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*第2章*
生徒会メンバーの本性!?(2)
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*
パチン。パチン。パチン……。
資料室に移動してから、絶えることなく響かせるホッチキスの音。
「何だか、手伝ってもらっちゃってすみません……」
「いーよ、いーよ。だって、どうせ俺、暇だし。優芽ちゃん一人じゃこの量大変でしょ? しかも、このあと生徒会室の掃除まで頼まれてるのにさ」
そう言って、ニコッと笑ってくれるのは広瀬先輩。
あたしが神崎先輩から預かったプリントを資料室に運ぶときから、ずっと広瀬先輩は手伝ってくれている。
「でも優芽ちゃんも、入学早々蓮に目をつけられるなんて、とんだ災難だよね~」
「さ、災難って……」
「違った? まあ、俺としては、そのおかげで優芽ちゃんとこうして一緒に居られるから嬉しいんだけどね!」
「ありがとうございます……」
そうストレートに言われると、何だか恥ずかしいんだけど……。
「……神崎先輩って、みんなの前に立つときと生徒会室では雰囲気違いますよね」
「蓮の奴、ああ見えてシャイだからな~。俺ら以外の人の前では基本的に猫かぶりまくりだからね」
「え、そうなんですか!?」
これまた意外……。
だって、あたしには初対面からあの俺様口調だったのに……。
「そうそう! ああ見えて、何かと気を遣う性格みたいでさあ~」
見えねえよな~っと広瀬先輩はクククッと笑う。
「だから、蓮が最初から優芽ちゃんに素を出してるから、正直びっくりしたわ! いつもあんな言い方だけどさ、蓮の奴、結構優芽ちゃんのこと気に入ってんじゃね?」
「そうなんですかね……?」
神崎先輩が……?
『カレー女、これ全部今日中な!』
『汚い。やり直しだ』
まさかまさかまさか……。
有り得ない、有り得ない、有り得ない……。
逆に気に入られてるって方が不気味だよ……。
そんなことを考えてたら、不意に広瀬先輩があたしの顔を覗き込むように見てくる。
「ナニナニ? そんなに考え込んじゃって、もしかして蓮のこと気になるの?」
「ち、違いますよ!! やっぱり、なんか信じられないっていうか、何ていうか……」
パッと広瀬先輩から距離を取るように離れて、ブンブンと首を横に振った。
あ、あたしったら、何言ってんだろ……。
「ふーん。なんか妬けちゃうなー」
ジッとこちらに意味ありげな視線を落とす広瀬先輩。
その言葉と雰囲気に、思わず身が強張った。
だけど、あたしと目が合うと、広瀬先輩はいつものフレンドリーなスマイルを浮かべて口を開く。
「優芽ちゃんさ、今度こっそりデートしよっか!」
「へっ?」
思いがけない言葉に、今度はすっとんきょうな声が上がる。
「俺、美味しいお店知ってんだよね!」
まるで語尾に音符でもついるかのように言う、広瀬先輩。
「あ、あの……」
きっと冗談なんだろうけど、こういうときって何て答えたらいいんだろう……?
「あ、もしかして、嫌……?」
あたしの様子に気づいた広瀬先輩が、心配そうにこちらを見つめる。
そんな可愛く嫌? って聞かれたら、断れないよ……。
「そ、そんなことないです……」
「じゃあ、決まりな!」
目の前で無邪気に喜ぶ広瀬先輩。
あたし、完全に広瀬先輩にペース持っていかれてるよ……。
そのとき、勢いよく資料室の扉が開いた。
「ホッチキス留めは終わったのか?」
見ると、神崎先輩がこちらへと歩いてくる。
「やけに楽しそうだったけど、達也と何をそんなに盛り上がってたんだよ」
あたしの目の前に積んである完成した資料を手に取りながら、神崎先輩があたしに視線を向ける。
「え……、いや、特に何も……」
あたしが返答に困っていると、あたしの頭の上に広瀬先輩の大きな手がふわりと伸びてきて、軽く広瀬先輩の方へと引き寄せられる。
……っ!?
あたしが驚き、固まってる間にも、広瀬先輩は悪戯っぽく言う。
「何だよ、蓮。俺と優芽ちゃんが話してるの気になるのかあ~?」
背中から広瀬先輩の体温が伝わって、妙に身体が熱を持つ。
うぅ……。
恥ずかしいよぅ……。
目の前の神崎先輩は、表情ひとつ変えずに口を開く。
「は? んなわけねえだろ。おまえらがいつまでも帰って来ねえから、資料がちゃんとできてるか心配だっただけだ」
「相変わらず、蓮のその反応は期待を裏切らないね~」
広瀬先輩はやっぱりと言わんばかりの口調で返す。
パチン。パチン。パチン……。
資料室に移動してから、絶えることなく響かせるホッチキスの音。
「何だか、手伝ってもらっちゃってすみません……」
「いーよ、いーよ。だって、どうせ俺、暇だし。優芽ちゃん一人じゃこの量大変でしょ? しかも、このあと生徒会室の掃除まで頼まれてるのにさ」
そう言って、ニコッと笑ってくれるのは広瀬先輩。
あたしが神崎先輩から預かったプリントを資料室に運ぶときから、ずっと広瀬先輩は手伝ってくれている。
「でも優芽ちゃんも、入学早々蓮に目をつけられるなんて、とんだ災難だよね~」
「さ、災難って……」
「違った? まあ、俺としては、そのおかげで優芽ちゃんとこうして一緒に居られるから嬉しいんだけどね!」
「ありがとうございます……」
そうストレートに言われると、何だか恥ずかしいんだけど……。
「……神崎先輩って、みんなの前に立つときと生徒会室では雰囲気違いますよね」
「蓮の奴、ああ見えてシャイだからな~。俺ら以外の人の前では基本的に猫かぶりまくりだからね」
「え、そうなんですか!?」
これまた意外……。
だって、あたしには初対面からあの俺様口調だったのに……。
「そうそう! ああ見えて、何かと気を遣う性格みたいでさあ~」
見えねえよな~っと広瀬先輩はクククッと笑う。
「だから、蓮が最初から優芽ちゃんに素を出してるから、正直びっくりしたわ! いつもあんな言い方だけどさ、蓮の奴、結構優芽ちゃんのこと気に入ってんじゃね?」
「そうなんですかね……?」
神崎先輩が……?
『カレー女、これ全部今日中な!』
『汚い。やり直しだ』
まさかまさかまさか……。
有り得ない、有り得ない、有り得ない……。
逆に気に入られてるって方が不気味だよ……。
そんなことを考えてたら、不意に広瀬先輩があたしの顔を覗き込むように見てくる。
「ナニナニ? そんなに考え込んじゃって、もしかして蓮のこと気になるの?」
「ち、違いますよ!! やっぱり、なんか信じられないっていうか、何ていうか……」
パッと広瀬先輩から距離を取るように離れて、ブンブンと首を横に振った。
あ、あたしったら、何言ってんだろ……。
「ふーん。なんか妬けちゃうなー」
ジッとこちらに意味ありげな視線を落とす広瀬先輩。
その言葉と雰囲気に、思わず身が強張った。
だけど、あたしと目が合うと、広瀬先輩はいつものフレンドリーなスマイルを浮かべて口を開く。
「優芽ちゃんさ、今度こっそりデートしよっか!」
「へっ?」
思いがけない言葉に、今度はすっとんきょうな声が上がる。
「俺、美味しいお店知ってんだよね!」
まるで語尾に音符でもついるかのように言う、広瀬先輩。
「あ、あの……」
きっと冗談なんだろうけど、こういうときって何て答えたらいいんだろう……?
「あ、もしかして、嫌……?」
あたしの様子に気づいた広瀬先輩が、心配そうにこちらを見つめる。
そんな可愛く嫌? って聞かれたら、断れないよ……。
「そ、そんなことないです……」
「じゃあ、決まりな!」
目の前で無邪気に喜ぶ広瀬先輩。
あたし、完全に広瀬先輩にペース持っていかれてるよ……。
そのとき、勢いよく資料室の扉が開いた。
「ホッチキス留めは終わったのか?」
見ると、神崎先輩がこちらへと歩いてくる。
「やけに楽しそうだったけど、達也と何をそんなに盛り上がってたんだよ」
あたしの目の前に積んである完成した資料を手に取りながら、神崎先輩があたしに視線を向ける。
「え……、いや、特に何も……」
あたしが返答に困っていると、あたしの頭の上に広瀬先輩の大きな手がふわりと伸びてきて、軽く広瀬先輩の方へと引き寄せられる。
……っ!?
あたしが驚き、固まってる間にも、広瀬先輩は悪戯っぽく言う。
「何だよ、蓮。俺と優芽ちゃんが話してるの気になるのかあ~?」
背中から広瀬先輩の体温が伝わって、妙に身体が熱を持つ。
うぅ……。
恥ずかしいよぅ……。
目の前の神崎先輩は、表情ひとつ変えずに口を開く。
「は? んなわけねえだろ。おまえらがいつまでも帰って来ねえから、資料がちゃんとできてるか心配だっただけだ」
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広瀬先輩はやっぱりと言わんばかりの口調で返す。
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