キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

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*第2章*

生徒会メンバーの本性!?(4)

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「うっわあー。俺と蓮がマジメに仕事してる間に二人して優芽ちゃんに取り入るだなんて、マジありえねー」

「別に取り入ってたわけじゃ……」

 笹倉先輩が言いかけるも、神崎先輩によってそれは遮られる。


「んなことどうだっていい。カレー女、掃除は終わったのか?」

 確かに掃除は終わってる。

 というか、終わってた。

 だけど、それはあたしの力じゃなくて、笹倉先輩の力であって……。

 あたしが返事に困っていると、代わりに笹倉先輩が口を開いた。


「優芽ちゃんなら、ちゃんと掃除してくれたよ。だから僕らと話してたんだよ。な、陸人」

「せやせや! まだ入って間もない生徒会の華と仲良くなりたいやんか!」

 笹倉先輩と口裏を合わせるように言う妹尾先輩。


「そうか。ならいい」

 神崎先輩は、ピカピカになった棚の上を確認すると、腑に落ちないような表情を浮かべながらもうなずいた。


「そういや陸人はサッカー部どうなの~? 助っ人で呼ばれたんだったよな~」

「とりあえず、次の試合のレギュラー頼まれたわ。バスケ部からも声かかってるけど、そんないっぺんに身体もたへんわ!」

 広瀬先輩と妹尾先輩の会話に若干疑問を感じる。

 サッカー部にバスケ部……?

 すると、あたしのそんな様子に気づいたのか、笹倉先輩が「ああ……」と解説をしてくれる。


「陸人はね、スポーツ万能で、いろんな運動部にその腕を買われてるんだよ」

「あ、そうなんですか」


 そして、笹倉先輩の言葉を補うように、神崎先輩が口を開いた。


「いわゆる臨時部員ってやつだな。中でも陸人のサッカーの実力は桁外れに高くて、サッカー部の連中はしょっちゅう陸人を頼ってくる」

「へえー……」

 妹尾先輩って、そんなにすごい人だったんだ……。


「まあ、陸人も正規の部員より気が楽って言ってたし、本人が良ければいいんじゃないかな」

 笹倉先輩はそこまで説明してくれると、最後にあたしの方ににっこりと笑って言う。


「ま、そんなスポーツ万能の陸人だけど、さすがにアーチェリーの腕は僕の方が上だけどね!」

「アーチェリー?」

 あたしがきょとんと首をかしげると、笹倉先輩はおかしそうに笑いながら口を開く。


「あれ? 優芽ちゃん、アーチェリー知らない?」

 これだよ、と笹倉先輩は、生徒会室でいつも手に持っている弓矢をあたしの前に出した。


「弓道が和弓と呼ばれるのに対して、アーチェリーは洋弓って呼ばれる部類になるんだ。ちょっと弓や矢の形は違うけど、弓で矢を射て標的を狙うところは、弓道と一緒だよ」


 へえ、そうなんだ……。

 あまり見たことない形の弓と矢だなあとは思ってたけど……。

 あたしは目の前にある、スポーティーな形の黒い弓と、端に小さな羽が付いた細長い黒い矢を見つめる。


「弓道は武道なのに対して、アーチェリーはスポーツ的な要素が強いからね。弓道も悪くないけど、アーチェリーには形式張った堅苦しさがないところが、僕は好きだよ」


 笹倉先輩はそう得意げに笑った。

 すると、そこで呆れたような神崎先輩の声が頭上で響く。


「アーチェリーについてはよく分かったから、一旦ここでその話はストップだ」

「……まだまだ話の途中なんだけど」


 突然打ち切りを喰らった笹倉先輩は、スッキリしないような表情を浮かべて神崎先輩を見る。


「流生にアーチェリー語らせると長いからなあ~。あのまとも、流生の持参物なんだぜ~?」


 広瀬先輩は、明るく笑いながら、いつも笹倉先輩が使っている的を指さした。

 改めてまじまじ見ると、固めの何かに、真ん中から、黄色、赤、青、黒、白の色合いで同心円が描かれた紙が貼られているようだった。


「ああ、あれね。あれは、固めのタタミに紙の的を貼ってるだけだよ。何となく分かると思うけど、中心の黄色い部分が一番高得点なんだ」


 笹倉先輩がまた饒舌に説明を始め出して、神崎先輩が口を開く。


「あーもう、分かったから。また時間がたっぷりあるときに聞かせてくれ。ったく、どんだけアーチェリーが好きなんだよ。いくら理事長の孫だからって、生徒会室にアーチェリーの的まで持ち込む奴がいるか」

「あはは」

「何が、あははだ。ったく……」


 何だか神崎先輩の発言から、ものすごい事実を知ってしまった気が……。


「え、笹倉先輩のおじいさんって、この学校の理事長なんですか!?」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

 きょとんといった感じに首を傾げる笹倉先輩。

 いや、聞いてないです……。


「もう優芽ちゃんには話したと思ってたよ、ごめんごめん。この学校の理事長の笹倉健一郎は、僕の祖父だよ」


 ええ──!?

 す、すごい……。


「つまりだ、琉生に悪さすると、一発で退学にさせられるぞ?」

 フッと冗談めいて言う神崎先輩だけど、変に現実味を帯びてて冗談になってない……。


「そんな権力乱用みたいなことはしないよ。だから安心してね」

 笹倉先輩はあたしを安心させるようにそう言った。


「は、はい……」

「じゃあ、今日はここまでにするか。俺らはまだやることが残ってるから、カレー女は日が落ちる前には家に着くように帰れよ!」

「はい。お疲れさまでした」


 何だか今日は生徒会の皆さんのことをいろいろ知った一日だった気がするな……。

 あたしはサッと荷物をまとめて、神崎先輩に言われた通り、真っ直ぐに帰路についた。
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