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第8話 目指せレギュラー!希実の初めての試合

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「また同じミスをしたのか! フェアーよ。そろそろお前には呆れてきた」
フェアーは、大魔王の叱責に耐えるしかなかった。

 放課後、部活が始まった。希実は、いつもの外回り5週の走り込みに始まり、シュート練習、守備練習、試合形式と続いていく練習をこなしていく。希実は、いつもよりも更に真剣に練習に取り組む。2週間後の試合、希実はどうしてもレギュラーになりたい気持ちでいっぱいだった。

 18時を過ぎ、部活が終了する。希実は先に帰る先輩を見送り自主練を続ける。愛華が途中で来て、
「希実、一緒に帰ろう」
と、希実に声をかけてきたが
「ごめん、先に帰ってて。試合前だから、自主練してから帰るから」
と答え、希実は、練習を続ける。ここまでして希実が練習を続けるのには、理由があった。
(お母さんが応援に来てくれるかもしれない…)
練習を続けながら、今思っている淡い期待を心の中でつぶやく。呟きながら、頭の中で、小学生の頃の記憶がよみがえってくるのを希実は感じた。

 希実のお母さんは、希実が小学3年生のとき突然姿を消した。希実がお父さんに聞いても何も教えてくれない。後々、風の噂で希実は、お母さんが違う男性の所に行ったことを知った。最初、希実の心の中でお母さんを憎む感情が多くを占める。けどなぜか希実は次第にお母さんの面影を求めるようになり、小6のある日、ミニバスケットボールの試合のときに観客席に希実はお母さんのような人を見つけた。試合終了後、希実は観客席を探したが、結局そのときは見つけることができなかった。確かな証拠はないのに希実はお母さんが来てくれたのかもしれない、そんな気がしていた。もしかしたら今度こそお母さんに会えるかもしれない。そのために試合に出て、頑張っている姿を見てもらいたい。それが希実の原動力になっていた。

 そして2週間後、希実の試合の日がやって来る。愛華と優美さんも応援に駆けつけてくれた中、希実は夢のレギュラーになり、試合に出場する。コートに立つと愛華や優美さん、たくさんの観客の声援が聞こえてくるのを希実は感じる。しかし、観客席にお母さんのような女性は見当たらなかった。それでも、希実は全力を尽くしてプレーをする。しかし、試合が後半に差し掛かったとき、突然体育館が停電した。パニックになる選手や観客。希実が辺りを見回すと、観客席の所にフェアーがいた。
「戦士たちよ、今日こそはお前たちの息の根を止めてやる!行け! トイフル」
見渡すと、すでにたくさんの観客が心の輝きを奪われて倒れている。トイフルが希実の方に向かってくる。
「希実!」
愛華の声が近くで聞こえる。振り返ると、観客席から下に降りてきた愛華と優美さんがいた。
「愛華、優美さん、変身しよう」
希実は愛華と優美さんの姿を見て、言う。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
3体のトイフルが、ルビーたちの方へ襲いかかってくる。
「今までよりトイフルの数が多いわ。私がトイフルの動きを止める。そしたら、トパーズがトイフルの動きを止めて、ルビーがトイフルを倒してちょうだい」
と、サファイアが状況を把握して指示を出す。
「分かった」
ルビーとトパーズは、サファイアに言う。
「サファイア・フリージング」
サファイアの技で、トイフルたちの動きが止まり、
「トパーズ・サンダー」
続いて、トパーズの技でトイフルが弱体化した。
「ルビー・ファイアー」
そして、ルビーの技で3体のトイフルは倒される。
「トパーズ・パワー」
そして、トパーズの希望の力で、倒れていた観客も元に戻った。

 試合は無事に再開し、希実にボールが渡ると、ドリブルをして対戦相手のチームの人たちをかわしながら、希実はシュートを決める。これで、無事に松見中学校バスケ部は、勝利することができた。勝利が決まった瞬間、希実は観客席を見渡す。結局、お母さんは現れなかった。けれど、希実はまたいつか会えると希望を持つことにするのだった。
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