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*第3章*
炎天下のハプニング!?(1)
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照り付ける陽射しに、めまいさえ覚える。
「あっつ~」
「ほんと、何も期末テスト終わったからって、この時期に球技大会なんてね……」
一週間前に期末テストを終えたあたしたち。
夏休みを目前として、桜ヶ丘高校ではクラス対抗の球技大会が行われていた。
球技大会は、各クラストーナメント方式で行われ、種目はバレーボール、バスケ、サッカー。
あたしと結衣はバレーボールの部に出ていたんだけど、早くも初戦敗退。
だから、有り余った時間を、こうして体育館の軒下でダラダラと過ごしていた。
「でも、テストもなんとか赤点なしでパスできて良かったよぉ~」
「優芽、生徒会長からスパルタ授業受けてたもんね」
「思い出すだけでも恐怖だよ……」
まあそのおかげで赤点免れたんだけど……。
ふふふと笑う結衣は、あたしたち一年生の成績トップ。
美人で、頭もいいなんて……、あたしにどっちか分けてほしいくらいだよ。
そのとき、体育館の中から、キャアアアっと割れんばかりの黄色い歓声が響く。
気になって体育館の中を覗くと、溢れんばかりの女子生徒。
「な、何事?」
「二年生の男子バスケの試合じゃないかな。会長と副会長の居る二年八組と、書記の笹倉先輩の居る二年五組の試合が、ちょうど今行われてるって」
結衣は球技大会のタイムテーブルを見ながら言う。
「それでか……」
そういえば、妹尾先輩以外の三人は、バスケに出るって言ってたもんなあ。
改めて、生徒会の皆さんの人気を実感する。
こんな有名人と一緒に生徒会やってるなんて、不思議な感じがするよ……。
「優芽は見なくていいの?」
「え……、だって、絶対すごい人だよ」
「ちょっとだけ、行ってみよう?」
結衣って、入学当時、生徒会の皆さんには興味ないって言ってなかったっけ?
あたしは結衣に手を引かれながら、しぶしぶ人混みの中へと足を踏み入れた。
「やっぱりすごい人だし、これ以上無理だよ~」
やっとバスケの試合の行われているコート付近まで来たものの、ここから先輩たちの姿を確認できないくらいの人だかり。
「きゃあああ!! 蓮サマすごーいっ!!」
瞬間、ものすごい盛り上がりを見せる。
雰囲気的に、神崎先輩がシュートでも決めたのかな……?
ここからじゃ、全く以って分からないけれど。
「お二人さん」
そのとき、背後からあたしと結衣の肩にポンと手を乗せられる。
この人混みの中、誰だろうと振り向くと……。
「せ、妹尾先輩!?」
そこには、爽やかな笑みを浮かべた妹尾先輩が立っていた。
妹尾先輩は、シーッと口元に人さし指を立てる。
「……この試合がよく見えるいい穴場知ってるねん。良かったら、お二人さん、どうや?」
妹尾先輩の提案に、あたしと結衣は顔を見合わせて、妹尾先輩のあとに続いた。
「わああ!! すごいですね!!」
ガラスばりの窓越しに見えるのは、先程の神崎先輩たちの試合。
それが、真上から綺麗に見えていた。
「体育館の二階に併設された運動部のトレーニングルームからは、体育館の一階が綺麗に見渡せますからね」
結衣もなるほどといった感じに、ガラスばりの窓の外を見つめる。
「せやろ? 何やみんなの出る試合はギャラリーが多いからな、でもやっぱり勝敗は気になるし、俺はいつもこっから見てるねん」
妹尾先輩も隣に来て、バスケの試合に視線を落とす。
「ここの鍵の管理は基本的に生徒会が管理しとるからな、俺らの特権やで?」
「でも、よくあたしたちが体育館に居るのが分かりましたね」
得意げに笑う妹尾先輩に、結衣が口を開く。
「あっつ~」
「ほんと、何も期末テスト終わったからって、この時期に球技大会なんてね……」
一週間前に期末テストを終えたあたしたち。
夏休みを目前として、桜ヶ丘高校ではクラス対抗の球技大会が行われていた。
球技大会は、各クラストーナメント方式で行われ、種目はバレーボール、バスケ、サッカー。
あたしと結衣はバレーボールの部に出ていたんだけど、早くも初戦敗退。
だから、有り余った時間を、こうして体育館の軒下でダラダラと過ごしていた。
「でも、テストもなんとか赤点なしでパスできて良かったよぉ~」
「優芽、生徒会長からスパルタ授業受けてたもんね」
「思い出すだけでも恐怖だよ……」
まあそのおかげで赤点免れたんだけど……。
ふふふと笑う結衣は、あたしたち一年生の成績トップ。
美人で、頭もいいなんて……、あたしにどっちか分けてほしいくらいだよ。
そのとき、体育館の中から、キャアアアっと割れんばかりの黄色い歓声が響く。
気になって体育館の中を覗くと、溢れんばかりの女子生徒。
「な、何事?」
「二年生の男子バスケの試合じゃないかな。会長と副会長の居る二年八組と、書記の笹倉先輩の居る二年五組の試合が、ちょうど今行われてるって」
結衣は球技大会のタイムテーブルを見ながら言う。
「それでか……」
そういえば、妹尾先輩以外の三人は、バスケに出るって言ってたもんなあ。
改めて、生徒会の皆さんの人気を実感する。
こんな有名人と一緒に生徒会やってるなんて、不思議な感じがするよ……。
「優芽は見なくていいの?」
「え……、だって、絶対すごい人だよ」
「ちょっとだけ、行ってみよう?」
結衣って、入学当時、生徒会の皆さんには興味ないって言ってなかったっけ?
あたしは結衣に手を引かれながら、しぶしぶ人混みの中へと足を踏み入れた。
「やっぱりすごい人だし、これ以上無理だよ~」
やっとバスケの試合の行われているコート付近まで来たものの、ここから先輩たちの姿を確認できないくらいの人だかり。
「きゃあああ!! 蓮サマすごーいっ!!」
瞬間、ものすごい盛り上がりを見せる。
雰囲気的に、神崎先輩がシュートでも決めたのかな……?
ここからじゃ、全く以って分からないけれど。
「お二人さん」
そのとき、背後からあたしと結衣の肩にポンと手を乗せられる。
この人混みの中、誰だろうと振り向くと……。
「せ、妹尾先輩!?」
そこには、爽やかな笑みを浮かべた妹尾先輩が立っていた。
妹尾先輩は、シーッと口元に人さし指を立てる。
「……この試合がよく見えるいい穴場知ってるねん。良かったら、お二人さん、どうや?」
妹尾先輩の提案に、あたしと結衣は顔を見合わせて、妹尾先輩のあとに続いた。
「わああ!! すごいですね!!」
ガラスばりの窓越しに見えるのは、先程の神崎先輩たちの試合。
それが、真上から綺麗に見えていた。
「体育館の二階に併設された運動部のトレーニングルームからは、体育館の一階が綺麗に見渡せますからね」
結衣もなるほどといった感じに、ガラスばりの窓の外を見つめる。
「せやろ? 何やみんなの出る試合はギャラリーが多いからな、でもやっぱり勝敗は気になるし、俺はいつもこっから見てるねん」
妹尾先輩も隣に来て、バスケの試合に視線を落とす。
「ここの鍵の管理は基本的に生徒会が管理しとるからな、俺らの特権やで?」
「でも、よくあたしたちが体育館に居るのが分かりましたね」
得意げに笑う妹尾先輩に、結衣が口を開く。
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