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第5章
初対面(4)
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「いってぇなぁ……何すんだよ! ……うわっ拓人!!」
ヒロが見上げると片手に沢山の料理の入った皿を運んできた拓人が居た。
ヒロは拓人に思いっきり頭を殴られたのだ。
「ヒロ!! てめぇ、桃華に手出すなって言っただろ!?」
「出してねぇよ! 肩組んだだけだし! それならハルキだってさっき桃華ちゃんに触れてたぜ?」
拓人はテーブルに皿を並べるなり、ハルキの胸倉を掴んだ。
「ハルキ! てめぇもか!」
「やめて、拓人! 私、何もされてないから!」
桃華が拓人の後ろから拓人にしがみついた。
「せやで拓人! いくらなんでも妬きすぎや! どんだけ俺ら信用ないんや!!俺ら悲しいわ……」
カイトはそう言うと、泣きまねをした。
拓人は自分自身に恥ずかしくなり
「……悪かった」
と言ってそっとハルキを離した。
拓人は残りの皿も並べると、桃華の隣に座った。
「ほんま拓人のヤキモチには毎回迷惑かけられっぱなしやわ!」
「ほんとほんと! 前も桃華ちゃんと仲良くしてる男が居るって大暴れして、カイトに“帰れ!”って怒鳴られたことあるもんな!」
カイトとヒロは早速拓人をからかうと大笑いした。
「おまえら……桃華の前でそんなこと言うなよ!」
拓人がそう言う横で、桃華は申し訳なさそうに座っていた。
「それだけ拓人の中で桃華ちゃんが大切ってことだよね」
ハルキが拓人をおだてるように言う。
「まあな……」
「うわっ! 拓人ノロケやがって!」
ヒロは拓人を肘で突つきながら言った。
「別に……ノロケてなんかっ!」
「桃華ちゃん、拓人おもろいなぁ! からかうとめっちゃ良い顔するねんで!」
カイトがそう言いながら桃華の肩を取って悪戯っ子のような目で拓人を見た。
「カイト! おまえどさくさに紛れて!!」
拓人は桃華の肩に置かれたカイトの手を振り払い、桃華を抱き寄せた。
「桃華は俺のだっ!! ベタベタ触るんじゃねぇ!!」
「わっ! た、拓人……!?」
桃華は顔を真っ赤にして少し困ったような表情で拓人を見た。
「拓人、桃華ちゃん困ってるぞ」
シンジの冷静な言葉に拓人は我に返り
「桃華……ごめん」
と桃華を離した。
こんな調子で夕食中、拓人はみんなにからかわれながら、笑い声は絶えることなく過ぎていった。
夕食後、ハルキが口を開く。
「そういえばさ、桃華ちゃん今夜どうするの?」
「まさか泊まり?」
ヒロが興味津々で話に入る。
拓人は桃華を見て言う。
「桃華、どうするか? 気持ちが落ち着くまで居てくれていいんだけど、俺いつも家で仕事してる訳じゃねぇからな……1人で留守番させてしまうことも多いだろうし……」
桃華は拓人の言葉に少し頭を悩ませる。
このまま帰るか?
拓人の家に居るか?
桃華が悩んでいるのを見て、カイトが口を開く。
「せやなぁ……桃華ちゃん家は、母ちゃんとかいつも居てるん?」
「……はい。たいてい母がいつも家に居てくれてます」
「せやったら、拓人ん家で1人留守番させられるよりかは、家に居る方が安心なんちゃう?」
「……そうですね。拓人、私やっぱり帰ることにする。私何も言わずに出てきちゃったから、きっとお母さんも心配してるだろうし……」
「そうか。じゃあ俺、送るよ」
桃華の返事に拓人が答える。
「それなら俺の車乗って行きなよ。狙われてるかもしれないなら、夜道は歩かない方がいい」
ハルキのナイスな提案で、拓人は桃華の家まで車で連れて行ってもらうことにした。
ヒロが見上げると片手に沢山の料理の入った皿を運んできた拓人が居た。
ヒロは拓人に思いっきり頭を殴られたのだ。
「ヒロ!! てめぇ、桃華に手出すなって言っただろ!?」
「出してねぇよ! 肩組んだだけだし! それならハルキだってさっき桃華ちゃんに触れてたぜ?」
拓人はテーブルに皿を並べるなり、ハルキの胸倉を掴んだ。
「ハルキ! てめぇもか!」
「やめて、拓人! 私、何もされてないから!」
桃華が拓人の後ろから拓人にしがみついた。
「せやで拓人! いくらなんでも妬きすぎや! どんだけ俺ら信用ないんや!!俺ら悲しいわ……」
カイトはそう言うと、泣きまねをした。
拓人は自分自身に恥ずかしくなり
「……悪かった」
と言ってそっとハルキを離した。
拓人は残りの皿も並べると、桃華の隣に座った。
「ほんま拓人のヤキモチには毎回迷惑かけられっぱなしやわ!」
「ほんとほんと! 前も桃華ちゃんと仲良くしてる男が居るって大暴れして、カイトに“帰れ!”って怒鳴られたことあるもんな!」
カイトとヒロは早速拓人をからかうと大笑いした。
「おまえら……桃華の前でそんなこと言うなよ!」
拓人がそう言う横で、桃華は申し訳なさそうに座っていた。
「それだけ拓人の中で桃華ちゃんが大切ってことだよね」
ハルキが拓人をおだてるように言う。
「まあな……」
「うわっ! 拓人ノロケやがって!」
ヒロは拓人を肘で突つきながら言った。
「別に……ノロケてなんかっ!」
「桃華ちゃん、拓人おもろいなぁ! からかうとめっちゃ良い顔するねんで!」
カイトがそう言いながら桃華の肩を取って悪戯っ子のような目で拓人を見た。
「カイト! おまえどさくさに紛れて!!」
拓人は桃華の肩に置かれたカイトの手を振り払い、桃華を抱き寄せた。
「桃華は俺のだっ!! ベタベタ触るんじゃねぇ!!」
「わっ! た、拓人……!?」
桃華は顔を真っ赤にして少し困ったような表情で拓人を見た。
「拓人、桃華ちゃん困ってるぞ」
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「桃華……ごめん」
と桃華を離した。
こんな調子で夕食中、拓人はみんなにからかわれながら、笑い声は絶えることなく過ぎていった。
夕食後、ハルキが口を開く。
「そういえばさ、桃華ちゃん今夜どうするの?」
「まさか泊まり?」
ヒロが興味津々で話に入る。
拓人は桃華を見て言う。
「桃華、どうするか? 気持ちが落ち着くまで居てくれていいんだけど、俺いつも家で仕事してる訳じゃねぇからな……1人で留守番させてしまうことも多いだろうし……」
桃華は拓人の言葉に少し頭を悩ませる。
このまま帰るか?
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桃華が悩んでいるのを見て、カイトが口を開く。
「せやなぁ……桃華ちゃん家は、母ちゃんとかいつも居てるん?」
「……はい。たいてい母がいつも家に居てくれてます」
「せやったら、拓人ん家で1人留守番させられるよりかは、家に居る方が安心なんちゃう?」
「……そうですね。拓人、私やっぱり帰ることにする。私何も言わずに出てきちゃったから、きっとお母さんも心配してるだろうし……」
「そうか。じゃあ俺、送るよ」
桃華の返事に拓人が答える。
「それなら俺の車乗って行きなよ。狙われてるかもしれないなら、夜道は歩かない方がいい」
ハルキのナイスな提案で、拓人は桃華の家まで車で連れて行ってもらうことにした。
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