5 / 15
神界からのリクエスト
しおりを挟む
「やっほークルス!おはよー!」
「おう、おはよー。おまえは朝から元気だなぁ」
「今日はどうするの?なんか良い依頼あった?」
「あーその件なんだけどなちょっと相談したいことがあるんだ」
「相談?なに?」
「あー!!!わかった!好きな人が出来たんでしょ。そういう事ならこのリナリーさんに話してみなさい」
「ちげーよ」
「なーんだ。違うのか」
そう言うリナリーは少しほっとした表情を見せたような気がした。
「ここじゃ話せねぇからとりあえずベースに行こう」
「ベース?なんだやっぱり仕事の話か」
「なんだじゃねーよ。だから初めからその件だって言ってるじゃねぇか。働かざる者食うべからずだ」
「人界の格言。クルスはわたし似て人界かぶれだねぇ。良い心がけだ。うん、うん」
「どっちがどっちに似てるって?」
一通り寝覚めの掛け合いを行った後二人はベースに向かった。
霊界には人界に憧れを抱くものもいる。もちろんその逆に嫌悪感を抱くもの、興味のないもの考え方は人それぞれだがリナリーとクルスは少なからず人界の人達と触れ合うことによって好意的な感情を抱いている。
そういう感情を抱けるのもリナリーとクルスは人界人にとても近い容姿の霊界人だということもあるだろう。
霊界人の中には人界では物怪、妖怪と呼ばれるような、人界基準で考えると恐ろしい容姿をした霊界人もいる。
霊界人にとっては特段変わった容姿ではないのだが人界に迷い込み忌み嫌われる存在となったもの、また迫害を受けるものなども存在しそのような霊界人を救助し霊界へ連れ帰るのも時空間調律師の仕事のひとつだ。
そのような理由もあり人界に嫌悪感を抱くものもいるわけだ。
ベース到着した二人は隔離されたミーティングルームに入った。
「珈琲でも入れましょうか。お兄さま」
とカップに二人分の珈琲を注ぎながら今朝のネタを持ち出すリナリー。
「はい、どうぞ召し上がれ」
「ありがとう」
「お兄さま」への返しを期待しているのだろう。プレゼントを開ける前の子供のようなわくわくした目でクルスを見つめるリナリーだがここで話に乗っかるとまた話が違う方向に向かうのでクルスは昨日調べた「神界からの依頼」について話し出した。
「まず、これを見てくれ。チャージリクエストに来てた依頼だ」
一瞬不満そうな顔をしたリナリーを見たクルスはやっぱりなと、やれやれという表情を返す。
「ふむふむ、機密依頼。これって誰にも話したらダメなやつ?」
「そうだ。気をつけろよ。それより問題は依頼人の所在地なんだ」
「依頼人所在地は「神界」。まじか。私達も有名になったもんだねぇ」
「この異常さがわかんねーか。普通はだ、神界からの依頼は霊界統括の上級調律師に依頼されるものなんだよ」
「でも依頼人は自由に依頼先を選べるんでしょ?私達が有名だから依頼をくれたのかもよ」
「そんなわけねーだろ。いくら最近、高レベルの依頼をこなしてると言っても神界に名前が知られる程の上級依頼は受けてない。もし、万が一名前が知られていたとしても通常、神界からの依頼は霊界統括経由で行われるのが普通だと思うんだ」
「じゃこのシスって人が嘘をついているのかな」
「それはない。登録情報の虚偽はありえない」
「そっかー。しかもこれ依頼内容詳細は対面にて説明ってなってるよ。これじゃ話を聞くまで受ける受けないの判断がつかないよ」
「いや、機密依頼の時点で話を聞いた後で引き受けないはありえないだろうな」
「神界で依頼人に会ったら必ず受けないといけないってことか。まぁ、いいんじゃない。受ければ」
「たしかに神界からの依頼なんてめちゃくちゃ興味あるけどさ…ひとつ引っかかるんだよな」
「…わたしの能力の事?」
「あぁ。もしおまえの能力を知っての事だとしたら…」
「それを確認するための罠かもしれないって事か」
「それを考えると受けるにはリスクが高い」
「クルスはいつも心配し過ぎなんだよ。わたしなら大丈夫!クルスがついてるもん」
「おまえなぁ」
クルスの内心は不安と少しの期待があった。期待というのはリナリーの過去に関係することかもしれないという事。
リナリーの能力について知っている人間はクルスと他には本人達には確認は取っていないので確定ではないがクルスの両親だ。
クルスはかつて父親の言った「リナリーの騎士になれ」というある種の命令に近い言葉に疑問を持っている。
もちろんリナリーの騎士になることは自分自身の意思であるし誇りもある後悔はしていない。
しかし父親が騎士一族の一人息子のクルスを、たとえ可愛い義娘の為だとしても「騎士につける」などという判断を下すのであろうか。
両親がリナリーの能力を知ったことによりクルスを騎士にすると考えたとしたら全ての辻褄が合うと感じたのだ。
リナリーの能力はそれほどまでに危険な能力なのだ…
神が扱う破壊神技『時空間破壊』
この能力を知った時からリナリーの過去を知る答えは神界にあると考えている。
しかし普通の霊界人には神界の神々に会うことすら難しい。
今回の依頼はリナリーの過去を知るきっかけになるかもしれないそう考えたのだ。
「そうだな。おまえは必ず俺が守る」
「うん!信頼してるよクルス!」
「でも一つだけ約束してくれ」
「時空間破壊は使わないでしょ。わかってるって」
「よし!神界からの依頼。受けてやろうじゃねーか」
「さて、やる事も決まったしわたし一回寮に帰ってアンナさんに遠征許可出してもらってくる」
「なら、俺も一緒に行くよ。神界への遠征許可なんてアンナさんにつっこまれたら、リナリーだけじゃうっかり極秘依頼について話してしまう可能性もなくはないだろ」
「あー、ありえるね」
なぜかドヤ顔のリナリーに思わず苦笑いするクルス。
ベースを出た二人はリナリーの寄宿する、寮へと向かった。
「おう、おはよー。おまえは朝から元気だなぁ」
「今日はどうするの?なんか良い依頼あった?」
「あーその件なんだけどなちょっと相談したいことがあるんだ」
「相談?なに?」
「あー!!!わかった!好きな人が出来たんでしょ。そういう事ならこのリナリーさんに話してみなさい」
「ちげーよ」
「なーんだ。違うのか」
そう言うリナリーは少しほっとした表情を見せたような気がした。
「ここじゃ話せねぇからとりあえずベースに行こう」
「ベース?なんだやっぱり仕事の話か」
「なんだじゃねーよ。だから初めからその件だって言ってるじゃねぇか。働かざる者食うべからずだ」
「人界の格言。クルスはわたし似て人界かぶれだねぇ。良い心がけだ。うん、うん」
「どっちがどっちに似てるって?」
一通り寝覚めの掛け合いを行った後二人はベースに向かった。
霊界には人界に憧れを抱くものもいる。もちろんその逆に嫌悪感を抱くもの、興味のないもの考え方は人それぞれだがリナリーとクルスは少なからず人界の人達と触れ合うことによって好意的な感情を抱いている。
そういう感情を抱けるのもリナリーとクルスは人界人にとても近い容姿の霊界人だということもあるだろう。
霊界人の中には人界では物怪、妖怪と呼ばれるような、人界基準で考えると恐ろしい容姿をした霊界人もいる。
霊界人にとっては特段変わった容姿ではないのだが人界に迷い込み忌み嫌われる存在となったもの、また迫害を受けるものなども存在しそのような霊界人を救助し霊界へ連れ帰るのも時空間調律師の仕事のひとつだ。
そのような理由もあり人界に嫌悪感を抱くものもいるわけだ。
ベース到着した二人は隔離されたミーティングルームに入った。
「珈琲でも入れましょうか。お兄さま」
とカップに二人分の珈琲を注ぎながら今朝のネタを持ち出すリナリー。
「はい、どうぞ召し上がれ」
「ありがとう」
「お兄さま」への返しを期待しているのだろう。プレゼントを開ける前の子供のようなわくわくした目でクルスを見つめるリナリーだがここで話に乗っかるとまた話が違う方向に向かうのでクルスは昨日調べた「神界からの依頼」について話し出した。
「まず、これを見てくれ。チャージリクエストに来てた依頼だ」
一瞬不満そうな顔をしたリナリーを見たクルスはやっぱりなと、やれやれという表情を返す。
「ふむふむ、機密依頼。これって誰にも話したらダメなやつ?」
「そうだ。気をつけろよ。それより問題は依頼人の所在地なんだ」
「依頼人所在地は「神界」。まじか。私達も有名になったもんだねぇ」
「この異常さがわかんねーか。普通はだ、神界からの依頼は霊界統括の上級調律師に依頼されるものなんだよ」
「でも依頼人は自由に依頼先を選べるんでしょ?私達が有名だから依頼をくれたのかもよ」
「そんなわけねーだろ。いくら最近、高レベルの依頼をこなしてると言っても神界に名前が知られる程の上級依頼は受けてない。もし、万が一名前が知られていたとしても通常、神界からの依頼は霊界統括経由で行われるのが普通だと思うんだ」
「じゃこのシスって人が嘘をついているのかな」
「それはない。登録情報の虚偽はありえない」
「そっかー。しかもこれ依頼内容詳細は対面にて説明ってなってるよ。これじゃ話を聞くまで受ける受けないの判断がつかないよ」
「いや、機密依頼の時点で話を聞いた後で引き受けないはありえないだろうな」
「神界で依頼人に会ったら必ず受けないといけないってことか。まぁ、いいんじゃない。受ければ」
「たしかに神界からの依頼なんてめちゃくちゃ興味あるけどさ…ひとつ引っかかるんだよな」
「…わたしの能力の事?」
「あぁ。もしおまえの能力を知っての事だとしたら…」
「それを確認するための罠かもしれないって事か」
「それを考えると受けるにはリスクが高い」
「クルスはいつも心配し過ぎなんだよ。わたしなら大丈夫!クルスがついてるもん」
「おまえなぁ」
クルスの内心は不安と少しの期待があった。期待というのはリナリーの過去に関係することかもしれないという事。
リナリーの能力について知っている人間はクルスと他には本人達には確認は取っていないので確定ではないがクルスの両親だ。
クルスはかつて父親の言った「リナリーの騎士になれ」というある種の命令に近い言葉に疑問を持っている。
もちろんリナリーの騎士になることは自分自身の意思であるし誇りもある後悔はしていない。
しかし父親が騎士一族の一人息子のクルスを、たとえ可愛い義娘の為だとしても「騎士につける」などという判断を下すのであろうか。
両親がリナリーの能力を知ったことによりクルスを騎士にすると考えたとしたら全ての辻褄が合うと感じたのだ。
リナリーの能力はそれほどまでに危険な能力なのだ…
神が扱う破壊神技『時空間破壊』
この能力を知った時からリナリーの過去を知る答えは神界にあると考えている。
しかし普通の霊界人には神界の神々に会うことすら難しい。
今回の依頼はリナリーの過去を知るきっかけになるかもしれないそう考えたのだ。
「そうだな。おまえは必ず俺が守る」
「うん!信頼してるよクルス!」
「でも一つだけ約束してくれ」
「時空間破壊は使わないでしょ。わかってるって」
「よし!神界からの依頼。受けてやろうじゃねーか」
「さて、やる事も決まったしわたし一回寮に帰ってアンナさんに遠征許可出してもらってくる」
「なら、俺も一緒に行くよ。神界への遠征許可なんてアンナさんにつっこまれたら、リナリーだけじゃうっかり極秘依頼について話してしまう可能性もなくはないだろ」
「あー、ありえるね」
なぜかドヤ顔のリナリーに思わず苦笑いするクルス。
ベースを出た二人はリナリーの寄宿する、寮へと向かった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる