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冒険者編
51 複数スキル持ち
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ガルーダと一時的にパーティを組むことにした。
『戦士』スキルを持つ僕は当然、前衛。
ガルーダは……考えてみたら、よく知らないんだよな。
とはいえ、巨大な体、筋肉に身をまとっているところを見ると近接戦闘といった感じか?
「オレは魔法使いだ」
嘘だぁ!
こんなガチムチの魔法使いがいてたまるか!
何その筋肉。
魔法使いに絶対不要でしょ!
「魔法使いは魔力を使う。しかし、魔力を極限まで一点に集中すれば、肉体に少なからず負担がかかる。筋肉があれば……分かるな?」
分からないよ。
全然分からないよ。
その理屈だったら、魔法使い、みんなムキムキだよ?
あのローブの下は、皆ムキムキ?
絶対、嘘だろ!
「魔法属性は土だ。石、岩、土を使った広範囲攻撃が得意だな。土壁で一時的に防御結界も作れるぞ」
おお。話を聞くと、なんだか凄そうだ。
というか、魔法って便利そう。
ミーチャの闇魔法は……まぁ、考えないでおこう。
適材適所って言う言葉があるからね。
「実は、オレにはもう一つスキルがある」
二つスキル持ち……なんて贅沢な人なんだ……。
しかし、複数のスキルってことは……
「もちろん、スキル屋だ。冒険者十年分の蓄えを全て費やして買ったものだ。いいか? 戦闘は命がけだ。必要なスキルだと思ったら、金を惜しむなよ」
なるほど……その考えは正しいな。
土魔法だけでも戦闘はかなり有利にすることが出来るというのに……
さらに、有利になるということだろうか……
気になるな。
「あとで見せてやる」
ニヤッと笑っている。
これは期待を裏切らない笑いだ。
もう一つこそ、近接戦闘向きのスキルのはずだ。
きっと、そうに違いない。
ガルーダは一応、後衛ということになった。
納得が全くいかなかったけどね。
「油断するな! 来るぞ!」
ガルーダはさすがは歴戦の猛者だ。
モンスターを探知する力が優れている。
茂みに隠れているモンスターもすぐに見つけ出すことが出来るのだ。
おかげで先制攻撃を仕掛けることが出来、難なくモンスターを撃破していく。
どうやら、ジャイアントウルフみたいな強敵はそんなに遭遇しないようだ。
「やはり、小僧の実力は本物だな。オレの出る出番がないな」
ふと、思った。もしかして、ガルーダのもう一つのスキルって……
「だから、油断するなといったではないか! むぅ……石つぶて!!」
ガルーダが放った無数の小さな石がモンスターの戦意を大いにくじく。
その隙……木聖剣の斬撃で叩き潰す!!
やはり、剣術でモンスターを叩きつけるというのは、やりにくいな……
「小僧。いい連携だった」
なるほど……これがパーティの戦い方か。
頼れる仲間がいれば、心強いな。
頼れる仲間……ミーチャ、か。
それにしても、少し気になることがある。
「ガルーダさんは、魔法に結構な溜めがあるんですね」
知る限り、ストーンバレットは土魔法では初歩の魔法だ。
汎用性が高く、発動に時間がかからないのが特徴だ。
しかし、ガルーダは発動の溜めが少し長く感じたのだ。
もっとも、ほんの一呼吸程度だけど……
「ほお。それに気づいたか。ならば、ストーンバレットで作り出した小石を拾ってみるがいい」
言っている意味が分からなかったけど、試しに拾ってみると……
「これは……?」
小石が……ガルーダ?
いや、ガルーダを模した小石だ。
ひと目で分かるほど、それは精巧に作られていた。
「これがオレのもう一つのスキル『造形師』だ。覚えておけ、二つのスキルを融合することで戦闘を豊かにすることができるんだ」
戦闘を生活みたいに言わないでくれ。
自分を模《かたど》った石をモンスターにぶつけたからって何だって言うんだ!!
ダメージが増えるならともかく……
「分かっていないな。これは……美学だ!」
格好いいこと言っているけど、この人とパーティを組んでいることに不安を感じ始めた。
それからの戦いではガルーダは積極的に土魔法を使うことになった。
強敵がにわかに増え始めて、ガルーダの探知と僕の攻撃だけでは追いつかなくなったからだ。
「小僧。背後は任せろ!」
基本的に魔法使いは近接戦闘には向かない。
この言葉の意味は、土魔法の防御結界……
「むう……土壁!!」
このおかげで背後に心配はなくなる。
それほど強固な壁なのだ。
この辺りのモンスター程度ではまず打ち破ることは難しいだろう。
でも……
「むう……石つぶて!!」
「むう……石壁!!」
「むう……落とし穴!!」
溜めの時の、むう……がだんだんウザくなってきた。
「もういい加減にして下さいよ!!」
飛ぶ石もガルーダ、土壁もガルーダ、落とし穴の底にもガルーダ、ガルーダ、ガルーダ、……。
戦闘に集中が出来ないんだ!!
「あの……戦闘中はその『造形師』スキルは封印を……」
「ならん! これは俺の冒険者として大切なこと。どんな事情があっても、止めるわけにはいかないことだ。それに、知っているか? 実はガルーダ石として、それなりの値段がついていることを」
うん。知らない。
知りたくもないかな。そんな豆知識。
ガルーダの土魔法にいささかの不安を感じながら、先に進むことにした。
「小僧。オレの二つめのスキルは秘密で頼むぞ。代わりにガルーダ石をプレゼントしよう」
受け取ったガルーダ石を躊躇なく投げ飛ばした。
ガルーダの拍子抜けした悲鳴が林に木霊した。
そのおかげで、モンスターが集まってきたことは言うまでもなかった……。
『戦士』スキルを持つ僕は当然、前衛。
ガルーダは……考えてみたら、よく知らないんだよな。
とはいえ、巨大な体、筋肉に身をまとっているところを見ると近接戦闘といった感じか?
「オレは魔法使いだ」
嘘だぁ!
こんなガチムチの魔法使いがいてたまるか!
何その筋肉。
魔法使いに絶対不要でしょ!
「魔法使いは魔力を使う。しかし、魔力を極限まで一点に集中すれば、肉体に少なからず負担がかかる。筋肉があれば……分かるな?」
分からないよ。
全然分からないよ。
その理屈だったら、魔法使い、みんなムキムキだよ?
あのローブの下は、皆ムキムキ?
絶対、嘘だろ!
「魔法属性は土だ。石、岩、土を使った広範囲攻撃が得意だな。土壁で一時的に防御結界も作れるぞ」
おお。話を聞くと、なんだか凄そうだ。
というか、魔法って便利そう。
ミーチャの闇魔法は……まぁ、考えないでおこう。
適材適所って言う言葉があるからね。
「実は、オレにはもう一つスキルがある」
二つスキル持ち……なんて贅沢な人なんだ……。
しかし、複数のスキルってことは……
「もちろん、スキル屋だ。冒険者十年分の蓄えを全て費やして買ったものだ。いいか? 戦闘は命がけだ。必要なスキルだと思ったら、金を惜しむなよ」
なるほど……その考えは正しいな。
土魔法だけでも戦闘はかなり有利にすることが出来るというのに……
さらに、有利になるということだろうか……
気になるな。
「あとで見せてやる」
ニヤッと笑っている。
これは期待を裏切らない笑いだ。
もう一つこそ、近接戦闘向きのスキルのはずだ。
きっと、そうに違いない。
ガルーダは一応、後衛ということになった。
納得が全くいかなかったけどね。
「油断するな! 来るぞ!」
ガルーダはさすがは歴戦の猛者だ。
モンスターを探知する力が優れている。
茂みに隠れているモンスターもすぐに見つけ出すことが出来るのだ。
おかげで先制攻撃を仕掛けることが出来、難なくモンスターを撃破していく。
どうやら、ジャイアントウルフみたいな強敵はそんなに遭遇しないようだ。
「やはり、小僧の実力は本物だな。オレの出る出番がないな」
ふと、思った。もしかして、ガルーダのもう一つのスキルって……
「だから、油断するなといったではないか! むぅ……石つぶて!!」
ガルーダが放った無数の小さな石がモンスターの戦意を大いにくじく。
その隙……木聖剣の斬撃で叩き潰す!!
やはり、剣術でモンスターを叩きつけるというのは、やりにくいな……
「小僧。いい連携だった」
なるほど……これがパーティの戦い方か。
頼れる仲間がいれば、心強いな。
頼れる仲間……ミーチャ、か。
それにしても、少し気になることがある。
「ガルーダさんは、魔法に結構な溜めがあるんですね」
知る限り、ストーンバレットは土魔法では初歩の魔法だ。
汎用性が高く、発動に時間がかからないのが特徴だ。
しかし、ガルーダは発動の溜めが少し長く感じたのだ。
もっとも、ほんの一呼吸程度だけど……
「ほお。それに気づいたか。ならば、ストーンバレットで作り出した小石を拾ってみるがいい」
言っている意味が分からなかったけど、試しに拾ってみると……
「これは……?」
小石が……ガルーダ?
いや、ガルーダを模した小石だ。
ひと目で分かるほど、それは精巧に作られていた。
「これがオレのもう一つのスキル『造形師』だ。覚えておけ、二つのスキルを融合することで戦闘を豊かにすることができるんだ」
戦闘を生活みたいに言わないでくれ。
自分を模《かたど》った石をモンスターにぶつけたからって何だって言うんだ!!
ダメージが増えるならともかく……
「分かっていないな。これは……美学だ!」
格好いいこと言っているけど、この人とパーティを組んでいることに不安を感じ始めた。
それからの戦いではガルーダは積極的に土魔法を使うことになった。
強敵がにわかに増え始めて、ガルーダの探知と僕の攻撃だけでは追いつかなくなったからだ。
「小僧。背後は任せろ!」
基本的に魔法使いは近接戦闘には向かない。
この言葉の意味は、土魔法の防御結界……
「むう……土壁!!」
このおかげで背後に心配はなくなる。
それほど強固な壁なのだ。
この辺りのモンスター程度ではまず打ち破ることは難しいだろう。
でも……
「むう……石つぶて!!」
「むう……石壁!!」
「むう……落とし穴!!」
溜めの時の、むう……がだんだんウザくなってきた。
「もういい加減にして下さいよ!!」
飛ぶ石もガルーダ、土壁もガルーダ、落とし穴の底にもガルーダ、ガルーダ、ガルーダ、……。
戦闘に集中が出来ないんだ!!
「あの……戦闘中はその『造形師』スキルは封印を……」
「ならん! これは俺の冒険者として大切なこと。どんな事情があっても、止めるわけにはいかないことだ。それに、知っているか? 実はガルーダ石として、それなりの値段がついていることを」
うん。知らない。
知りたくもないかな。そんな豆知識。
ガルーダの土魔法にいささかの不安を感じながら、先に進むことにした。
「小僧。オレの二つめのスキルは秘密で頼むぞ。代わりにガルーダ石をプレゼントしよう」
受け取ったガルーダ石を躊躇なく投げ飛ばした。
ガルーダの拍子抜けした悲鳴が林に木霊した。
そのおかげで、モンスターが集まってきたことは言うまでもなかった……。
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