オークなんかにメス墜ちさせられるわけがない!

空倉霰

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素直な自分になる少年

好きな服はどれ?

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 「――ほら! 見てお姉ちゃん、やっぱりコレとか良いんじゃないかな? かわいいよ~!」
「ええっ! い、いや。そんなの似合わないって。ボク背が低いし……」
「だからあ、似合う似合わないじゃなくて。着たいか着たくないかだってばっ! ほら、どうなのっ! これ着たいか着たくないか……さあ、どっちっ!」
「う、ううん……それは……」

 そんな風にマサトは、ボクに色々な服を見せてくれていた。秋の季節に合わせた、キャラメル色のシャツで……カジュアルなカフェの店員さん風とか。ちょっと可愛く、桃色で合わせた……メイド服だったりとか。

 どうやって集めたんだってツッコミたくなるぐらいのラインナップを、マサトはそこらかしらから持ち出してくれる。ボクの着たい服を探し当てるために、次から次へと色々な服を。

 だけどその度にボクの優柔不断が発動し。今一つ「コレだ」というモノを決められずにいた。どれも綺麗だし、可愛いんだけど。自分が本当に着たいのか、って聞かれると……またよくわからなくて。

「ううんっ、手強いねお姉ちゃん。これでも駄目なんて。思わぬ強敵……」
「ま、マサト。アレだよ? これを着て欲しい、って言ってくれたら、別にそれでも……」
「いや駄目だねっ! ちゃんとお姉ちゃんがときめくものじゃないと、おれは納得出来ないんだ……!」

 そう言ったマサトは、再びボクの服を求めて陳列棚を巡る。これはどうか、あれはどうかと次々と試してみるも。やっぱりボクは決められない。

 どうしてなんだろう。どうしてボクはこうも、優柔不断なんだろう。たかが服くらい、すぐにパッと決めたらいいのに。

「……あれ?」

 そうしてボクが悩んでいると。ふとボクは、気になる部分に視線を移した。そこは同じように服が並べられているのだけれど、なぜかマサトはそこに触れようとしない。

 ボクはそれが気になって、あえてそこに置いてある服を手に取ってみた。するとそれは、『執事服』ぽかったわけで。純白のシャツに、漆黒のベスト。それに黒のショートパンツと、かなり可愛さ全降りではあるけども。結構悪くない。

 にしても変だな。いつものマサトなら、これを着てセックスしたいとか言いそうなのに……。特にこの太ももが出る感じとか、好き以外の何者でもないのに。

「ね、ねえマサト。これは駄目なの?」
「えっ? ……ああっ! い、いやっ……! あはは、それは違うんだよっ。ちょっとあの、ほらっ! 悪ノリ用でさっ! うんっ……!」
「ん……? でも、マサトこういうの嫌い?」
「……いやっ。き、嫌いじゃないけどっ。何て言うか、あの。そのっ……」

 するとマサトは、妙に顔を赤らめながら俯いてしまった。指をもじもじとさせながら、何かを言いにくそうにしていて……。

「……が、我慢出来そうに、ないからっ……」
「えっ? が、我慢?」
「だってそれ、確かにパッと見だとカッコいい服ではあるけどっ。それ、体のラインがハッキリ浮き出るから……。下手にお姉ちゃんが着たら、絶対細い腰回りとか、太ももとかに興奮しちゃいそうで……」
「うっ。い、言われてみれば。これ、かなり細めかも……」
「そんなの着られたら、おれ絶対我慢できなくなるものっ。……お、お姉ちゃん、ただでさえ可愛いのにっ。……い、今までで一番、激しくしちゃいそうだから……」

 そっか。だからマサトは、あえて無難なものばかり選んでたんだ。流石に文化祭っていう名目上、興奮しちゃったら仕事にならないし。ボクをそういうのを刺激しにくいよう、配慮してくれてたのか。

「あ、ありがとう。気を遣ってくれて……。でも大丈夫だよ、ボクはその。そういうのあまり気にしない方だからさっ」
「ほ、本当……?」
「うんっ。……それでさ、マサト。ちょっとその、正直な所を聴きたいんだけど……。……――この服のボクって、み、見てみたい……?」

 ボクがそう問いかけると。マサトの顔面が一気に沸騰した。茹でられたタコのように赤く染まり、顔から蒸気が噴き出しそうなほどに燃え上がって。それをどうしたらいいのかわからないように、マサトは狼狽える。

 だけど意地を張ろうとしたのか、ふと急に立ち止まり。マサトは顔を赤らめたまま、真剣な眼差しでボクを見た。そして初めてボクを抱くかのように、勇気を振り絞って……頷いた。

「……わかったっ。じ、じゃあ……。……ちょっと、着てくるから。ここで待っててっ……」
「えっ……!」
「マサトがそんなに言うんなら、着てあげたいからっ。……それに、そういう事は……。――お、終わってから、いっぱいすればいいんだしっ……」
「~~~ッ……♡」

 そうしてボクは、洋服を握りしめながら更衣室に入った瞬間。なぜボクが服を決められなかったのかを理解した。

 きっとボクは、本当は服なんて何でもいいんだ。別に細かいこだわりがあるわけでも、これが好きと言うものがあるわけでもない。

 ――喜んで欲しい。それがボクにとって重要なんだ。マサトに、あるいはラフィールに。その服を着ることで二人が喜んでくれることが、ボクにとって一番重要。

「えっと。あれ、待って。これどうやって着るの? な、な、なにこれ。え? なにがどうなってんのコレ?」
「だ、大丈夫お姉ちゃん? それめちゃめちゃ着にくいヤツなんだけど。着れそう?」
「え! い、いやっ……大丈夫! うんっ。平気っ。……あれ、なにこのボタン。あれ、あ、取れた。ああいや待ってなにこれ外れたんだけどあわわわわ」
「お姉ちゃーん!? 全然大丈夫そうな声が聴こえてこないけど、本当に大丈夫ー!?」

 そしてボクが、執事服と格闘すること十分。ようやくボクは服の構造を理解し、シャツとベストに袖を通す。ショートパンツに足を通して、しっかりとボタンを閉じ。ハイソックスや、太ももの辺りにベルトを付けたりと。セットで置いてあった諸々の装飾品も、しっかりと身に着けてみる。

「……ど、どう、かなっ。マサト。似合ってる……?」

 まず最初に見えた反応は、生唾を飲み込むことだった。その次にマサトは、ボクの顔を直視して。それから目線を滑らせるように……ボクの体を見下ろす。

 正直言えば不安だった。こういう服を着るのは初めてだったし、あまりボク自身も背が高くないから。似合ってないんじゃないかと。

「お、お姉ちゃんっ……!」
「わっ!」

 だけどマサトのこの反応を見る限り、好評だったと受け取って良さそうだ。マサトは辛抱溜まらないような顔で、ボクの体に抱きつき。執事服の上から、ボクをぎゅ~~……っと、ボクの体を味わっていた。

「すっごくかわいいッ……!! い、今までで一番かわいいかもっ……!」
「マサトっ! い、いや、あの。み、皆見てるからっ……! そういうのは、その。ふ、二人っきりの時に……!」
「も、もうッ……! だから言ったじゃんか、我慢できなくなるってっ! うう……! ひ、酷いよ。生殺しじゃんか、こんなのっ……!」
「っ……♡ や、やばいって。こ、こっち来てっ! さすがにここでは……!」

 そうしてボクは、マサトを連れてもう一度更衣室の中へと戻った。その間にもマサトは、ショートパンツの上から……ボクの浮き出たお尻を撫でまわしていて。もう辛抱たまらんという様子……。

「……や、やっぱりお姉ちゃんも……男の子なんだねっ。こ、この背中とか。柔らかいのに、しっかり骨が通っててっ……。何て言うかいつも以上に、お、お姉ちゃんの『男』がハッキリわかるよっ……!」
「そ、そりゃ……まあ……。うん……」
「でもこの腰、やっぱり細すぎだよお姉ちゃんッ……♡ い、いつもこんな細いとこを犯してたの、おれ……? 小さくて、もちもちしたお尻の奥にっ……こんな華奢な腰があったなんてっ……♡ ……や、やばいっ……♡」
「いやっ。い、いつも裸で見てるじゃんか、ボクのことっ。今更じゃない……?」
「は、裸だったらわからないこともあるんだよっ。……もう。だから言ったじゃんか、体のラインがめちゃめちゃ出るってっ! こんな格好で人前に出てどうすんのっ、え、えっち過ぎるよ……このショートパンツとか特にっ……! お尻とか太ももが、くっきり浮き出ちゃってるじゃんかっ……♡」

 や、やばい。マサトの息がどんどん荒くなってる。いや自分で着ておいてなんだけど、ま、まさかここまでだったなんて。このままじゃいきなりここでセックスしちゃいそう……!

「ま、マサトっ……!」
「えっ……んゥっ……♡!?」

 だからボクは、仕方なしにマサトにキスをした。マサトの情欲を押し戻すように、舌を入れて……ぐっ、ぐっと、深いキスを。

 流石に学校の中でセックスするのはマズイ、い、今はとりあえず我慢してもらわないとっ。……これでしばらくは我慢できるだろうか?

「んっ……んっ……! んぁっ……♡」
「ぷあっ♡ お、お姉ちゃ……♡」
「……お、終わったら、好きにしていいからっ。流石に今したら、そのっ。服も汚れちゃうし……。ね……?」
「……終わった、ら……?」
「うんっ……。どうかな、我慢出来そう……?」

 するとマサトは、とろん……とした目でボクを見つめた。何度も唾を飲みこみながら、必死に何かを我慢しようとしていて。だけどその傍らで、マサトから放たれる……オスのフェロモンが、急に強くなったのを感じ取った。

「……文化祭が、終わったらっ。いいんだよね……?」
「えっ?」
「終わったら、好きにしていいんだよね……? お姉ちゃんを……。思いっきり、全部っ……愛して、いいんだよねッ……♡!」

 その時ボクは、言葉足らずだったことを理解した。ボクは今日の学校が終わるまで、我慢できるかと聴いたつもりだった。

 だけどマサトには、文化祭が終わるまでと伝わったらしく。酷く生殺しにされて、辛抱たまらないように懇願する目を向けていた。

 訂正した方がいいとわかっていた。その方が、お互いのためになるだろうから。……でも、正直言えば。正直言えば、犯されてみたかった。……我慢に我慢を重ねた、限界寸前のマサトに……。

「う、うん。約束するよ……。……終わったらボクのこと、す、好きにしていいから……♡」
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