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新スキル編
14 仮面夫婦?
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ミーチャは大丈夫って言っていたけど、やっぱり信じられない。だって、いつも見ているミーチャが目の前にいるんだ。
僕は指輪を見つめた。これから幻影魔法が放たれ続けているなんて……。
それでもミーチャはどんどん先に進むものだから、警戒しながらもボリの街に入った。
ボリの街は早朝ということもあり、人の姿はまばらだった。
それでもその辺りでは大きな街であるボリでは、商人らしい人達が足早に過ぎ去っていく姿を見ることが出来た。
「そんなところに突っ立てないで行きましょう」
どうやら、ぼーっとしているように見られてしまったようだ。一応、警戒する意味で慎重に行動しているつもりなんだけど。
それにしても、ミーチャには不安というものが無いのだろうか?
実は、公国を出てから、不安でいっぱいだ。実家を勢いで出てきてしまったが、実際、生活力は皆無だ。全て、使用人がやってくれていたから。
出来ることを見つけることが難しいほどだ。今までやって来ことを振り返ってみる。剣を振るう。剣を振るう。読書をする……剣を振るう。考えてみると、剣しか振るってなかったんだな。
その時はこれしかやることがないと言うほど夢中になっていたが……生活にはとても役に立たなそうだ。
こうなるとミーチャに頼らないと生きていけないのだろうか? いや、待てよ。ミーチャも王家出身だ。僕と境遇は一緒のはず。
……僕達の生活力は終わっているのではないか?
「ミーチャ。変なことを聞くけど、着替えとか出来る?」
「はぁ? 本当に変なことね。出来るに決まっているじゃない」
何!? 出来るだと!! ハッキリ言うが、ボタンをつけるのはちょっと苦手だ。
ミーチャが僕を軽蔑するような目を向けてきたが、何かを合点したように明るい表情になった。
「なるほどね。生活力に不安があるのね。安心して。私は一通りの家事とかは出来るわよ。私には召使なんてものはいなかったからね」
なんとも悲しい事実を知ってしまった。でも前向きに捉えよう。そのおかげで、ミーチャに生活力があるんだから。
「へへ。ミーチャさん、肩でも揉みましょうか?」
「なによ。気持ち悪いわね。これから新しい『私達の』生活が始まるんだから。もっと堂々としていてよね」
冗談のつもりだったが、かなり気持ち悪そうな顔をされてしまった。
「……はい」
僕達がまず向かった先は早朝から開いている商売人向けの食堂だ。
すでに多くの人が集まっていて、店先までいい香りが漂っている。
「ねっ? 大丈夫でしょ?」
匂いに心を奪われてしまっていたが、なるほど……誰にも疑いがあるような目で見られることはなかった。
むしろ僕が警戒するあまり、キョロキョロしているところを訝しげに見られたことはあったが……。
「さあ、食べに行きましょ」
ミーチャはこういう店によく来るのだろうか?
慣れたような足運びで混み合った店内に入っていく。僕も付いていくが、人混みの中に入るのはほとんど経験がない。
避けたつもりでもぶつかってしまい、何度も頭を下げながら、ミーチャにしがみつくように付いていく。なんて情けないんだ。
「遅いわよ!!」
なんだか、ミーチャに怒られてばかりだ。……自信を無くしそう。
そんな情けない姿を食堂のおばちゃんがニコニコした顔で見ていた。何がそんなに嬉しいんだ?
「おや? 新婚さんかい? 熱いねぇ」
「新婚? 何のことだ? 僕にさっぱり……ゲフッ」
その時、ミーチャの肘が僕の腹にクリーンヒットした。
「ええ。そうなんですよ。昨日、結婚したばかりで」
「そう。じゃあ、ちょっとおまけしちゃうね。これから大変だろうけど、二人で頑張るんだよ」
「ありがとうございます!! 『二人で』頑張りますね」
温かな食事を載せたトレイを受取るときも、おばちゃんが「お幸せに」と言ってきたが、何を言っているのか、さっぱり分からなかった。
とにかくミーチャが確保してくれた席に向かおう。
「あのおばちゃんは何を言っていたんだ?」
「さあ? 何をでしょうね?」
明らかに惚けているのが分かるが……まずは食事だ!! 目の前に美味しそうな物があるのに我慢なんてしていられない。
「おお!! 旨いな!! 下々の味も捨てたもんではないんだな」
そう言うと、ミーチャは今日で一番怒ったような表情を浮かべた。
「ロスティ。私達は全てを捨てて、ここにいるの。下々なんて言葉は使うべきではないわ」
不覚だった。未だに公族である気分が抜けていなかった。
「ごめん。本当にミーチャは凄いよ。君は僕に欠けている部分をたくさん持っているみたいだ。これからも色々と教えてくると助かるよ」
「ふふっ。妻なんだから当たり前でしょ」
ミーチャはおばちゃんに言われた言葉が相当嬉しかったようで、何度も口にしていた。まぁ、ミーチャが嬉しそうなんだから、いいか……。
「それで? これからどうする?」
「やっぱりスキル屋に行くしか無いわね」
スキル屋か……どうも気乗りしないんだよな。
「本当に大丈夫かな? スキルって高いんだろ?」
「いいの!! どうせお金なんていつか無くなっちゃうんだし。将来性があることに使ったほうが絶対いいわ」
ミーチャはなんだかんだで正しいことを言っている。機転も聞くし、僕の見えない部分もしっかりと見ている感じがする。ここは素直に従っておいたほうがいいかな。
なんだかんだでスキルが手に入るかもしれないというのは、後ろ髪をぐいぐい引っ張られる感じだ。
「分かったよ。スキル屋か……なんだか楽しみだな」
「ロスティはお気楽よね」
「そうかな? 僕はミーチャの方が気楽に見えるよ。僕なんて街に入ってからずっと緊張しっぱなしだよ」
そんな会話をしながらも、ミーチャはずっと僕の方をニコニコしながら見ている。
「な、なに? 食べかすでも付いてる?」
そんな返ししか出来ない自分に嫌気が差す。
「ううん。違うの。ロスティが目の前にいることがすごく不思議で。しかも、これからずっと一緒に居られるなんて……わたし、すごく幸せよ」
「ん? 僕もミーチャと一緒にいられて安心だよ。僕はまだ何も出来ないかも知れないけど、ミーチャに迷惑がかからないように頑張るよ」
ほのぼのとした時間は過ぎていった。
僕は指輪を見つめた。これから幻影魔法が放たれ続けているなんて……。
それでもミーチャはどんどん先に進むものだから、警戒しながらもボリの街に入った。
ボリの街は早朝ということもあり、人の姿はまばらだった。
それでもその辺りでは大きな街であるボリでは、商人らしい人達が足早に過ぎ去っていく姿を見ることが出来た。
「そんなところに突っ立てないで行きましょう」
どうやら、ぼーっとしているように見られてしまったようだ。一応、警戒する意味で慎重に行動しているつもりなんだけど。
それにしても、ミーチャには不安というものが無いのだろうか?
実は、公国を出てから、不安でいっぱいだ。実家を勢いで出てきてしまったが、実際、生活力は皆無だ。全て、使用人がやってくれていたから。
出来ることを見つけることが難しいほどだ。今までやって来ことを振り返ってみる。剣を振るう。剣を振るう。読書をする……剣を振るう。考えてみると、剣しか振るってなかったんだな。
その時はこれしかやることがないと言うほど夢中になっていたが……生活にはとても役に立たなそうだ。
こうなるとミーチャに頼らないと生きていけないのだろうか? いや、待てよ。ミーチャも王家出身だ。僕と境遇は一緒のはず。
……僕達の生活力は終わっているのではないか?
「ミーチャ。変なことを聞くけど、着替えとか出来る?」
「はぁ? 本当に変なことね。出来るに決まっているじゃない」
何!? 出来るだと!! ハッキリ言うが、ボタンをつけるのはちょっと苦手だ。
ミーチャが僕を軽蔑するような目を向けてきたが、何かを合点したように明るい表情になった。
「なるほどね。生活力に不安があるのね。安心して。私は一通りの家事とかは出来るわよ。私には召使なんてものはいなかったからね」
なんとも悲しい事実を知ってしまった。でも前向きに捉えよう。そのおかげで、ミーチャに生活力があるんだから。
「へへ。ミーチャさん、肩でも揉みましょうか?」
「なによ。気持ち悪いわね。これから新しい『私達の』生活が始まるんだから。もっと堂々としていてよね」
冗談のつもりだったが、かなり気持ち悪そうな顔をされてしまった。
「……はい」
僕達がまず向かった先は早朝から開いている商売人向けの食堂だ。
すでに多くの人が集まっていて、店先までいい香りが漂っている。
「ねっ? 大丈夫でしょ?」
匂いに心を奪われてしまっていたが、なるほど……誰にも疑いがあるような目で見られることはなかった。
むしろ僕が警戒するあまり、キョロキョロしているところを訝しげに見られたことはあったが……。
「さあ、食べに行きましょ」
ミーチャはこういう店によく来るのだろうか?
慣れたような足運びで混み合った店内に入っていく。僕も付いていくが、人混みの中に入るのはほとんど経験がない。
避けたつもりでもぶつかってしまい、何度も頭を下げながら、ミーチャにしがみつくように付いていく。なんて情けないんだ。
「遅いわよ!!」
なんだか、ミーチャに怒られてばかりだ。……自信を無くしそう。
そんな情けない姿を食堂のおばちゃんがニコニコした顔で見ていた。何がそんなに嬉しいんだ?
「おや? 新婚さんかい? 熱いねぇ」
「新婚? 何のことだ? 僕にさっぱり……ゲフッ」
その時、ミーチャの肘が僕の腹にクリーンヒットした。
「ええ。そうなんですよ。昨日、結婚したばかりで」
「そう。じゃあ、ちょっとおまけしちゃうね。これから大変だろうけど、二人で頑張るんだよ」
「ありがとうございます!! 『二人で』頑張りますね」
温かな食事を載せたトレイを受取るときも、おばちゃんが「お幸せに」と言ってきたが、何を言っているのか、さっぱり分からなかった。
とにかくミーチャが確保してくれた席に向かおう。
「あのおばちゃんは何を言っていたんだ?」
「さあ? 何をでしょうね?」
明らかに惚けているのが分かるが……まずは食事だ!! 目の前に美味しそうな物があるのに我慢なんてしていられない。
「おお!! 旨いな!! 下々の味も捨てたもんではないんだな」
そう言うと、ミーチャは今日で一番怒ったような表情を浮かべた。
「ロスティ。私達は全てを捨てて、ここにいるの。下々なんて言葉は使うべきではないわ」
不覚だった。未だに公族である気分が抜けていなかった。
「ごめん。本当にミーチャは凄いよ。君は僕に欠けている部分をたくさん持っているみたいだ。これからも色々と教えてくると助かるよ」
「ふふっ。妻なんだから当たり前でしょ」
ミーチャはおばちゃんに言われた言葉が相当嬉しかったようで、何度も口にしていた。まぁ、ミーチャが嬉しそうなんだから、いいか……。
「それで? これからどうする?」
「やっぱりスキル屋に行くしか無いわね」
スキル屋か……どうも気乗りしないんだよな。
「本当に大丈夫かな? スキルって高いんだろ?」
「いいの!! どうせお金なんていつか無くなっちゃうんだし。将来性があることに使ったほうが絶対いいわ」
ミーチャはなんだかんだで正しいことを言っている。機転も聞くし、僕の見えない部分もしっかりと見ている感じがする。ここは素直に従っておいたほうがいいかな。
なんだかんだでスキルが手に入るかもしれないというのは、後ろ髪をぐいぐい引っ張られる感じだ。
「分かったよ。スキル屋か……なんだか楽しみだな」
「ロスティはお気楽よね」
「そうかな? 僕はミーチャの方が気楽に見えるよ。僕なんて街に入ってからずっと緊張しっぱなしだよ」
そんな会話をしながらも、ミーチャはずっと僕の方をニコニコしながら見ている。
「な、なに? 食べかすでも付いてる?」
そんな返ししか出来ない自分に嫌気が差す。
「ううん。違うの。ロスティが目の前にいることがすごく不思議で。しかも、これからずっと一緒に居られるなんて……わたし、すごく幸せよ」
「ん? 僕もミーチャと一緒にいられて安心だよ。僕はまだ何も出来ないかも知れないけど、ミーチャに迷惑がかからないように頑張るよ」
ほのぼのとした時間は過ぎていった。
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