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第25話 突っ走れ!希実の体育祭

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「大魔王様、大変です。ジュエリー王国のプリンセスが復活しました」
ホーフ―が息を切らしながら言うと、大魔王は
「プリンセスということは、この俺を封印したクイーンの娘ということか。あいつが母親と同じ力をつける前になんとかせねば。ホーフー、お前に戦士倒しと後3900人分の心の輝き集め、プリンセス倒しの3つを命じる。よいな」
と最初憤慨しながら言ってくる。
「はい、承知いたしました」
ホーフーは大魔王に一言そう言うと、再び出撃した。

 9月になり、松見中学校の体育祭が近づいてくる。希実は選抜リレーのメンバーにも選ばれ、緊張と共に頑張ろうという気持ちに溢れていた。体育祭の朝練に参加するために少し早めに家に出ると、途中で愛華と合流する。
「おはよう」
愛華が元気な声で希実のもとにやって来る。希実も
「おはよう」
と愛華に声をかけ、愛華のもとに駆け寄る。明るい声で愛華が
「希実、選抜リレーのメンバーに選ばれたんでしょ。すごいよね」
と声をかけてくる。希実は笑顔で頷くと、
「まさか私が選ばれるなんて思っていなかったから、緊張するけどね。でも、選ばれたからには勝ちたいなって思う」
と愛華に答えた。愛華も笑顔になり、
「私たちのクラス、くじで黄色カラーになったけど夢ちゃんのクラスも優美さんのクラスもどっちも同じカラーだし、私もみんなが一緒なら頑張れそうな気がする。私も出場する競技精一杯頑張るから、希実のことも精一杯応援するね」
と言う。希実は本番頑張りたいという気持ちがより一層増していった。

 たくさんの練習を重ね、ついに体育祭本番がやって来た。しかし、黄色カラーは多くの災難に見舞われることになった。まず希実と愛華のクラスで欠席者が3人も出て、急遽代わりに全員リレーで2回走る人を確保しなければならなくなってしまう。希実は
「私、2回走ろうか?」
と立候補し、しばらくして他にも立候補する人が現れてその場はなんとかなった。しかし、3年生の団体競技後に優美さんが倒れたり、選抜リレーに出る予定だった2年生の先輩の1人が騎馬戦中に骨折したりと体育祭が始まってからも災難は黄色カラーにばかり続く。他の赤や青カラーとは黄色カラーはどんどん差が広がっていった。その様子にいつも元気な愛華が少し暗い表情になっていることに希実は気付く。
「愛華、まだ全員リレーも選抜リレーもあるしあきらめず頑張ろう。優美さんの分だって一緒に頑張ろうよ」
希実の言葉に愛華はゆっくりと頷くが、
「私、希実みたいに運動すごく得意ってわけじゃないし今日の体育祭にどれくらい貢献できているのかは分からない。体育祭の勝敗がどうなるかより、優美さんが文化祭の時みたいに倒れたことで何か責任を感じていないか心配なの」
と言う。希実は
「後でお昼休みなったら、保健室行こうよ。優美さんなら多分保健室にいると思うし。優美さんが元気を取り戻していたら、少し安心できるでしょ」
と言って、愛華を励まそうとする。
「そうするよ。優美さんが体調を取り戻していれば、少し安心できるかも」
希実の言葉に愛華は少し笑顔になり、そう答えた。その瞬間、ホーフーがグラウンドの真ん中に現れ、生徒や先生たちの心の輝きを奪う。希実と愛華は夢ちゃんと合流し変身する。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「アメジストパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
「癒しと創造の戦士、シャイニーアメジスト」
メガトイフルがホーフーによって出され、ルビーたちに襲いかかって来る。
「メガトイフルを一気にシャイニング・アローで浄化しよう」
アメジストが言った。けれど、トパーズはアメジストに
「シャイニング・フレアは4人の技だから、サファイアもいないと。3人じゃ無理ですよ」
と言う。けれどシャイニング・アローの力を使わなければ、メガトイフルを倒すことはできない。この間にどんどんメガトイフルによる被害はひろがっていく。ルビーたちが困っていると、突然プリンセスがクォーツと共にトパーズたちの目の前に現れる。
「私のダイヤモンドの力を少し受け取ってください。そうすればシャイニング・アローの力を発揮できるでしょう」
プリンセスはそう言って、ルビーたちのシャイニング・アローに力を込める。
「シャイニング・フレア」
技が発動し、トイフルは倒された。倒れていた人たちも目を覚まし、ルビーたちは一安心してプリンセスにお礼を告げると変身を解除した。

 しばらくして体育祭が再開し、選抜リレーが始まった。黄色カラーと赤カラーが僅差でアンカーにバトンパスをする。黄色カラーのアンカーは希実だ。
「希実! 頑張って!」
愛華の応援する声が聞こえる中、希実は精一杯走る。残り10m、赤カラーに少し差を広げることができた。そして、そのまま希実は1位のままゴールする。一時は点差を広げられた黄色カラーだったが、希実の走りやみんなの走りにより、2位という結果を手に入れることができた。希実は特に嬉しい気持ちでいっぱいだった。保健室で目を覚ました優美さんにもこのことを報告すると最初優美さんは申し訳なさそうな顔をしていたが、希実が愛華にした励ましが愛華から優美さんへの励ましにつながり、優美さんは笑顔を取り戻した。希実は励ましの言葉の良さを改めて感じるきっかけとなった。
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