キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

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*第5章*

続きは生徒会室で(2)

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「す、すすす……」

「すき焼き、とか言うなよ?」

「い、言いません!」

 あたしが思わずムキになって言い返すと、プハッと笑う蓮先輩。


 もう! 蓮先輩の意地悪!

 でも、相変わらずドキドキと心臓はうるさいままだけど、少し緊張がほぐれたのか……

「……好き、です」

 あたしは、蓮先輩の耳元で小さく呟いた。


 腕の力を弱めて、満足げにあたしを見つめる蓮先輩。

 ふわりと蓮先輩の大きな手が、あたしの頬に触れる。


「俺も、おまえが好きだ」

 蓮先輩はそう言って、あたしの頬に添えた手の親指でそっとあたしの唇をなぞった。


「……いい?」

 ちょっと不安げな蓮先輩。


「……はい」

 あたしが小さく返事をした瞬間、そっと顔を持ち上げられて蓮先輩と唇が重なった。

 軽く触れ合って、一旦離れる唇。

 至急距離で、あたしを見つめる蓮先輩。


「あ、あの……っ」

 恥ずかしくて、口から心臓が飛び出しちゃいそうだよ……。

 すると蓮先輩は、あたしの唇を人さし指でつついて悪戯っ子のように笑う。


「なあ、優芽。おまえが俺とキスするの、これが初めてじゃないって知ってる?」

「え……、えええっ!?」

 あたしと、蓮先輩がキス……?

 今のが初めてじゃなかったの……!?


「やっぱ覚えてねーか」

 クククと笑う、蓮先輩。


 でも、心当たりがないわけではない。

「……もしかして、スポーツ大会のとき、」

「何だよ、覚えてんじゃねーか」

「い、いや……」


 覚えてたっていうか、何となくキスされた錯覚に陥ってたっていうか……。


「で、でも、生徒会の合宿のとき、蓮先輩はあのときあたしに何もしてないって……」

「優芽が覚えてるかどうかも分かんねえのに、おまえとキスしちゃいましたなんて言えるわけねーだろ。俺からしたら、あんときはおまえの気持ちも全然分からなかったんだし」

 どこかふて腐れたように言う蓮先輩。

 でも、あのときのキスが本物だったんだって分かって嬉しい。


「何だよ、笑ってんじゃねーよ」

 え……、あたし、笑ってたっけ?

 思わずきょとんとしたあたしに、蓮先輩が一言。


「顔が笑ってた」

 思わず両手を両頬に添える。


「や、それは、あのときのが現実で良かったなとか思って、その……」

 とっさに言い訳するものの、あたしったら一体何言ってるんだろう……?


「あー、もう分かったから」

 そう言って、再び近づく蓮先輩の顔。


「……もういいから、黙れよ」

「んん……っ」

 そして、さっきよりも深く蓮先輩の唇があたしの唇に重なった。


「蓮、せんぱ……んっ」

 一旦唇が離れるも、再び角度を変えて重なる唇。

 何回かそんなキスを繰り返したとき。

 蓮先輩はあたしの後頭部に手を添えて、あたしを抱き寄せた。


「やべ……、一瞬、自分が抑えられなくなるところだった……」

「……え?」

 思わずあたしが漏らした声に蓮先輩はフッと笑うと、あたしから少し身体を離して再びあたしを見つめた。


「大丈夫だ。今すぐに全部奪うつもりはないから」

 蓮先輩はそう言って、再びあたしの頬に触れる。


「時間をかけて少しずつ、おまえのこと全部、奪っていってやるよ」

 蓮先輩が言ってる意味をだんだんと理解して、少しずつ顔が熱くなる。


「何想像してんだ」

「べ、別に変な想像なんてしてないです!」

「へえ、変な想像してたんだ」

 ニヤリと意地悪く笑う、蓮先輩。

 あ、あたしったら、何自分で墓穴掘ってるのよぅ……。

 より一層、顔に熱がこもる。

 恥ずかしさに思わず目をつむると、再び蓮先輩にぎゅうっと抱きしめられた。

 あたしが蓮先輩を見上げると、蓮先輩の真剣な瞳と視線がぶつかる。


「俺、何があってもおまえのこと手放すつもりねえから。覚悟しとけよ」

「はい」

 即答すると、蓮先輩があたしを抱きしめる腕の力が、一層強まった。


 あたしも、ずっと蓮先輩から離れるつもりないです。

 だから、蓮先輩。

 ずっとあたしのそばにいてくださいね……。
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