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*第5章*
気になる関係(2)
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「いいよ、結衣。……二人、は付き合ってるんだよね?」
見れば見るほどに美男美女でお似合いな二人。
その姿を見ていられなくて、思わずうつむいた。
すると、結衣はあははとどこかおかしそうに笑う。
「優芽ったら何言ってるのよ。あたしと会長が付き合うとか絶対有り得ないから」
「え……、だって昨日生徒会室で……」
そこまで言いかけて、ハッと口を閉ざす。
これじゃあ、昨日のあのシーンを盗み見てましたって言ってるようなもんじゃない……。
「そんなとこまで優芽に見られてたんだ……。でも、本当に、会長とはそんなんじゃないよ」
結衣はどこか照れ臭そうに笑うと、真面目な顔であたしを見る。
「さっき優芽が聞いた通り、会長はあたしの実のお兄ちゃんなんだ」
「え……? 蓮先輩が年下の彼女の結衣に“お兄ちゃん”って呼ばせてたんじゃなくて……?」
蓮先輩と結衣が兄妹だなんて信じられなくて、思わずそんなことを口に出してしまう。
「はあ? おまえの中で俺のイメージ、どうなってんだよ。そんな趣味ねえし……」
あたしの言葉に、呆れたように肩を落とす蓮先輩。
そして再びあたしに視線を戻して、蓮先輩は口を開く。
「まあ、驚くのも無理ねえか。顔だってそんなに似てねえし、ガキの頃に両親が離婚して、別々に引き取られたせいで苗字だって違うからな」
「そう、だったんですか……」
やっぱりまだ実感がわかないけど、蓮先輩の説明に思わず納得。
「驚かせちゃってごめんね。あたし、こう見えて実はかなりお兄ちゃんっ子で、両親が離婚してからも時々お兄ちゃんとは会ってたんだ。小学校も中学校も学校は違ったけど、お互いの家はそんなに遠くなかったから」
この高校に決めたのもお兄ちゃんが通ってたからなんだ、と照れ臭そうに説明してくれる結衣。
「そうなんだ。でも、何で……」
結衣と蓮先輩が兄妹なのはわかったけど、何で結衣はお兄さんの蓮先輩と同じ学校に入りたくて入ったはずなのに、そんな隠すようなこと……。
結衣はあたしの心の声を読んだかのように、眉を下げて笑った。
「だって、妹と言っても苗字も違うし、端からみたら兄妹に見えないじゃない? お兄ちゃん、生徒会長として変に目立ってるし、上級生に目をつけられそうで……。だから、学校では他人のフリしてたの」
結衣はそこまで話すと、申し訳なさげにあたしを見る。
「……ずっと隠してて、誤解までさせちゃってごめんね。怒ってない?」
「怒ってないよ、話してくれて嬉しかった」
確かに蓮先輩の人気じゃ、結衣がそんな風に考えちゃうのもわかるし……。
「優芽ーっ!! 本当にごめんね、ありがとう」
結衣がぎゅうっとあたしに抱き着いてくるから、その反動で若干後ろに反り返ってしまった。
蓮先輩はあたしたちのそんな光景を見ながら腕を組むと、何か考えるような顔つきを浮かべる。
「なあ、優芽。おまえが昨日俺らを見たとき、誰かと一緒だったか?」
「え? ああ……、広瀬先輩と笹倉先輩が一緒でしたよ」
「それでか……」
あたしの返事を聞くなり、蓮先輩は顔に片手を添えて、はあとうなだれた。
「……あいつらにも、話す必要がありそうだな」
蓮先輩は眉を下げて笑うと、あたしと結衣の方へと歩いてきて、ふわりとあたしの頭に大きな手を乗せる。
「なんかおまえもいつものおまえに戻ってるけど、まさか俺と結衣のこと勘違いしてたから、俺のこと避けてたのか?」
「……っ!?」
蓮先輩に図星を刺されて、身体が硬直する。
するとそんなあたしを見て、蓮先輩はプッと吹き出すように笑った。
「そんなデメキンみたいな顔するなよ。カレー女の次は、デメキン女にでもなるつもりか?」
「で、デメキンっ!?」
「やっぱりおまえ、おもしれーわ!」
おうむ返しのように声を上げたあたしを見て満足げに笑うと、蓮先輩はクールに資料室を出て行った。
あたしがぽかんと蓮先輩の出て行った資料室の扉を見ていると、結衣が口を開く。
「優芽は、会長のこと好き、なんだよね?」
「は、え、おぉぉっ!?」
突然の結衣の言葉に、思わず変な声を上げて身構えるようなポーズを取る。
「何そのリアクション。何となく、最近の優芽見てたらそんな感じしたから」
当たってた? と、得意げに笑う結衣。
うぅぅ……。
あたしですらやっと気づいた自分の気持ちなのに、結衣には簡単に見抜かれてたなんて……。
見れば見るほどに美男美女でお似合いな二人。
その姿を見ていられなくて、思わずうつむいた。
すると、結衣はあははとどこかおかしそうに笑う。
「優芽ったら何言ってるのよ。あたしと会長が付き合うとか絶対有り得ないから」
「え……、だって昨日生徒会室で……」
そこまで言いかけて、ハッと口を閉ざす。
これじゃあ、昨日のあのシーンを盗み見てましたって言ってるようなもんじゃない……。
「そんなとこまで優芽に見られてたんだ……。でも、本当に、会長とはそんなんじゃないよ」
結衣はどこか照れ臭そうに笑うと、真面目な顔であたしを見る。
「さっき優芽が聞いた通り、会長はあたしの実のお兄ちゃんなんだ」
「え……? 蓮先輩が年下の彼女の結衣に“お兄ちゃん”って呼ばせてたんじゃなくて……?」
蓮先輩と結衣が兄妹だなんて信じられなくて、思わずそんなことを口に出してしまう。
「はあ? おまえの中で俺のイメージ、どうなってんだよ。そんな趣味ねえし……」
あたしの言葉に、呆れたように肩を落とす蓮先輩。
そして再びあたしに視線を戻して、蓮先輩は口を開く。
「まあ、驚くのも無理ねえか。顔だってそんなに似てねえし、ガキの頃に両親が離婚して、別々に引き取られたせいで苗字だって違うからな」
「そう、だったんですか……」
やっぱりまだ実感がわかないけど、蓮先輩の説明に思わず納得。
「驚かせちゃってごめんね。あたし、こう見えて実はかなりお兄ちゃんっ子で、両親が離婚してからも時々お兄ちゃんとは会ってたんだ。小学校も中学校も学校は違ったけど、お互いの家はそんなに遠くなかったから」
この高校に決めたのもお兄ちゃんが通ってたからなんだ、と照れ臭そうに説明してくれる結衣。
「そうなんだ。でも、何で……」
結衣と蓮先輩が兄妹なのはわかったけど、何で結衣はお兄さんの蓮先輩と同じ学校に入りたくて入ったはずなのに、そんな隠すようなこと……。
結衣はあたしの心の声を読んだかのように、眉を下げて笑った。
「だって、妹と言っても苗字も違うし、端からみたら兄妹に見えないじゃない? お兄ちゃん、生徒会長として変に目立ってるし、上級生に目をつけられそうで……。だから、学校では他人のフリしてたの」
結衣はそこまで話すと、申し訳なさげにあたしを見る。
「……ずっと隠してて、誤解までさせちゃってごめんね。怒ってない?」
「怒ってないよ、話してくれて嬉しかった」
確かに蓮先輩の人気じゃ、結衣がそんな風に考えちゃうのもわかるし……。
「優芽ーっ!! 本当にごめんね、ありがとう」
結衣がぎゅうっとあたしに抱き着いてくるから、その反動で若干後ろに反り返ってしまった。
蓮先輩はあたしたちのそんな光景を見ながら腕を組むと、何か考えるような顔つきを浮かべる。
「なあ、優芽。おまえが昨日俺らを見たとき、誰かと一緒だったか?」
「え? ああ……、広瀬先輩と笹倉先輩が一緒でしたよ」
「それでか……」
あたしの返事を聞くなり、蓮先輩は顔に片手を添えて、はあとうなだれた。
「……あいつらにも、話す必要がありそうだな」
蓮先輩は眉を下げて笑うと、あたしと結衣の方へと歩いてきて、ふわりとあたしの頭に大きな手を乗せる。
「なんかおまえもいつものおまえに戻ってるけど、まさか俺と結衣のこと勘違いしてたから、俺のこと避けてたのか?」
「……っ!?」
蓮先輩に図星を刺されて、身体が硬直する。
するとそんなあたしを見て、蓮先輩はプッと吹き出すように笑った。
「そんなデメキンみたいな顔するなよ。カレー女の次は、デメキン女にでもなるつもりか?」
「で、デメキンっ!?」
「やっぱりおまえ、おもしれーわ!」
おうむ返しのように声を上げたあたしを見て満足げに笑うと、蓮先輩はクールに資料室を出て行った。
あたしがぽかんと蓮先輩の出て行った資料室の扉を見ていると、結衣が口を開く。
「優芽は、会長のこと好き、なんだよね?」
「は、え、おぉぉっ!?」
突然の結衣の言葉に、思わず変な声を上げて身構えるようなポーズを取る。
「何そのリアクション。何となく、最近の優芽見てたらそんな感じしたから」
当たってた? と、得意げに笑う結衣。
うぅぅ……。
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