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*第1章*
生徒会の紅一点!?(1)
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ウィーン。ウィーン。
機械的に繰り返されるコピー機の音。
はああ。終わらないよぉ……。
やっと人数分のコピーは終わりそうだけど、このあと、ホッチキス留めが待ってるんだよね……。
今日の授業が終わってから、ずっとやってるのになあ……。
資料室の窓から差し込む太陽の光は、少しずつ夕焼け色に染まりつつあった。
コピーの終わったものから、ページ順に資料室の机に並べる。
最後の一枚をコピーし終えたのを確認して、あたしはホッチキス留めによる製本の作業にとりかかった。
パチン、パチン、パチン……。
今度は、あたしの留めるホッチキスの音が虚しく響く。
まだ当分終われないなあ……。
そう思い、小さく肩を落としたときだった。
──ガララ。
資料室の扉が勢いよく開く。
「優芽ちゃ~ん、はかどってる~?」
陽気な声が資料室に飛び込み、資料室の扉の方を見ると。
「ひ、広瀬先輩……?」
そこには、顔の前でピースを作ってニッと笑う、広瀬先輩が居た。
「放課後になってだいぶ経ったけど、優芽ちゃんがなかなか生徒会室に現れる気配がないから、僕たちも様子を見に来たんだよ」
そう言って現れたのは、笹倉先輩。
そして、その後ろには妹尾先輩。
「俺らが来たからには、もう大丈夫や!」
さらには……
「勘違いするな。おまえが逃げ出してないか見に来たついでだ」
一番後ろから、面倒臭そうに姿を現す神崎先輩。
「あとは、ホッチキス留めだけ? 意外と進んでんじゃん」
声のした方を振り向くと、すでに広瀬先輩がホッチキスを片手に、プリントの束を手に取っていた。
「わっ! す、すみません……!」
「いーって、いーって! この量なら俺らみんなでやれば一瞬だし」
広瀬先輩の言う通り、生徒会の皆さんが加わった途端、ホッチキス留めはすぐに終わった。
「手伝って下さりありがとうございました!」
「いーよ、いーよ! 蓮に無理に押し付けられて、可哀相だったし!」
そう言って、陽気にケラケラ笑う広瀬先輩。
それに付け加えるように、出来上がった部活紹介の資料をまとめながら、笹倉先輩も口を開く。
「それに、あれだけ一生懸命やってたら、手助けだってしたくなるしね」
「まあ、あまりの鈍臭さにビビったがな」
鼻で笑うようにそう言うのは、もちろん神崎先輩。
でも、確かに先輩たちの中でも、一番手際よくホッチキス留めをしてくれたのは神崎先輩だったから、何も言い返せない……。
「まあまあ、蓮もそんな意地悪言うなや! 真っ先に優芽ちゃんの様子見に行こうって言い出したの、おまえやんか!」
え……?
神崎先輩が……?
妹尾先輩の言葉に神崎先輩を見るも……。
「バカ! 俺はだな、カレー女の心配じゃなくて、無事に資料ができてるかが心配だっただけだ」
資料の心配、ね……。
あたしと目が合った神崎先輩は、あたしに向かってそう怒鳴るだけだった。
「ところでさあ~、優芽ちゃんはもう部活決めたの~?」
完成した部活紹介の資料のひとつをパラパラめくりながら、広瀬先輩が口を開く。
「……まだです。何だか、自分でも何がしたいのかよくわからなくて……」
「そっかあ、中学のときは何部だったの?」
「……ソフトテニス部です」
広瀬先輩に聞かれたから答えたものの、背後からプッと吹き出すように笑われる声が聞こえて振り返る。
「似合わねー、おまえ、ボールに振り回されてそう」
吹き出すように笑ったのも、そんな酷いことを言うのも、やっぱり神崎先輩だった。
まあ、確かにそうだけど……。
実際にあたし、万年球拾いだったし……。
機械的に繰り返されるコピー機の音。
はああ。終わらないよぉ……。
やっと人数分のコピーは終わりそうだけど、このあと、ホッチキス留めが待ってるんだよね……。
今日の授業が終わってから、ずっとやってるのになあ……。
資料室の窓から差し込む太陽の光は、少しずつ夕焼け色に染まりつつあった。
コピーの終わったものから、ページ順に資料室の机に並べる。
最後の一枚をコピーし終えたのを確認して、あたしはホッチキス留めによる製本の作業にとりかかった。
パチン、パチン、パチン……。
今度は、あたしの留めるホッチキスの音が虚しく響く。
まだ当分終われないなあ……。
そう思い、小さく肩を落としたときだった。
──ガララ。
資料室の扉が勢いよく開く。
「優芽ちゃ~ん、はかどってる~?」
陽気な声が資料室に飛び込み、資料室の扉の方を見ると。
「ひ、広瀬先輩……?」
そこには、顔の前でピースを作ってニッと笑う、広瀬先輩が居た。
「放課後になってだいぶ経ったけど、優芽ちゃんがなかなか生徒会室に現れる気配がないから、僕たちも様子を見に来たんだよ」
そう言って現れたのは、笹倉先輩。
そして、その後ろには妹尾先輩。
「俺らが来たからには、もう大丈夫や!」
さらには……
「勘違いするな。おまえが逃げ出してないか見に来たついでだ」
一番後ろから、面倒臭そうに姿を現す神崎先輩。
「あとは、ホッチキス留めだけ? 意外と進んでんじゃん」
声のした方を振り向くと、すでに広瀬先輩がホッチキスを片手に、プリントの束を手に取っていた。
「わっ! す、すみません……!」
「いーって、いーって! この量なら俺らみんなでやれば一瞬だし」
広瀬先輩の言う通り、生徒会の皆さんが加わった途端、ホッチキス留めはすぐに終わった。
「手伝って下さりありがとうございました!」
「いーよ、いーよ! 蓮に無理に押し付けられて、可哀相だったし!」
そう言って、陽気にケラケラ笑う広瀬先輩。
それに付け加えるように、出来上がった部活紹介の資料をまとめながら、笹倉先輩も口を開く。
「それに、あれだけ一生懸命やってたら、手助けだってしたくなるしね」
「まあ、あまりの鈍臭さにビビったがな」
鼻で笑うようにそう言うのは、もちろん神崎先輩。
でも、確かに先輩たちの中でも、一番手際よくホッチキス留めをしてくれたのは神崎先輩だったから、何も言い返せない……。
「まあまあ、蓮もそんな意地悪言うなや! 真っ先に優芽ちゃんの様子見に行こうって言い出したの、おまえやんか!」
え……?
神崎先輩が……?
妹尾先輩の言葉に神崎先輩を見るも……。
「バカ! 俺はだな、カレー女の心配じゃなくて、無事に資料ができてるかが心配だっただけだ」
資料の心配、ね……。
あたしと目が合った神崎先輩は、あたしに向かってそう怒鳴るだけだった。
「ところでさあ~、優芽ちゃんはもう部活決めたの~?」
完成した部活紹介の資料のひとつをパラパラめくりながら、広瀬先輩が口を開く。
「……まだです。何だか、自分でも何がしたいのかよくわからなくて……」
「そっかあ、中学のときは何部だったの?」
「……ソフトテニス部です」
広瀬先輩に聞かれたから答えたものの、背後からプッと吹き出すように笑われる声が聞こえて振り返る。
「似合わねー、おまえ、ボールに振り回されてそう」
吹き出すように笑ったのも、そんな酷いことを言うのも、やっぱり神崎先輩だった。
まあ、確かにそうだけど……。
実際にあたし、万年球拾いだったし……。
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