36 / 81
*第3章*
炎天下のハプニング!?(2)
しおりを挟む
「優芽ちゃんと片桐マネが明らかに試合が見えなさそうな位置でピョンピョン飛び跳ねとるの見てしまったら、そりゃ見て見ぬフリできんやろ?」
そのときだった。
「あっ!!」
笹倉先輩からボールを奪った広瀬先輩が、ドリブルで敵を防ぎ、一番自分たちのゴール付近にいた神崎先輩にパスを繋ぐ。
ボールは綺麗な孤を描いて、神崎先輩の腕の中へ。
広瀬先輩から離れた位置にいた神崎先輩の周りはノーマーク。
ハッとした笹倉先輩のクラスのメンバーは、神崎先輩の方へと向かう。
しかし、敵が神崎先輩に近づく手前、神崎先輩はスリーポイントのラインからボールをゴールへ放った。
神崎先輩の手を離れたボールは、綺麗な孤を描き、ゴールへと吸い込まれた。
「わああっ!!」
「会長、ナイスシュート!!」
あたしと結衣が興奮気味に声を上げる中、ガラス越しにも割れんばかりの歓声が聞こえてくる。
「おっ、蓮の奴、またやりおったな!」
妹尾先輩も関心したように笑った。
コートの中心では、神崎先輩と広瀬先輩がハイタッチを交わしているのが見えた。
「やっぱり、蓮と達也には敵わへんな。よっぽど信頼してなきゃ、あんな離れた位置からパス回そうと思わんやろ」
「神崎先輩と広瀬先輩って、そんなに仲良いんですか?」
「まあ、あの二人は小学生の頃からの仲らしいからな。時々やけどな、一緒におると、二人には俺らとは違う絆のようなもんを感じるときがあるねん」
へえ、そうなんだ……。
妹尾先輩の言葉に、あたしは再びコートへと視線を落とした。
すると、今度は笹倉先輩が見事なダンクシュートを決めて、再びさっきとは違う黄色い歓声がガラス越しに響いてきた。
そうしているうちに、試合終了の合図が鳴り響き、24‐22で神崎先輩と広瀬先輩のクラスが勝利した。
「なかなかの接戦やったなあ~!! ええもん見れたわ!」
満足げに笑う妹尾先輩に、お礼を言う。
「本当に。先輩のおかげです。ありがとうございました」
「ええって! 俺も二人と一緒に見ることができて楽しかったし!」
そう言って、妹尾先輩はタイムテーブルの書かれた紙を広げる。
「優芽ちゃんらは試合、大丈夫なん?」
「あたしたちのチームは初戦敗退しちゃったんです」
結衣があたしの代わりに答える。
「初戦敗退やとめっちゃ暇やもんな。次の球技大会の改善点として、また生徒会で話し合わなあかんな」
ごめんな、と妹尾先輩はタイムテーブルの書かれた紙をポケットに押し込みながら、苦笑いを浮かべた。
「そんな、先輩が悪いわけじゃないですから。そういえば、先輩の試合もそろそろですよね?」
結衣は腕時計に視線を落とす。
「せやねん。このあと試合やねん。もし他に見る予定の試合ないなら、お二人さんも良かったら見に来てな?」
「先輩が出るってだけで、またすごい人だかりな気がしますけどね」
「そう言わんと見に来てや?」
結衣の言葉に苦笑いを浮かべる妹尾先輩。
妹尾先輩は正式なサッカー部員ではないとはいえ、やっぱりマネージャーをやってる結衣とは、部員とマネージャーの関係のように見える。
結衣は仕方ないなといった感じに肩をすくめると
「球技大会とはいえ、手加減は相手のチームに失礼ですからね。しっかりと先輩のサッカー、見せてくださいよ」
と、いかにもマネージャーらしい言葉を妹尾先輩にかけて、あたしたちはトレーニングルームからサッカーの試合が行われるグラウンドへと移動した。
そのときだった。
「あっ!!」
笹倉先輩からボールを奪った広瀬先輩が、ドリブルで敵を防ぎ、一番自分たちのゴール付近にいた神崎先輩にパスを繋ぐ。
ボールは綺麗な孤を描いて、神崎先輩の腕の中へ。
広瀬先輩から離れた位置にいた神崎先輩の周りはノーマーク。
ハッとした笹倉先輩のクラスのメンバーは、神崎先輩の方へと向かう。
しかし、敵が神崎先輩に近づく手前、神崎先輩はスリーポイントのラインからボールをゴールへ放った。
神崎先輩の手を離れたボールは、綺麗な孤を描き、ゴールへと吸い込まれた。
「わああっ!!」
「会長、ナイスシュート!!」
あたしと結衣が興奮気味に声を上げる中、ガラス越しにも割れんばかりの歓声が聞こえてくる。
「おっ、蓮の奴、またやりおったな!」
妹尾先輩も関心したように笑った。
コートの中心では、神崎先輩と広瀬先輩がハイタッチを交わしているのが見えた。
「やっぱり、蓮と達也には敵わへんな。よっぽど信頼してなきゃ、あんな離れた位置からパス回そうと思わんやろ」
「神崎先輩と広瀬先輩って、そんなに仲良いんですか?」
「まあ、あの二人は小学生の頃からの仲らしいからな。時々やけどな、一緒におると、二人には俺らとは違う絆のようなもんを感じるときがあるねん」
へえ、そうなんだ……。
妹尾先輩の言葉に、あたしは再びコートへと視線を落とした。
すると、今度は笹倉先輩が見事なダンクシュートを決めて、再びさっきとは違う黄色い歓声がガラス越しに響いてきた。
そうしているうちに、試合終了の合図が鳴り響き、24‐22で神崎先輩と広瀬先輩のクラスが勝利した。
「なかなかの接戦やったなあ~!! ええもん見れたわ!」
満足げに笑う妹尾先輩に、お礼を言う。
「本当に。先輩のおかげです。ありがとうございました」
「ええって! 俺も二人と一緒に見ることができて楽しかったし!」
そう言って、妹尾先輩はタイムテーブルの書かれた紙を広げる。
「優芽ちゃんらは試合、大丈夫なん?」
「あたしたちのチームは初戦敗退しちゃったんです」
結衣があたしの代わりに答える。
「初戦敗退やとめっちゃ暇やもんな。次の球技大会の改善点として、また生徒会で話し合わなあかんな」
ごめんな、と妹尾先輩はタイムテーブルの書かれた紙をポケットに押し込みながら、苦笑いを浮かべた。
「そんな、先輩が悪いわけじゃないですから。そういえば、先輩の試合もそろそろですよね?」
結衣は腕時計に視線を落とす。
「せやねん。このあと試合やねん。もし他に見る予定の試合ないなら、お二人さんも良かったら見に来てな?」
「先輩が出るってだけで、またすごい人だかりな気がしますけどね」
「そう言わんと見に来てや?」
結衣の言葉に苦笑いを浮かべる妹尾先輩。
妹尾先輩は正式なサッカー部員ではないとはいえ、やっぱりマネージャーをやってる結衣とは、部員とマネージャーの関係のように見える。
結衣は仕方ないなといった感じに肩をすくめると
「球技大会とはいえ、手加減は相手のチームに失礼ですからね。しっかりと先輩のサッカー、見せてくださいよ」
と、いかにもマネージャーらしい言葉を妹尾先輩にかけて、あたしたちはトレーニングルームからサッカーの試合が行われるグラウンドへと移動した。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【短編集2】恋のかけらたち
美和優希
恋愛
魔法のiらんどの企画で書いた恋愛小説の短編集です。
甘々から切ない恋まで
いろんなテーマで書いています。
【収録作品】
1.百年後の未来に、きみと(2020.04.24)
→誕生日に、彼女からどこにでも行ける魔法のチケットをもらって──!?
魔法のiらんど企画「#つながる魔法で続きをつくろう」 で書いたSSです。
2.優しい鈴の音と鼓動(2020.11.08)
→幼なじみの凪くんは最近機嫌が悪そうで意地悪で冷たい。嫌われてしまったのかと思っていたけれど──。
3.歌声の魔法(2020.11.15)
→地味で冴えない女子の静江は、いつも麗奈をはじめとしたクラスメイトにいいように使われていた。そんなある日、イケメンで不真面目な男子として知られる城野に静江の歌と麗奈への愚痴を聞かれてしまい、麗奈をギャフンと言わせる作戦に参加させられることになって──!?
4.もしも突然、地球最後の日が訪れたとしたら……。(2020.11.23)
→“もしも”なんて来てほしくないけれど、地球消滅の危機に直面した二人が最後に見せたものは──。
5.不器用なサプライズ(2021.01.08)
→今日は彼女と付き合い始めて一周年の記念日。それなのに肝心のサプライズの切り出し方に失敗してしまって……。
*()内は初回公開・完結日です。
*いずれも「魔法のiらんど」で公開していた作品になります。サービス終了に伴い、ページ分けは当時のままの状態で公開しています。
*現在は全てアルファポリスのみの公開です。
アルファポリスでの公開日*2025.02.11
表紙画像は、イラストAC(がらくった様)の画像に文字入れをして使わせていただいてます。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる