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リナリーの才能
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リナリーが基本移動術の特訓を初めて10日が経過した。
リナリーは毎日ひたすらに着地点の精度向上と時空間移動の速度向上の特訓続けていた。
アンナはと言うとここ数日「少し留守にする」とどこかへ出かけている。
「アンナさん、早く帰って来ないかなぁ。これ見たらきっと驚くだろうなー。いひひっ」
アンナの驚く顔を想像しながらひとりニヤケ顔で少し変な笑い方をするリナリーであった。
「そろそろお昼にするかなー」
リナリーは修行を初めてから、お昼ご飯は修行場にお弁当を持ち込んで一人で食事をとっている。この日のお弁当は手作りのサンドイッチ。卵のサンドイッチほおばりながらクルスの事を考えていた。
「クルスはどんな修行してるんだろ。クルスに会いたいなぁ…」
リナリーがランドルフ家に来てからというものリナリーはクルスと共に片時も離れず育ってきた。1日に1度は必ず顔を合わせる生活をしてきたリナリーにとってクルスと初めて長時間離れる生活に少し寂しさを覚えていた。
修行を初めてからクルスは寮には来ていない。
メールをしても返事はなかったが「きっと修行が忙しいのだろう」と連絡は控えている。
昼ご飯を食べ終え少し休憩をとっていると留守にしていたアンナが戻ってきた。
「悪かったね、リナリー」
「修行はどうだい?順調かい?」
アンナがそう問いかけるとリナリーは得意げに話し出す。
「移動のスピードはだいぶ早くなったんだよ!」
「そうかい。じゃあね、リナリー。そこの角から始めて飛べなくなるまで移動を続けてみな」
「うん!わかった、見ててね!」
リナリーかそう言うとアンナは入口付近の椅子に腰掛けリナリーを見つめる。
リナリーは四方の円の一つに立ち、アンナの方に振り向き得意げな表情を見せると同時に基本移動術を行った。
するとリナリーの体がふと消え約2秒間隔で四方の円を時計回りに消えては現れる。
2分ほど移動を続けた所でリナリーの動きが止まる。
「はぁはぁ、ここが限界かな。はぁはぁ、結構上達したでしょ?」
リナリーは苦しそうな表情を見せながらも得意げにアンナに話しかけた。
アンナは正直驚いていた。リナリーの時空間移動術の操作能力の素質の高さは見抜いていたものの、素質のある調律師でも通常、着地点の精度を円の中に収めるのに約1週間、そこから移動速度を上げるにはさらに倍以上の時間がかかるのだ。
アンナは限られた時間の中で出来るだけ短時間で基本移動術を身につけさせるためにその素質と共に、リナリーの隠れたところでの人一倍努力家な性格を利用しようと考えたのだ。だからこそあえてリナリーをひとりにし修行場を留守にした。
「これほど上達が早いとは思ってもみなかったよ。リナリーよく頑張ったね」
アンナがリナリーの頭を撫でるとリナリーは嬉しそうに微笑んだ。
「ここまで出来れば第1段階はクリアだね。次は今の基本移動術を天界を使わずに行うんだ」
「天界を使わずに…。」
リナリーはアンナの言葉が理解出来ずにいた。
「今の状態での基本移動術はこの修行場を出ると使えないのは分かるだろ。いちいち時空間管制官に許可を得る訳にもいかない」
「そこで一度時空間に出て、他の世界に着地せずにこの世界に帰ってくる。これが基本移動術の完成形『神速』というれっきとした神技なんだよ」
他の世界に着地せずに時空間移動を行なう。理屈では理解したリナリーだったが方法が全くわからず不可解な顔をしている。
「アンナさんが言ってることは分かるんだけど…全然わかんない」
「リナリーが素早く時空間移動をする時に意識している事はなんだい?」
「うーん、移動先の時空間速度のイメージと飛ぶ瞬間のタイミングかなぁ」
「そうかい。移動のイメージは人によって違うから最終的には自分で掴むしかないんだが時空間速度を限りなくこの世界に近くイメージして、そうだねぇ『時空間を使わずに時空間移動する』ぐらいのイメージで一度やってみな」
「今のあんたなら出来るはずさ」
「時空間を使わずに時空間移動…うん、やってみる」
リナリーは円の中に立ち移動先を強くイメージする。そして移動術を発動するとリナリーの体がふと消え反対側の円とのちょうど中央辺りまで移動した。
「わ、で…出来た?!」
アンナは満足気な表情で話しかける。
「やっぱりリナリーは筋がいい。基本移動術の型をきちんと練習していた証拠さ。そう、それが神速。神の移動術だよ」
「もう少しアドバイスするなら着地点のイメージがまだ弱い。神速は着地点への強いイメージが重要だからね。」
「うん。もっと練習して…ぁっ」
そう答えると同時にリナリーの体から力が抜け倒れそうになる。寸前にアンナがリナリーの体を抱きかかえた。
リナリーは修行を初めてから毎日、聖神力をギリギリまで使い切る生活をしている。
聖神力は神技を発動させるための源となる力である。聖神力は人界では『念じる力、念力』と表現される事もあるが元を辿れば同じ力である。
人が何かを『出来る』と思い込む(念じる)事により自身の想像を上回る力を発揮出来る事がある。これは無意識に聖神力を消費し、その物事に作用する事により発揮される力なのだ。
一部の霊界人はこの聖神力を自在に使いこなし神技と呼ばれる様々な技を使う事が出来る。
人界ではまだ認知された力ではないが特定の種目で特異な力を持つプロと呼ばれるスポーツ選手等、他の人とは違う一つ飛び抜けた能力を発揮する者達は気づいてはいないが聖神力を消費しその能力を発揮している。
リナリーはその力を毎日、ギリギリまで使い切り回復してはまた使い切る生活を続けていた。アンナは意図して努力家の性格を利用して無理をするような修行を課してはいたのだが、さすがにリナリーの体力は限界に達していた。
「今日の所はこの辺で終わりにしよう。ここまで休みなく練習していたんだろう。休憩する事も大切な事だ」
「でも…」
「心配しなくても一度覚えた感覚はちょっと休んだくらいで忘れるようなもんじゃないよ」
「今日はリナリーの好物のシチューを作ってあげよう。たくさん食べてよく休みな」
「ほんとに?やったー!」
リナリーはアンナの予想を上回る速度で成長を見せる。
ーー修行開始から12日目。リナリー『神速』マスター。
リナリーは毎日ひたすらに着地点の精度向上と時空間移動の速度向上の特訓続けていた。
アンナはと言うとここ数日「少し留守にする」とどこかへ出かけている。
「アンナさん、早く帰って来ないかなぁ。これ見たらきっと驚くだろうなー。いひひっ」
アンナの驚く顔を想像しながらひとりニヤケ顔で少し変な笑い方をするリナリーであった。
「そろそろお昼にするかなー」
リナリーは修行を初めてから、お昼ご飯は修行場にお弁当を持ち込んで一人で食事をとっている。この日のお弁当は手作りのサンドイッチ。卵のサンドイッチほおばりながらクルスの事を考えていた。
「クルスはどんな修行してるんだろ。クルスに会いたいなぁ…」
リナリーがランドルフ家に来てからというものリナリーはクルスと共に片時も離れず育ってきた。1日に1度は必ず顔を合わせる生活をしてきたリナリーにとってクルスと初めて長時間離れる生活に少し寂しさを覚えていた。
修行を初めてからクルスは寮には来ていない。
メールをしても返事はなかったが「きっと修行が忙しいのだろう」と連絡は控えている。
昼ご飯を食べ終え少し休憩をとっていると留守にしていたアンナが戻ってきた。
「悪かったね、リナリー」
「修行はどうだい?順調かい?」
アンナがそう問いかけるとリナリーは得意げに話し出す。
「移動のスピードはだいぶ早くなったんだよ!」
「そうかい。じゃあね、リナリー。そこの角から始めて飛べなくなるまで移動を続けてみな」
「うん!わかった、見ててね!」
リナリーかそう言うとアンナは入口付近の椅子に腰掛けリナリーを見つめる。
リナリーは四方の円の一つに立ち、アンナの方に振り向き得意げな表情を見せると同時に基本移動術を行った。
するとリナリーの体がふと消え約2秒間隔で四方の円を時計回りに消えては現れる。
2分ほど移動を続けた所でリナリーの動きが止まる。
「はぁはぁ、ここが限界かな。はぁはぁ、結構上達したでしょ?」
リナリーは苦しそうな表情を見せながらも得意げにアンナに話しかけた。
アンナは正直驚いていた。リナリーの時空間移動術の操作能力の素質の高さは見抜いていたものの、素質のある調律師でも通常、着地点の精度を円の中に収めるのに約1週間、そこから移動速度を上げるにはさらに倍以上の時間がかかるのだ。
アンナは限られた時間の中で出来るだけ短時間で基本移動術を身につけさせるためにその素質と共に、リナリーの隠れたところでの人一倍努力家な性格を利用しようと考えたのだ。だからこそあえてリナリーをひとりにし修行場を留守にした。
「これほど上達が早いとは思ってもみなかったよ。リナリーよく頑張ったね」
アンナがリナリーの頭を撫でるとリナリーは嬉しそうに微笑んだ。
「ここまで出来れば第1段階はクリアだね。次は今の基本移動術を天界を使わずに行うんだ」
「天界を使わずに…。」
リナリーはアンナの言葉が理解出来ずにいた。
「今の状態での基本移動術はこの修行場を出ると使えないのは分かるだろ。いちいち時空間管制官に許可を得る訳にもいかない」
「そこで一度時空間に出て、他の世界に着地せずにこの世界に帰ってくる。これが基本移動術の完成形『神速』というれっきとした神技なんだよ」
他の世界に着地せずに時空間移動を行なう。理屈では理解したリナリーだったが方法が全くわからず不可解な顔をしている。
「アンナさんが言ってることは分かるんだけど…全然わかんない」
「リナリーが素早く時空間移動をする時に意識している事はなんだい?」
「うーん、移動先の時空間速度のイメージと飛ぶ瞬間のタイミングかなぁ」
「そうかい。移動のイメージは人によって違うから最終的には自分で掴むしかないんだが時空間速度を限りなくこの世界に近くイメージして、そうだねぇ『時空間を使わずに時空間移動する』ぐらいのイメージで一度やってみな」
「今のあんたなら出来るはずさ」
「時空間を使わずに時空間移動…うん、やってみる」
リナリーは円の中に立ち移動先を強くイメージする。そして移動術を発動するとリナリーの体がふと消え反対側の円とのちょうど中央辺りまで移動した。
「わ、で…出来た?!」
アンナは満足気な表情で話しかける。
「やっぱりリナリーは筋がいい。基本移動術の型をきちんと練習していた証拠さ。そう、それが神速。神の移動術だよ」
「もう少しアドバイスするなら着地点のイメージがまだ弱い。神速は着地点への強いイメージが重要だからね。」
「うん。もっと練習して…ぁっ」
そう答えると同時にリナリーの体から力が抜け倒れそうになる。寸前にアンナがリナリーの体を抱きかかえた。
リナリーは修行を初めてから毎日、聖神力をギリギリまで使い切る生活をしている。
聖神力は神技を発動させるための源となる力である。聖神力は人界では『念じる力、念力』と表現される事もあるが元を辿れば同じ力である。
人が何かを『出来る』と思い込む(念じる)事により自身の想像を上回る力を発揮出来る事がある。これは無意識に聖神力を消費し、その物事に作用する事により発揮される力なのだ。
一部の霊界人はこの聖神力を自在に使いこなし神技と呼ばれる様々な技を使う事が出来る。
人界ではまだ認知された力ではないが特定の種目で特異な力を持つプロと呼ばれるスポーツ選手等、他の人とは違う一つ飛び抜けた能力を発揮する者達は気づいてはいないが聖神力を消費しその能力を発揮している。
リナリーはその力を毎日、ギリギリまで使い切り回復してはまた使い切る生活を続けていた。アンナは意図して努力家の性格を利用して無理をするような修行を課してはいたのだが、さすがにリナリーの体力は限界に達していた。
「今日の所はこの辺で終わりにしよう。ここまで休みなく練習していたんだろう。休憩する事も大切な事だ」
「でも…」
「心配しなくても一度覚えた感覚はちょっと休んだくらいで忘れるようなもんじゃないよ」
「今日はリナリーの好物のシチューを作ってあげよう。たくさん食べてよく休みな」
「ほんとに?やったー!」
リナリーはアンナの予想を上回る速度で成長を見せる。
ーー修行開始から12日目。リナリー『神速』マスター。
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