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時間の理を知るもの
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「よし、任務完了っと」
少女は綺麗な金の髪をなびかせながらぴょんぴょんと階段をかけ登っていく。一番上まで登りきるとくるっと振り向き相棒に笑顔を見せた。
彼女の名は『リナリー・シーカー』
職業は時空間調律師。
時間調律師とは何らかの理由で時空間を移動してしまい別世界へと迷い込んだ者の保護や帰還を支援したり、時間干渉による様々な問題を解決するなどの職務を担っている。
「相変わらず、仕事が早いことで」
階段の下から彼女を見上げる少しヤンキー風の赤髪の相棒は『クルス・ランドルフ』
リナリーと共に霊界を拠点として時空間調律を行っている。
この世には時間速度が違う5つの世界が存在する。
一つは時間速度1倍の『神界』
神界は神と呼ばれる生命体の生きる世界。
時間速度が遅いためどの生命体よりも寿命が長く、知識量が多い。
神は時空間移動という特異な能力を持っており、各世界への移動が可能な為、中には他世界に干渉する事により神と崇られる者も存在する。
二つ目の世界がリナリーとクルスが活動している時間速度5倍の『霊界』
霊界では物怪と呼ばれる生命体が生活している。
神界との時間速度が近い事もあり稀に時空間移動の能力者が発現する。
ちなみにリナリーとクルスもこの時空間移動の能力者である。
三つ目の世界が時間速度10倍の『人界』
人間と呼ばれる生命体が生きる世界。
救いを与えるものを神と讃え、目に見えないものをもののけと呼び、恐れ、憧れなど人により様々な感情はあるが他の世界の存在を感じている者達もいる。
人界に生きる者達の中には時空間移動は行えないものの意識のみを他の世界に合わせる時空干渉という能力を持つものがおり霊界の者達を認識、視認出来る者もいる。これらの能力を持った者は霊能力者などと呼ばれている。
未確認飛行物体(UFO)、未確認生物(UMA)なども時空干渉が自然発生的に引き起こされた事による視覚現象であるが人界の人々はその存在の解明には至っていない。
四つ目の世界は時間速度マイナス10倍の『魔界』
魔族と呼ばれる生命体が生きる世界である。
各世界で唯一の時間逆行(時間速度の力が他の世界と逆に働く)という特異な世界となっている。
人界との時間速度が正反対の方向に同じ速度で働いている為、何らかの原因で生命体が人界と魔界との時空間に取り込まれてしまった場合、時空間の狭間から永遠に抜け出せないという現象が発生する。
また人界で肉体がなくなったにも関わらず、声がする、気配を感じるなどの異常現象は人界と魔界の狭間に囚われた者の声なのである。
五つ目の世界が時間速度0倍、時の止まった世界『天界』である。
全ての世界の生命体の肉体が無くなると時間速度がゼロとなりこの世界に辿り着くと言われている。
肉体が無くなった意識(魂)は核と呼ばれ、核はここを起点に各世界に転生すると考えられているが転生の原理は神界のみにて管理されその理に触れる事は禁忌とされている。
これらの五つの世界は時間速度は違うものの全てが同一空間に存在するパラレルワールドとなっている。
「じゃ、さっさと帰って報告だけ済ましちまおうぜ」
「えー、もうベースに戻るのー。せっかく人界に来たんだしちょっと遊んで行こうよー」
リナリーは駄々をこねる子供のような潤んだ瞳でクルスを見つめた。
「ダメだ」
「クルスのケチ!!」
「人界に入って今でちょうど一時間。最速の天界経由でも霊界に戻るのに一時間の時間調整がいるだろ」
「今度、寮の門限破ったらどんなお仕置きされるんだろうねぇ。楽しみだね、リナリー」
クルスは悪い想像を掻き立てるような上手い口ぶりでリナリーに問いかける。
リナリーは腕につけたモバイル端末の時間を見つめてハッとした表情を見せ、先程の顔とはうって変わり青ざめた表情に変化する。
「遊んで行くのか?」
「帰る!今すぐ帰る!アンナさん怖い」
アンナはリナリー達の住む下宿先の恰幅のいいおば様なのだが門限にはかなり厳しい。
これはもちろんリナリー達の事を心配しての事なのだがアンナのお仕置きには皆恐れを抱いている。
体罰などではないのだがある意味体罰より恐ろしい…かもしれない。
クルスはくすくすと笑いを堪えながら右手で空間をピンチする。
すると目の前に四角形の綺麗な青色のメニューウインドが展開した。
メニューウインドを数回タップ操作し天界の時空管制官への承認連絡を行う。
「天界経由で時間調整の後、霊界への帰還を行う。時空間移動の許可を願います」
「時空間調律師、クルス、リナリー両名の時空間移動を許可します」
「リナリー3カウントで飛ぶぞ」
「オッケー!」
「スリー、ツー、ワン…」
リナリーとクルスは目を閉じ、念じるように軽く俯くと空間が歪み二人を飲み込んだ。
二人が向かった先は時間速度0倍の『天界』である。
なぜ直接、霊界に行かず一度天界を経由するのかというと各世界の時間速度が違う為、時空間移動を行う際は少し複雑なルールを守る必要があるからだ。
時空間移動の任務は主に人界にて行われるが霊界と人界の時間速度は5倍と10倍、人界に入ると霊界の2倍の時間速度で進むことになる。
例えば、人界で一時間過ごしたとする。このままの状態で霊界に戻ると出発から二時間後の世界に帰ることになる。
これは時間移動に利用される原理なのだがタイムトラベルは重大な規則違反として禁止されている。
この出発時間と帰還時間を監視しているのが先程連絡を行った時空管制官という訳だ。
ここで発生する帰還時間の誤差を調整するために天界や神界を経由して霊界へと帰るのだ。
時空管制官に帰還の承認を得ると各世界での待機時間が自動計算されメニューウインド及び腕時計型のモバイル端末に表示される仕組みとなっている。
二人は天界にて任務の疲れを少し癒しホームである霊界へと帰還するのであった。
少女は綺麗な金の髪をなびかせながらぴょんぴょんと階段をかけ登っていく。一番上まで登りきるとくるっと振り向き相棒に笑顔を見せた。
彼女の名は『リナリー・シーカー』
職業は時空間調律師。
時間調律師とは何らかの理由で時空間を移動してしまい別世界へと迷い込んだ者の保護や帰還を支援したり、時間干渉による様々な問題を解決するなどの職務を担っている。
「相変わらず、仕事が早いことで」
階段の下から彼女を見上げる少しヤンキー風の赤髪の相棒は『クルス・ランドルフ』
リナリーと共に霊界を拠点として時空間調律を行っている。
この世には時間速度が違う5つの世界が存在する。
一つは時間速度1倍の『神界』
神界は神と呼ばれる生命体の生きる世界。
時間速度が遅いためどの生命体よりも寿命が長く、知識量が多い。
神は時空間移動という特異な能力を持っており、各世界への移動が可能な為、中には他世界に干渉する事により神と崇られる者も存在する。
二つ目の世界がリナリーとクルスが活動している時間速度5倍の『霊界』
霊界では物怪と呼ばれる生命体が生活している。
神界との時間速度が近い事もあり稀に時空間移動の能力者が発現する。
ちなみにリナリーとクルスもこの時空間移動の能力者である。
三つ目の世界が時間速度10倍の『人界』
人間と呼ばれる生命体が生きる世界。
救いを与えるものを神と讃え、目に見えないものをもののけと呼び、恐れ、憧れなど人により様々な感情はあるが他の世界の存在を感じている者達もいる。
人界に生きる者達の中には時空間移動は行えないものの意識のみを他の世界に合わせる時空干渉という能力を持つものがおり霊界の者達を認識、視認出来る者もいる。これらの能力を持った者は霊能力者などと呼ばれている。
未確認飛行物体(UFO)、未確認生物(UMA)なども時空干渉が自然発生的に引き起こされた事による視覚現象であるが人界の人々はその存在の解明には至っていない。
四つ目の世界は時間速度マイナス10倍の『魔界』
魔族と呼ばれる生命体が生きる世界である。
各世界で唯一の時間逆行(時間速度の力が他の世界と逆に働く)という特異な世界となっている。
人界との時間速度が正反対の方向に同じ速度で働いている為、何らかの原因で生命体が人界と魔界との時空間に取り込まれてしまった場合、時空間の狭間から永遠に抜け出せないという現象が発生する。
また人界で肉体がなくなったにも関わらず、声がする、気配を感じるなどの異常現象は人界と魔界の狭間に囚われた者の声なのである。
五つ目の世界が時間速度0倍、時の止まった世界『天界』である。
全ての世界の生命体の肉体が無くなると時間速度がゼロとなりこの世界に辿り着くと言われている。
肉体が無くなった意識(魂)は核と呼ばれ、核はここを起点に各世界に転生すると考えられているが転生の原理は神界のみにて管理されその理に触れる事は禁忌とされている。
これらの五つの世界は時間速度は違うものの全てが同一空間に存在するパラレルワールドとなっている。
「じゃ、さっさと帰って報告だけ済ましちまおうぜ」
「えー、もうベースに戻るのー。せっかく人界に来たんだしちょっと遊んで行こうよー」
リナリーは駄々をこねる子供のような潤んだ瞳でクルスを見つめた。
「ダメだ」
「クルスのケチ!!」
「人界に入って今でちょうど一時間。最速の天界経由でも霊界に戻るのに一時間の時間調整がいるだろ」
「今度、寮の門限破ったらどんなお仕置きされるんだろうねぇ。楽しみだね、リナリー」
クルスは悪い想像を掻き立てるような上手い口ぶりでリナリーに問いかける。
リナリーは腕につけたモバイル端末の時間を見つめてハッとした表情を見せ、先程の顔とはうって変わり青ざめた表情に変化する。
「遊んで行くのか?」
「帰る!今すぐ帰る!アンナさん怖い」
アンナはリナリー達の住む下宿先の恰幅のいいおば様なのだが門限にはかなり厳しい。
これはもちろんリナリー達の事を心配しての事なのだがアンナのお仕置きには皆恐れを抱いている。
体罰などではないのだがある意味体罰より恐ろしい…かもしれない。
クルスはくすくすと笑いを堪えながら右手で空間をピンチする。
すると目の前に四角形の綺麗な青色のメニューウインドが展開した。
メニューウインドを数回タップ操作し天界の時空管制官への承認連絡を行う。
「天界経由で時間調整の後、霊界への帰還を行う。時空間移動の許可を願います」
「時空間調律師、クルス、リナリー両名の時空間移動を許可します」
「リナリー3カウントで飛ぶぞ」
「オッケー!」
「スリー、ツー、ワン…」
リナリーとクルスは目を閉じ、念じるように軽く俯くと空間が歪み二人を飲み込んだ。
二人が向かった先は時間速度0倍の『天界』である。
なぜ直接、霊界に行かず一度天界を経由するのかというと各世界の時間速度が違う為、時空間移動を行う際は少し複雑なルールを守る必要があるからだ。
時空間移動の任務は主に人界にて行われるが霊界と人界の時間速度は5倍と10倍、人界に入ると霊界の2倍の時間速度で進むことになる。
例えば、人界で一時間過ごしたとする。このままの状態で霊界に戻ると出発から二時間後の世界に帰ることになる。
これは時間移動に利用される原理なのだがタイムトラベルは重大な規則違反として禁止されている。
この出発時間と帰還時間を監視しているのが先程連絡を行った時空管制官という訳だ。
ここで発生する帰還時間の誤差を調整するために天界や神界を経由して霊界へと帰るのだ。
時空管制官に帰還の承認を得ると各世界での待機時間が自動計算されメニューウインド及び腕時計型のモバイル端末に表示される仕組みとなっている。
二人は天界にて任務の疲れを少し癒しホームである霊界へと帰還するのであった。
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