キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

文字の大きさ
上 下
42 / 81
*第3章*

夏のはじまり(3)

しおりを挟む
 ──しかし。


「……と言うわけだ。八月の頭に、琉生んとこの別荘を借りて生徒会の強化合宿を行うから、カレー女も必ず参加するように!」

 はい!?

 生徒会室の大掃除が終わったあと、あたしの思いを打ち砕くかのように発せられた、神崎先輩の言葉。

 あたしが手渡されたプリントを見つめたまま、固まっていると、広瀬先輩が口を開く。


「優芽ちゃん、そんな怯えなくて大丈夫! 強化合宿と言う名の、中身はお遊びだからさ」

「うん。それは僕も保証するよ。名目は強化合宿だけどさ、たまにはみんなで羽を伸ばそうっていう企画だし」

 広瀬先輩の言葉に付け加えるように、笹倉先輩も説明してくれる。


「男四人に女の子一人やからな、心配なら友達誘って来てくれても構わへんで?」

 妹尾先輩の言う通り、確かにそこも気になってたけど……。

 あたしはチラリと神崎先輩を見上げる。


「何だよ。まさか参加できないなんて言わねえよな?」

「い、いえ……」

 反射的にそう答えるも、神崎先輩はフッと笑った。


「まあ、無理と言ったところで、おまえの都合のつく日に日程を合わせるだけだ」

「……それって、つまりは強制参加ってことですか?」

「そういうことだ。カレー女にしては、頭の回転が早いな」

 カレー女にしては……って、神崎先輩、何気に酷いです。


「うわっ、蓮もその言い方はねえだろ!」

「何だよ、文句あるか?」

「ありまくりで、説明するのも面倒くせえ!」

 何の悪びれもなく言う広瀬先輩に、神崎先輩は思いきり眉をしかめた。

 目の前の二人の様子を楽しそうに眺めながら、笹倉先輩が口を開く。


「優芽ちゃんも来てくれるなら、しっかり楽しんでもらえるように準備しなきゃだね」

「ほんまほんま! 因みにな、琉生んとこの別荘、めっちゃ海の近くやねん!」

「本当ですか!?」

 妹尾先輩の言葉に、思わず目を輝かせる。

 海なんて、中学のときの海の学校以来だよ!

 あたしのその様子に、笹倉先輩はプッと吹き出すように笑った。


「優芽ちゃん、急に表情明るくなりすぎ。海、好きなの?」

「はい!」

「ええ返事や! でも、優芽ちゃんが少しでも行く気になってくれたなら、俺も嬉しいわ!」

 妹尾先輩も少し可笑しそうに笑いながら、口を開く。


「わーっ! 蓮の相手してる間に何三人で盛り上がってんだよ!」

 慌てた様子でこちらの輪に入って来る、広瀬先輩。

 それに遅れて登場する、神崎先輩。


「行く気になったのは良しとして、海で泳ぎたいなら水着忘れんなよ」

「「!?」」

 神崎先輩の言葉に、先輩たち三人が一瞬固まった。


「うっわ! おまえ、優芽ちゃんに水着とか、ムッツリかよ!」

「やっと行く気になってくれた優芽ちゃんにかける言葉が水着って……、おまえ、他に言うことあるやろ!」

「早速、水着の催促をするだなんて、いただけないね」

 口々にそう言う先輩たちに、神崎先輩は声を上げる。


「は? 何でそうなるんだよ。こいつが水着忘れたら、裸で泳ぐ羽目になるんだぞ?」

「ちょっ、か、神崎先輩!!」

 は、裸って……。

 っていうか、水着忘れたら、まず泳がないし……!


「おまえ、裸とか言うなよ! 優芽ちゃん、顔真っ赤になっちゃったじゃん」

 お腹を抱えて、豪快に笑う広瀬先輩。


「なるほど、蓮の頭の中では裸の優芽ちゃんが泳いでると」

「つまり、真の変態は、蓮ってことやな」

 笹倉先輩と妹尾先輩も、口々に神崎先輩をからかうように言う。


「あー、もう! うっせえよ、おまえら! 人を勝手に変態呼ばわりしてんじゃねえ!」

 あまりに神崎先輩が顔を赤くして怒鳴るので、それが余計に皆さんの笑いのツボを刺激した。

 ぎゃいぎゃいと騒がしい生徒会室。

 生徒会の皆さんと過ごす夏は、まだ始まったばかりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【短編集2】恋のかけらたち

美和優希
恋愛
魔法のiらんどの企画で書いた恋愛小説の短編集です。 甘々から切ない恋まで いろんなテーマで書いています。 【収録作品】 1.百年後の未来に、きみと(2020.04.24) →誕生日に、彼女からどこにでも行ける魔法のチケットをもらって──!? 魔法のiらんど企画「#つながる魔法で続きをつくろう」 で書いたSSです。 2.優しい鈴の音と鼓動(2020.11.08) →幼なじみの凪くんは最近機嫌が悪そうで意地悪で冷たい。嫌われてしまったのかと思っていたけれど──。 3.歌声の魔法(2020.11.15) →地味で冴えない女子の静江は、いつも麗奈をはじめとしたクラスメイトにいいように使われていた。そんなある日、イケメンで不真面目な男子として知られる城野に静江の歌と麗奈への愚痴を聞かれてしまい、麗奈をギャフンと言わせる作戦に参加させられることになって──!? 4.もしも突然、地球最後の日が訪れたとしたら……。(2020.11.23) →“もしも”なんて来てほしくないけれど、地球消滅の危機に直面した二人が最後に見せたものは──。 5.不器用なサプライズ(2021.01.08) →今日は彼女と付き合い始めて一周年の記念日。それなのに肝心のサプライズの切り出し方に失敗してしまって……。 *()内は初回公開・完結日です。 *いずれも「魔法のiらんど」で公開していた作品になります。サービス終了に伴い、ページ分けは当時のままの状態で公開しています。 *現在は全てアルファポリスのみの公開です。 アルファポリスでの公開日*2025.02.11 表紙画像は、イラストAC(がらくった様)の画像に文字入れをして使わせていただいてます。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...