キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

文字の大きさ
上 下
39 / 81
*第3章*

おまえが悪いんだからな(2)

しおりを挟む
「ん……、んぅ……」

 熱い吐息とともに、苦しそうに漏れた優芽の声に、ハッと我に返る。


 俺……。

 俺、今、こいつに何した……?


 心拍数が一気に跳ね上がる。

 自分が優芽にキスをしてしまったという事実に気づくのに、そう時間はかからなかった。


「ん……っ」

 至近距離で優芽を見つめたままいると、微かに声を漏らして動く優芽の目元。

 そして、ゆっくりと優芽のまぶたが押し上げられる。


「え……、か、神崎せんぱ……」

 間近にある俺の顔をしっかり捉えるなり、大きく目を見開く優芽。


「あ、あれ? あ、あたし……」

 まさか、さっきのキスには、気づいてねえのか……?

 まあ、いい。

 下手に知るより、何も知らない方がお互いのためだ。


「気がついたか? おまえ、熱中症で倒れて、ここは保健室だ」

「あ、そうなんですか……。あたし、どうやってここに……」

「俺が、連れてきた」

 すると、何故かこのタイミングで恥ずかしそうに目を逸らす優芽。


「え、そんな。す、すみません……」

「そんなこと気にするな。まだ熱高いみたいだし、大人しく寝とけ」

 俺は優芽の肩まで、そっと掛け布団をかけ直してやる。


「あ、あの……っ」

 俺が今度こそスポーツドリンクを買ってきてやろうとしたとき、掛け布団から顔を半分出した優芽に呼び止められる。


「あ、ありがとうございました……」

「ん」

 俺は、その真っ直ぐな優芽の瞳を見つめ返すことができなくて、短く返事をして保健室をあとにした。

 保健室を出て、思わず大きくため息を漏らし、自分の唇に手を当てる。


 あいつの……。

 優芽の熱い唇の感触が……。

 優芽の熱い吐息が……。

 こびりついて、頭から離れない。


 っていうか、あいつは、本当に何も気づいてねえのか?

 わかんねえ……。


「ったく、何なんだよ」

 優芽と出会ったのは、あいつの入学式の日だった。

 中庭で、入学式の生徒会挨拶の言葉を、頭の中で予行練習していた俺。

 やたらとギャーギャーうるさく騒ぐ声が聞こえて、文句を言ったとき。

 思いっきり俺の上に飛び込んできたのが、優芽だった。


 かと思えば、そのあともカレーを制服にぶっかけてくるし……。

 正直、どうしようもない女だと思った。


 だけど、不思議とあいつの前では自然体で居られる俺がいて、それを心地よく感じているのもまた事実だ。

 こちらの意思に関係なく無条件で俺の中に入り込んでくる優芽に、俺自身コントロールできない感情がわき上がって、日に日に大きく膨れ上がっていった。


 こんな気持ち、初めてで……。

 俺は一体、どうすればいいんだよ。

 胸に潜む想いの正体に気づいたところで、その対処法を、俺は知らない。


 静寂な空間。

 身体中が心臓になったんじゃないかと思うくらいに、やけに大きく鳴り響く鼓動。

 自分でもびっくりするくらいに、俺は動揺していた。


 っていうか、何で俺がこんなに悩まされなきゃなんねえんだよ……!

 カレー女のくせに……。

 あいつが、あんな目で俺を見るから……。

 あんな風に俺を引き止めるからいけねえんだ……。


 キスしたからなんだよ!

 んなもん、知るかよ!


「おまえが悪いんだからな……」

 優芽に聞こえるわけがないけれど、小さな声でそう呟いて、俺は自販機までの道を急いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【短編集2】恋のかけらたち

美和優希
恋愛
魔法のiらんどの企画で書いた恋愛小説の短編集です。 甘々から切ない恋まで いろんなテーマで書いています。 【収録作品】 1.百年後の未来に、きみと(2020.04.24) →誕生日に、彼女からどこにでも行ける魔法のチケットをもらって──!? 魔法のiらんど企画「#つながる魔法で続きをつくろう」 で書いたSSです。 2.優しい鈴の音と鼓動(2020.11.08) →幼なじみの凪くんは最近機嫌が悪そうで意地悪で冷たい。嫌われてしまったのかと思っていたけれど──。 3.歌声の魔法(2020.11.15) →地味で冴えない女子の静江は、いつも麗奈をはじめとしたクラスメイトにいいように使われていた。そんなある日、イケメンで不真面目な男子として知られる城野に静江の歌と麗奈への愚痴を聞かれてしまい、麗奈をギャフンと言わせる作戦に参加させられることになって──!? 4.もしも突然、地球最後の日が訪れたとしたら……。(2020.11.23) →“もしも”なんて来てほしくないけれど、地球消滅の危機に直面した二人が最後に見せたものは──。 5.不器用なサプライズ(2021.01.08) →今日は彼女と付き合い始めて一周年の記念日。それなのに肝心のサプライズの切り出し方に失敗してしまって……。 *()内は初回公開・完結日です。 *いずれも「魔法のiらんど」で公開していた作品になります。サービス終了に伴い、ページ分けは当時のままの状態で公開しています。 *現在は全てアルファポリスのみの公開です。 アルファポリスでの公開日*2025.02.11 表紙画像は、イラストAC(がらくった様)の画像に文字入れをして使わせていただいてます。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...