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第4章
拓人の部屋で(2)
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「幸せ……拓人にこんな風にしてもらえて。私の人生の良いところ、この日のために全部取ってたのかな?」
桃華は幸せそうに微笑む。
「桃華は今まで辛いこといっぱい耐えてきただろうから、その分幸せにならなきゃな!」
「でも……良いところ全部使い果たした気がする……」
「また桃華はそんなこと言う! もっと気持ちを強く持て! もっと幸せになってやるぞって」
拓人は桃華の顔を見つめた。
「人間って、意外と心で感じたように動く生き物だからな。弱い気持ちに左右されるのは良くない。同じように気持ちに左右されるならさ、良い方向に考える方がいいだろ? それならいっそ、自分はこうなりたいと思ったことを、こうなるんだって思い込ませてしまおうぜ!」
「拓人、私もっと幸せになる! もっと長く拓人と一緒に居る!」
桃華は力いっぱい拓人に抱き着いた。
拓人はそんな桃華の頭を撫でながら、
「その意気だ」
と笑いかける。
桃華は少し照れ臭そうに笑うと、
「えいっ」
と一声上げて拓人をベッドに押し倒し、唇を奪う。
「驚いた?」
桃華は嬉しそうに笑う。
拓人は一瞬驚いたような嬉しいような表情を見せ、今度は拓人が桃華の唇を奪う。
「仕返しだ」
「えへへ、仕返しされちゃった」
桃華は嬉しそうに笑って、拓人の胸板に頬を乗せてぴったりとくっついた。
拓人は自分の上に覆いかぶさる桃華を抱き締め、頭を撫でる。
「可愛い……」
「そうかな?」
桃華は顔を上げ、恥ずかしそうな表情を浮かべる。
「そうだ。俺の中では桃華が1番可愛い」
今度は桃華の目を見ながら言う。
あまり可愛いとか言われ慣れていない桃華は恥ずかしさに耐えられなくなり、目を逸らして拓人の胸元に顔を隠した。
「どうした?」
「ん……何でもない……」
拓人はそのまま桃華ごと身体を反転させ、今度は拓人が桃華の上に覆い被さる状態になった。
「きゃっ」
「きゃっ……じゃねぇよ」
桃華は真っ赤な顔を覗かせる。
「だって、拓人がそんな真剣な表情で可愛いとか言うから……」
「悪いか?」
「……悪くないです」
拓人はそんな桃華を見ると、勝ち誇ったような笑みを見せた。
「でも、そういう拓人はかっこいいもん……」
桃華は顔を逸らしながら恥ずかしそうに言う。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」
拓人は桃華の頭を撫で、桃華の額にキスをした。
桃華はくすぐったそうに目をつむる。
拓人の唇は、桃華の額から頬に移動し、そしてお互いに唇を重ねた。
「好きだ……桃華」
「私も、大好き……」
桃華は唇を離す拓人の頬に両手を添え、再び唇を重ねさせる。
「桃華……?」
「もっと、して欲しい……ダメ……?」
拓人は優しく微笑むと何度も唇を重ねた。
何度も何度も。
次第に自然とお互いに舌を絡めていた。
今度は優しく、ゆっくりと。
舌を動かす度に、桃華の口から漏れる甘い声と少し恥ずかしいキスの音だけが部屋中に響き渡った。
「桃華……愛してる」
拓人は唇を離すなり、桃華を抱きしめて耳元で囁いた。
「拓人、私も……愛してる……」
桃華も甘い声で囁くと、拓人の気持ちに応えるように拓人の身体に腕を回す。
それを合図に、拓人は桃華の首筋に顔を埋めて、唇を伝わせた。
拓人の手が少しずつ桃華の身体に優しく触れる。
その度に、部屋中に桃華の甘い声が響いた。
桃華は幸せそうに微笑む。
「桃華は今まで辛いこといっぱい耐えてきただろうから、その分幸せにならなきゃな!」
「でも……良いところ全部使い果たした気がする……」
「また桃華はそんなこと言う! もっと気持ちを強く持て! もっと幸せになってやるぞって」
拓人は桃華の顔を見つめた。
「人間って、意外と心で感じたように動く生き物だからな。弱い気持ちに左右されるのは良くない。同じように気持ちに左右されるならさ、良い方向に考える方がいいだろ? それならいっそ、自分はこうなりたいと思ったことを、こうなるんだって思い込ませてしまおうぜ!」
「拓人、私もっと幸せになる! もっと長く拓人と一緒に居る!」
桃華は力いっぱい拓人に抱き着いた。
拓人はそんな桃華の頭を撫でながら、
「その意気だ」
と笑いかける。
桃華は少し照れ臭そうに笑うと、
「えいっ」
と一声上げて拓人をベッドに押し倒し、唇を奪う。
「驚いた?」
桃華は嬉しそうに笑う。
拓人は一瞬驚いたような嬉しいような表情を見せ、今度は拓人が桃華の唇を奪う。
「仕返しだ」
「えへへ、仕返しされちゃった」
桃華は嬉しそうに笑って、拓人の胸板に頬を乗せてぴったりとくっついた。
拓人は自分の上に覆いかぶさる桃華を抱き締め、頭を撫でる。
「可愛い……」
「そうかな?」
桃華は顔を上げ、恥ずかしそうな表情を浮かべる。
「そうだ。俺の中では桃華が1番可愛い」
今度は桃華の目を見ながら言う。
あまり可愛いとか言われ慣れていない桃華は恥ずかしさに耐えられなくなり、目を逸らして拓人の胸元に顔を隠した。
「どうした?」
「ん……何でもない……」
拓人はそのまま桃華ごと身体を反転させ、今度は拓人が桃華の上に覆い被さる状態になった。
「きゃっ」
「きゃっ……じゃねぇよ」
桃華は真っ赤な顔を覗かせる。
「だって、拓人がそんな真剣な表情で可愛いとか言うから……」
「悪いか?」
「……悪くないです」
拓人はそんな桃華を見ると、勝ち誇ったような笑みを見せた。
「でも、そういう拓人はかっこいいもん……」
桃華は顔を逸らしながら恥ずかしそうに言う。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」
拓人は桃華の頭を撫で、桃華の額にキスをした。
桃華はくすぐったそうに目をつむる。
拓人の唇は、桃華の額から頬に移動し、そしてお互いに唇を重ねた。
「好きだ……桃華」
「私も、大好き……」
桃華は唇を離す拓人の頬に両手を添え、再び唇を重ねさせる。
「桃華……?」
「もっと、して欲しい……ダメ……?」
拓人は優しく微笑むと何度も唇を重ねた。
何度も何度も。
次第に自然とお互いに舌を絡めていた。
今度は優しく、ゆっくりと。
舌を動かす度に、桃華の口から漏れる甘い声と少し恥ずかしいキスの音だけが部屋中に響き渡った。
「桃華……愛してる」
拓人は唇を離すなり、桃華を抱きしめて耳元で囁いた。
「拓人、私も……愛してる……」
桃華も甘い声で囁くと、拓人の気持ちに応えるように拓人の身体に腕を回す。
それを合図に、拓人は桃華の首筋に顔を埋めて、唇を伝わせた。
拓人の手が少しずつ桃華の身体に優しく触れる。
その度に、部屋中に桃華の甘い声が響いた。
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