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ダンジョン編
92 ルーナの成人式?
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スキル屋に来ていた。
「本当に良いのか? ロスティのことは知っているから言うが……騙されていないか? 本当に本心から合意しているんだよな?」
ヤピンがやたらとルーナに詰め寄り、心配から来ているのか分からない問いかけを繰り返していた。
「大丈夫です。ユグドラシルのご加護がある方がそのような不埒はしません。全てはユグドラシルのお導きなのです」
さっきからこの返答の繰り返しだ。
ヤピンはきっと、ユグドラシルを知らない。
僕も知らないが、その言葉が出てくるので不安を感じているのだろう。
「まぁ、そこまでいうなら俺から文句はねぇ。まぁ、本心から合意していなかったら、スキルの譲渡は出来ねぇからな。やってみればいい話だが……しかし、信じられねぇな。自分のスキルを他人に譲るなんて……」
ローズさんからスキルを譲り受けたので、さほどスキルの受け渡しに抵抗を感じることはない。
だが、それはもらう側の言い分かも知れない。
渡す側はもしかしたら奪われるかも知れないという危険性が常にある。
特に今回は、譲渡の際に金の受け渡しがあるわけではない。
奪われ損になるかも知れない。
その覚悟をずっとルーナに問いただしていたのだろう。
ルーナはずっとユグドラシルを持ち出して、答えていたけど。
「じゃあ、ロスティに譲るスキルを思い浮かべてくれ。いいか? やるぞ?」
ヤピンは譲渡にかなり躊躇しているようだ。
まさか、本当にルーナを騙しているって思っているんじゃないだろうな?
一応、その確認は僕の方でもしつこいほどやったつもりだが……ヤピンの態度を見ていると不安になってくる。
「……終わったぞ。これで嬢ちゃんのスキルはロスティの物だ。ロスティ! 俺から言うことではないが、嬢ちゃんはロスティを信頼しているんだ。それを裏切るようなことはするんじゃないぞ」
最近は教会のいい噂を聞かないだけに、ヤピンみたいな教会関係者を見ると、最悪なのは中枢なの人間だけなのかも知れない……。
もっとも組織というものはそういう物かも知れないけど。
「分かっているよ。それにしても、ヤピンは子供が好きなのか? 随分と優しいじゃないか。僕と初めて会った時は……感じ悪かったな」
「悪かったな。冷やかしだと思ったんだよ。それに、俺に変な性癖を決めつけるな。俺は大人のスタイルのいい女が……」
ヤピンの好きな女性のタイプは別にいいだろう。
さて……ミーチャはどうかな。
実は、ルーナに使えそうなスキルがないか、探してもらっていたのだ。
「いいのが全く無いわ。だけど……ちょっと面白そうなのがあったわ」
ミーチャのスキルを見る目は確かだ。
今までも何度も上手くいっている。
ミーチャが指差して教えてくれたのは……
「水鉄砲? なにこれ?」
説明を見ると、指から水が出ると書いてある。
鉄砲? って言えるのかな?
ヤピンに聞こうと思ったが、100万トルグが必要なようだ。
「私の勘では、これはかなり使えるはずよ。それに回復魔法師は水との相性がいいと聞いたことがあるわ。そうでしょ?」
「あ? ああ。まぁ、そういう話はあるな。だが、だからといってそのゴミ……いや、『水鉄砲』スキルが飛躍的に使えるなんてことはないからな」
やっぱりゴミスキルだったのか。
それはそうか。
指から水が出るだけだもんな。
焚き火している時に水を用意しなくていいかも知れないな……
「ロスティがまずスキルを付けてね」
あれ? ああ。そういうことね。
『錬成師』スキルを一番使いこんでいるのは、もしかしたらミーチャかも?
「ヤピン。頼む」
「ああ。いいけどよ……スキルの上限数は大丈夫か? ロスティは相当スキルを持っているんじゃないのか?」
『錬成師』スキルをカウントするかは分からないが、『戦士』、『スキル授与』、『料理』、『無限収納』、そしてルーナから預かった『状態異常回復』、『解呪』……
全部で7つか……。
「ところで、スキルの上限数ってあるの?」
「まぁ、あると言われているな。五個って言う人もいれば、十個っていう人もいるがな……まぁ、上限に達すると受け取れないからな。注意しろよ。それにしても、上限を心配されるような男になったんだな。大したものだな、ロスティ」
ヤピンは最初から僕のことを見てくれている数少ない人だ。
そんな人に褒められるのは、すごく嬉しいことだ。
「ありがとう。とりあえず、『水鉄砲』スキルを頼む」
「ああ。500万トルグだな……ちょうど、受け取ったぜ。それじゃあ……」
新たに『水鉄砲』スキルを加えた。
ゼロだったスキルも随分と増えたものだな……。
スキル屋を後にした僕達は、ギルドの食堂に向かうことにした。
席についたがルーナがあまりいい顔をしていなかった。
「どうしたんだ?」
「あの……お金はいつかお返しするので、貸しておいてもらえないでしょうか? さっきのスキルは私のためのものなんですよね? それに装備とか食事とか……」
心配をさせてしまって、申し訳ないことをしてしまった。
こういうことは、もっと先に言っておくべきだったな。
「金の心配はしなくてもいいぞ。スキルや装備はパーティーとして、強化するために使った金だ。だから、今は気にしなくていいい。ルーナが稼げるようになったら、その時に相談しよう。食事は……」
「ルーナ。さっきも言ったけど、食事はロスティが奢ってくれるわ。そうでしょ?」
言い返せるような雰囲気ではない。
もっとも、今持っているお金はミーチャのお金でもあるからな……
「そういうことらしい。だから、ルーナは気にしなくていいよ。料理だって、好きなものを食べればいいし、お酒は……ルーナはまだ飲まないよね?」
酒に糸目をつけない相棒が増えることに恐怖を感じたが、ルーナはまだ酒は嗜まないようだ。
ちょっと、安心だ。
「あら? ルーナはまだ飲んだことがないの?」
ちょっと!! 何を言い出すつもりなんだ?
「ええ。一応、里では成人は迎えているのですが……こっちではまだ未成年の年なので……」
あれ? 考えてみれば、ルーナの年齢を知らないぞ。
14歳なのね。来年で成人か……
そうなると洗礼式にも参加させないといけないのかな?
「それなら必要ないですよ。すでに洗礼式は済ませてありますから。そうでないと、スキルなんて持っているわけないじゃないですか」
たしかに……。
しかし、ユグーノの民とは一体なんなんだろうか?
僕達とは違うのかな?
「ちなみに明日に15歳になるんですよ。ですから、明日から成人ですよ」
ん? なんか嫌な予感がする。
「ルーナ。よく言ったわ。そんな大切な日を祝わないのは、神に失礼だわ。明日は祝うことが出来るかしら?」
「明日は難しいかな。明後日はクエストに出るから、早めに休んだほうがいいだろう」
「だったら、今日しかないわね。ルーナ。一日早いけど、成人おめでとう」
ルーナはなんだか気恥ずかしそうにしていたが、すごく嬉しそうだ。
だったら、料理も奮発しないとな。
だが、奮発したのは料理だけではなかった。
「さあ、ルーナ。今日は飲むわよ!!」
「いやいや、ルーナはまだ未成年で……」
「あの……お酒にはちょっと興味があって……ダメでしょうか?」
そんな目で見られたら……。
結局、ルーナはミーチャ側に付いてしまった。
ミーチャは愕然としていた。
ルーナは底なしだった……。
「本当に良いのか? ロスティのことは知っているから言うが……騙されていないか? 本当に本心から合意しているんだよな?」
ヤピンがやたらとルーナに詰め寄り、心配から来ているのか分からない問いかけを繰り返していた。
「大丈夫です。ユグドラシルのご加護がある方がそのような不埒はしません。全てはユグドラシルのお導きなのです」
さっきからこの返答の繰り返しだ。
ヤピンはきっと、ユグドラシルを知らない。
僕も知らないが、その言葉が出てくるので不安を感じているのだろう。
「まぁ、そこまでいうなら俺から文句はねぇ。まぁ、本心から合意していなかったら、スキルの譲渡は出来ねぇからな。やってみればいい話だが……しかし、信じられねぇな。自分のスキルを他人に譲るなんて……」
ローズさんからスキルを譲り受けたので、さほどスキルの受け渡しに抵抗を感じることはない。
だが、それはもらう側の言い分かも知れない。
渡す側はもしかしたら奪われるかも知れないという危険性が常にある。
特に今回は、譲渡の際に金の受け渡しがあるわけではない。
奪われ損になるかも知れない。
その覚悟をずっとルーナに問いただしていたのだろう。
ルーナはずっとユグドラシルを持ち出して、答えていたけど。
「じゃあ、ロスティに譲るスキルを思い浮かべてくれ。いいか? やるぞ?」
ヤピンは譲渡にかなり躊躇しているようだ。
まさか、本当にルーナを騙しているって思っているんじゃないだろうな?
一応、その確認は僕の方でもしつこいほどやったつもりだが……ヤピンの態度を見ていると不安になってくる。
「……終わったぞ。これで嬢ちゃんのスキルはロスティの物だ。ロスティ! 俺から言うことではないが、嬢ちゃんはロスティを信頼しているんだ。それを裏切るようなことはするんじゃないぞ」
最近は教会のいい噂を聞かないだけに、ヤピンみたいな教会関係者を見ると、最悪なのは中枢なの人間だけなのかも知れない……。
もっとも組織というものはそういう物かも知れないけど。
「分かっているよ。それにしても、ヤピンは子供が好きなのか? 随分と優しいじゃないか。僕と初めて会った時は……感じ悪かったな」
「悪かったな。冷やかしだと思ったんだよ。それに、俺に変な性癖を決めつけるな。俺は大人のスタイルのいい女が……」
ヤピンの好きな女性のタイプは別にいいだろう。
さて……ミーチャはどうかな。
実は、ルーナに使えそうなスキルがないか、探してもらっていたのだ。
「いいのが全く無いわ。だけど……ちょっと面白そうなのがあったわ」
ミーチャのスキルを見る目は確かだ。
今までも何度も上手くいっている。
ミーチャが指差して教えてくれたのは……
「水鉄砲? なにこれ?」
説明を見ると、指から水が出ると書いてある。
鉄砲? って言えるのかな?
ヤピンに聞こうと思ったが、100万トルグが必要なようだ。
「私の勘では、これはかなり使えるはずよ。それに回復魔法師は水との相性がいいと聞いたことがあるわ。そうでしょ?」
「あ? ああ。まぁ、そういう話はあるな。だが、だからといってそのゴミ……いや、『水鉄砲』スキルが飛躍的に使えるなんてことはないからな」
やっぱりゴミスキルだったのか。
それはそうか。
指から水が出るだけだもんな。
焚き火している時に水を用意しなくていいかも知れないな……
「ロスティがまずスキルを付けてね」
あれ? ああ。そういうことね。
『錬成師』スキルを一番使いこんでいるのは、もしかしたらミーチャかも?
「ヤピン。頼む」
「ああ。いいけどよ……スキルの上限数は大丈夫か? ロスティは相当スキルを持っているんじゃないのか?」
『錬成師』スキルをカウントするかは分からないが、『戦士』、『スキル授与』、『料理』、『無限収納』、そしてルーナから預かった『状態異常回復』、『解呪』……
全部で7つか……。
「ところで、スキルの上限数ってあるの?」
「まぁ、あると言われているな。五個って言う人もいれば、十個っていう人もいるがな……まぁ、上限に達すると受け取れないからな。注意しろよ。それにしても、上限を心配されるような男になったんだな。大したものだな、ロスティ」
ヤピンは最初から僕のことを見てくれている数少ない人だ。
そんな人に褒められるのは、すごく嬉しいことだ。
「ありがとう。とりあえず、『水鉄砲』スキルを頼む」
「ああ。500万トルグだな……ちょうど、受け取ったぜ。それじゃあ……」
新たに『水鉄砲』スキルを加えた。
ゼロだったスキルも随分と増えたものだな……。
スキル屋を後にした僕達は、ギルドの食堂に向かうことにした。
席についたがルーナがあまりいい顔をしていなかった。
「どうしたんだ?」
「あの……お金はいつかお返しするので、貸しておいてもらえないでしょうか? さっきのスキルは私のためのものなんですよね? それに装備とか食事とか……」
心配をさせてしまって、申し訳ないことをしてしまった。
こういうことは、もっと先に言っておくべきだったな。
「金の心配はしなくてもいいぞ。スキルや装備はパーティーとして、強化するために使った金だ。だから、今は気にしなくていいい。ルーナが稼げるようになったら、その時に相談しよう。食事は……」
「ルーナ。さっきも言ったけど、食事はロスティが奢ってくれるわ。そうでしょ?」
言い返せるような雰囲気ではない。
もっとも、今持っているお金はミーチャのお金でもあるからな……
「そういうことらしい。だから、ルーナは気にしなくていいよ。料理だって、好きなものを食べればいいし、お酒は……ルーナはまだ飲まないよね?」
酒に糸目をつけない相棒が増えることに恐怖を感じたが、ルーナはまだ酒は嗜まないようだ。
ちょっと、安心だ。
「あら? ルーナはまだ飲んだことがないの?」
ちょっと!! 何を言い出すつもりなんだ?
「ええ。一応、里では成人は迎えているのですが……こっちではまだ未成年の年なので……」
あれ? 考えてみれば、ルーナの年齢を知らないぞ。
14歳なのね。来年で成人か……
そうなると洗礼式にも参加させないといけないのかな?
「それなら必要ないですよ。すでに洗礼式は済ませてありますから。そうでないと、スキルなんて持っているわけないじゃないですか」
たしかに……。
しかし、ユグーノの民とは一体なんなんだろうか?
僕達とは違うのかな?
「ちなみに明日に15歳になるんですよ。ですから、明日から成人ですよ」
ん? なんか嫌な予感がする。
「ルーナ。よく言ったわ。そんな大切な日を祝わないのは、神に失礼だわ。明日は祝うことが出来るかしら?」
「明日は難しいかな。明後日はクエストに出るから、早めに休んだほうがいいだろう」
「だったら、今日しかないわね。ルーナ。一日早いけど、成人おめでとう」
ルーナはなんだか気恥ずかしそうにしていたが、すごく嬉しそうだ。
だったら、料理も奮発しないとな。
だが、奮発したのは料理だけではなかった。
「さあ、ルーナ。今日は飲むわよ!!」
「いやいや、ルーナはまだ未成年で……」
「あの……お酒にはちょっと興味があって……ダメでしょうか?」
そんな目で見られたら……。
結局、ルーナはミーチャ側に付いてしまった。
ミーチャは愕然としていた。
ルーナは底なしだった……。
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