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1 魔王(西田)

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「あづううううううううううぃ!!」
蝉の声が夏を嫌でも感じさせるこの夏。
8月1日。宿題進行率0%。
俺、高2の鈴木 真司は、今夏休み真っ最中なのだ!
しかしこの暑さだと何も出来ん。
アイス食べようぜ!買い行かなきゃならん。
クーラーしようぜ!してるさ。全開で。
服脱ごうぜ!今まさにタンクトップ姿だ。
すると手に持っていたスマホが鳴った。
俺の雄一の友達、西田からのメールだ。
『暇だからゲーセン行こうぜ!』
俺は『あ』の一文字を打ち、予測変換に出た『暑いから無理』を打った。
『なんだよ、駅のゲーセンは全機種50円で出来るんだけどなー。あとアイスもおごってやったんだけどなーあーあー』
…ちっ。


「悪い遅れて」
「いいさ。俺だってマジで来るとは思わなかったぞ」
「…チョロいって言いたいんだろ」
「何故分かった」
「普通分かるだろゲーセンの全機種50円でひょいひょいやってくるヤツは10万人に1人くらいだからな」
「もっといるんじゃねぇの?」
とか話しながらゲーセンに着いた。
遊びまくるぜぃ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「今日は楽しかったなー」
午後11時。そろそろ寝ようとベッドに潜ろうとすると…
「ん?誰だこんな時間に電話なんか…西田?どうしたんだろ。まあどうせ『今日のアイス代やっぱ返せー』とかそんな感じだろな。」
勝手に西田が言いそうな事を妄想しながら電話に出た。
「もしもし?」
「もしもしー。ちょっと今から穂蓮寺公園来てくんね?」
「はァ?どうせアイス代返s…」
「じゃそういう事で」
……何が「じゃそういう事で」だよ





「あの野郎自分から呼び出しといてまだ来てねぇじゃねえか!」
と言い帰ろうとしたその時!
後方から物凄い衝撃がした!
「よう」
「…なんだ今の衝撃は」
「瞬間移動の反動だ」
は?
「今からお前には異世界に来てもらうぜ」
は?
「ちょっと何言ってるか分かんない」
「来れば分かる。目閉じろ」
俺は言われるがまま目を閉じた。あヤバいこのまま寝そう
すると誰かに手を握られたような気がした。そして前へ。気持ちわりぃ…







「開いていいぞ」
「……!!?」
俺の目の前に黒いシン◯レラ城みたいな黒い城が建っていた。
「これは魔王城だ。そして魔王は…」
「なんでそんな落ち着いてんだよ!どこだここ!なんで!?は!?」
「お前が落ち着け。ここは異世界。お前が魔王軍兵に選ばれたんだよ」
「……んで魔王さんとやらはどこにいんだよ。俺が魔王軍兵なんだったら会わせるもんだろ」
「もう会ってる。魔王は」
西田は平然とした口調で言った。




「魔王は俺だ。」



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