キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

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*第2章*

フキゲンいちごみるく(4)

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「お、お疲れさまです」

 若干気まずそうなのは、やっぱり蓮のことが原因なのだろうか……?


「優芽ちゃんも片桐マネも、お疲れさん!」

 そう言った陸人に、片桐マネと呼ばれた優芽ちゃんの友達も陸人に頭を下げる。


「お疲れさまです」

「あれ? 陸人、優芽ちゃんの友達と知り合い?」

 琉生が軽く首をかしげる。


「まあな。サッカー部のマネージャーさんや。優芽ちゃんと同じクラスの片桐結衣さんやで?」

 陸人の紹介にぺこりと上品に頭を下げる、片桐さん。


 あれ……?

 いわゆる美人さんだけど、何かどこかで見たことあるような……。

 誰だっけ……?

 ちらりと蓮の反応を見ると、蓮はギョッとしたようにその子を見ていた。

 もしかして、蓮の知り合いか……?

 まあ同じ学校なんだし、普通に考えて、俺がどこかで見かけてたとしても、おかしくないんだけど……。


「なるほど。たまに優芽ちゃんと一緒に居るのを見たことあったから、片桐さんの顔は知ってたけど、まさか陸人とそんなところで繋がってたとはね。僕は生徒会書記の笹倉琉生、って知ってるよね」

 琉生はにっこりと片桐さんに笑いかける。


「はい、優芽からいつも皆さんのお話は聞いているので、こうしてお話する機会を持てて嬉しいです」

「あっ、俺は副会長の広瀬達也だよ~! よろしくな~!」

 俺も慌てて片桐さんに自己紹介する。恐らく俺のことも優芽ちゃんから聞いて知ってるのだろうけど。


「……よろしくお願いします」

 片桐さんは俺の方をちらりと見ると、機械的に頭を下げてくる。


「そうだ! 俺らの隣の二人掛けの席空いてるし、店員さん呼んで、この二人席のテーブルを俺らの席にくっつけて、二人もこっちおいでよ!」


 片桐さんが蓮と陸人の知り合いなら、別に構わないだろう。

 それに、何より優芽ちゃんがこっちのテーブルに来てくれると俺は嬉しい。


「そ、そんな悪いですよ~」

 遠慮がちに、顔の前で手を左右に振る優芽ちゃん。


「いーから、いーから」

 と、俺は店員を呼んで、テーブルと椅子を移動させた。


 俺の正面は奥から順に、蓮、陸人、片桐さん。

 そして、俺の奥っ側の隣に琉生、反対隣に優芽ちゃんが座った。


「……なんか、皆さんの輪に割り込んだみたいで、申し訳ないです」

 俺の隣で小さくモジモジする優芽ちゃん。

 その前には、可愛らしいチョコバナナパフェが運ばれて来た。


「いーって、いーって! 男四人で喫茶店とか、むさ苦しいだけだし! な、蓮!」

 俺は、優芽ちゃんと片桐さんが来てからずっと口を閉ざしたままだった蓮に話を振った。

 一瞬だけだけど、片桐さんのことも知ってるような素振りを見せたくせに、俺の早とちりだったか?


「ま、そうかもしんねえな」

 小さくフゥと息を吐いて、グラスの三分の一ほど残ったいちごミルクと化した液体を赤いストローで掻き混ぜる蓮。


「え!? やっぱりそれ、神崎先輩のだったんですか!?」

 驚いたように、蓮の手元のいちごミルクを見つめる優芽ちゃん。


「そうだけど。何か問題でもあるか?」

 問題ありまくりだろ。

 その顔で、いちごミルクとか……。

 まあ、面倒臭いから口が裂けても本人には言わないけど……。


「い、いえ……。意外だなと思って。何か可愛いですね」

 プルプルと身体を震わして必死に笑いを堪えるのに、堪えきれてない優芽ちゃん。


「笑ってんじゃねーよ! 飲めば良さが分かるから、おまえも飲め」

 そう言って、優芽ちゃんの方へいちごミルクを突き付ける蓮。


「そ、そんな、悪いですよ……!」

「うるせえ! カレー女のくせに俺の好みにケチつけるからだろ!?」

「あ、あたし、別にケチをつけた覚えは……」

「とにかく、おまえがいちごミルクの良さが分かるまで飲んでいいから、飲め!」


 んな、目茶苦茶な……。

 少しためらいながらも、恥ずかしそうに蓮の口の付いたストローに口を付ける優芽ちゃん。

 まさか、間接チューとか、意識してんのか?


「あ、美味しい……!」

「だろ? 分かればいいんだ。残りはおまえにやるよ」

 そう言って、満足げに笑う蓮。


「え、でも……」

「やるって言ってんだから、遠慮すんな」

「は、はい……」


 言われるがままに、蓮のいちごミルクを飲み干す優芽ちゃん。

 そんな優芽ちゃんを、眩しそうに目を細めて見つめる蓮。


 なあ、蓮。

 おまえでも、そんな目で女を見ることがあるんだな……。

 好き、なんだろうな。

 俺も、蓮も、優芽ちゃんのことが……。

 恐らく蓮は、まだ自分の気持ちには気づいてないんだろうけど。

 だけど、だからといって身を引いて、親友の背中を押せるほど、俺はお人好しにはなれない。

 誰にも譲りたくないんだ。

 この気持ちだけは……。
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