダ!? に蹴られているじゃないですか!
「ミーチャさん!! ロスティさんが」
「知っているわ。でも動いちゃだめよ。ロスティもそれを望んでいないわ」
「でも……」
ミーチャさんは強い人です。
ロスティさんはきっとミーチャさんにとって一番大切な人。守ってあげたい人だというのに……
するとお二方が私の袖を引っ張ってきました。
「助けてぇ」
「ロスティ巫女ぉ」
お二方のこんな表情は初めてみました。
でもこれで決心がつきました。
友達のお願いを無下にするのは友達失格です!
私は無我夢中で馬車を飛び出していました。
「ルーナ。止まりなさい」
ミーチャさんの制止が遠くから聞こえてきました。
私が無我夢中で『解呪』を発動してしました。
なんで、そう思ったか分かりません。
その魔法が必要だと直感したんです。
そしたら、ロスティさんが立ち上がり、ニーダを倒してくれました。
なんとか無事に解決したそうです。
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