キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

文字の大きさ
上 下
12 / 81
*第2章*

生徒会メンバーの本性!?(2)

しおりを挟む
 *


 パチン。パチン。パチン……。

 資料室に移動してから、絶えることなく響かせるホッチキスの音。


「何だか、手伝ってもらっちゃってすみません……」

「いーよ、いーよ。だって、どうせ俺、暇だし。優芽ちゃん一人じゃこの量大変でしょ? しかも、このあと生徒会室の掃除まで頼まれてるのにさ」

 そう言って、ニコッと笑ってくれるのは広瀬先輩。

 あたしが神崎先輩から預かったプリントを資料室に運ぶときから、ずっと広瀬先輩は手伝ってくれている。


「でも優芽ちゃんも、入学早々蓮に目をつけられるなんて、とんだ災難だよね~」

「さ、災難って……」

「違った? まあ、俺としては、そのおかげで優芽ちゃんとこうして一緒に居られるから嬉しいんだけどね!」

「ありがとうございます……」

 そうストレートに言われると、何だか恥ずかしいんだけど……。


「……神崎先輩って、みんなの前に立つときと生徒会室では雰囲気違いますよね」

「蓮の奴、ああ見えてシャイだからな~。俺ら以外の人の前では基本的に猫かぶりまくりだからね」

「え、そうなんですか!?」

 これまた意外……。

 だって、あたしには初対面からあの俺様口調だったのに……。


「そうそう! ああ見えて、何かと気を遣う性格みたいでさあ~」

 見えねえよな~っと広瀬先輩はクククッと笑う。


「だから、蓮が最初から優芽ちゃんに素を出してるから、正直びっくりしたわ! いつもあんな言い方だけどさ、蓮の奴、結構優芽ちゃんのこと気に入ってんじゃね?」

「そうなんですかね……?」

 神崎先輩が……?


『カレー女、これ全部今日中な!』

『汚い。やり直しだ』

 まさかまさかまさか……。

 有り得ない、有り得ない、有り得ない……。

 逆に気に入られてるって方が不気味だよ……。

 そんなことを考えてたら、不意に広瀬先輩があたしの顔を覗き込むように見てくる。


「ナニナニ? そんなに考え込んじゃって、もしかして蓮のこと気になるの?」

「ち、違いますよ!! やっぱり、なんか信じられないっていうか、何ていうか……」

 パッと広瀬先輩から距離を取るように離れて、ブンブンと首を横に振った。

 あ、あたしったら、何言ってんだろ……。


「ふーん。なんか妬けちゃうなー」

 ジッとこちらに意味ありげな視線を落とす広瀬先輩。

 その言葉と雰囲気に、思わず身が強張った。

 だけど、あたしと目が合うと、広瀬先輩はいつものフレンドリーなスマイルを浮かべて口を開く。


「優芽ちゃんさ、今度こっそりデートしよっか!」

「へっ?」

 思いがけない言葉に、今度はすっとんきょうな声が上がる。


「俺、美味しいお店知ってんだよね!」

 まるで語尾に音符でもついるかのように言う、広瀬先輩。


「あ、あの……」

 きっと冗談なんだろうけど、こういうときって何て答えたらいいんだろう……?


「あ、もしかして、嫌……?」

 あたしの様子に気づいた広瀬先輩が、心配そうにこちらを見つめる。

 そんな可愛く嫌? って聞かれたら、断れないよ……。


「そ、そんなことないです……」

「じゃあ、決まりな!」

 目の前で無邪気に喜ぶ広瀬先輩。

 あたし、完全に広瀬先輩にペース持っていかれてるよ……。

 そのとき、勢いよく資料室の扉が開いた。


「ホッチキス留めは終わったのか?」

 見ると、神崎先輩がこちらへと歩いてくる。


「やけに楽しそうだったけど、達也と何をそんなに盛り上がってたんだよ」

 あたしの目の前に積んである完成した資料を手に取りながら、神崎先輩があたしに視線を向ける。


「え……、いや、特に何も……」

 あたしが返答に困っていると、あたしの頭の上に広瀬先輩の大きな手がふわりと伸びてきて、軽く広瀬先輩の方へと引き寄せられる。


 ……っ!?

 あたしが驚き、固まってる間にも、広瀬先輩は悪戯っぽく言う。


「何だよ、蓮。俺と優芽ちゃんが話してるの気になるのかあ~?」

 背中から広瀬先輩の体温が伝わって、妙に身体が熱を持つ。


 うぅ……。
 恥ずかしいよぅ……。

 目の前の神崎先輩は、表情ひとつ変えずに口を開く。


「は? んなわけねえだろ。おまえらがいつまでも帰って来ねえから、資料がちゃんとできてるか心配だっただけだ」

「相変わらず、蓮のその反応は期待を裏切らないね~」

 広瀬先輩はやっぱりと言わんばかりの口調で返す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【短編集2】恋のかけらたち

美和優希
恋愛
魔法のiらんどの企画で書いた恋愛小説の短編集です。 甘々から切ない恋まで いろんなテーマで書いています。 【収録作品】 1.百年後の未来に、きみと(2020.04.24) →誕生日に、彼女からどこにでも行ける魔法のチケットをもらって──!? 魔法のiらんど企画「#つながる魔法で続きをつくろう」 で書いたSSです。 2.優しい鈴の音と鼓動(2020.11.08) →幼なじみの凪くんは最近機嫌が悪そうで意地悪で冷たい。嫌われてしまったのかと思っていたけれど──。 3.歌声の魔法(2020.11.15) →地味で冴えない女子の静江は、いつも麗奈をはじめとしたクラスメイトにいいように使われていた。そんなある日、イケメンで不真面目な男子として知られる城野に静江の歌と麗奈への愚痴を聞かれてしまい、麗奈をギャフンと言わせる作戦に参加させられることになって──!? 4.もしも突然、地球最後の日が訪れたとしたら……。(2020.11.23) →“もしも”なんて来てほしくないけれど、地球消滅の危機に直面した二人が最後に見せたものは──。 5.不器用なサプライズ(2021.01.08) →今日は彼女と付き合い始めて一周年の記念日。それなのに肝心のサプライズの切り出し方に失敗してしまって……。 *()内は初回公開・完結日です。 *いずれも「魔法のiらんど」で公開していた作品になります。サービス終了に伴い、ページ分けは当時のままの状態で公開しています。 *現在は全てアルファポリスのみの公開です。 アルファポリスでの公開日*2025.02.11 表紙画像は、イラストAC(がらくった様)の画像に文字入れをして使わせていただいてます。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...