キケンな放課後☆生徒会室のお姫様!?

美和優希

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*第1章*

またおまえかよ!(4)

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「おまえもだ! 達也にちょっとからかわれたからって、顔赤くしてデレデレしてんじゃねーよ! 達也に喰われたって、俺は責任とらねえからな!」

「へ……っ!?」


 あたし、デレデレした覚えないし……。

 しかも、く、喰われるって……。


「蓮も素直じゃないね。優芽ちゃんが心配なら、もっと優しく言ってあげなよ」

 そばで一部始終を見ていた笹倉先輩は、クスクス笑いながら口を開く。


「は? 俺がこんなカレー女の心配なんてするわけねーだろ?」

 カレー女……。

 広瀬先輩のカレー臭に同意するわけじゃないけど、なんだかすごく臭う人みたいな呼ばれ方。

 あたしが心の中で、ひとり落胆していると、妹尾先輩が口を開く。


「で、いきさつはわかったけど、何で蓮はその子を連れて来たんや?」

 そういえば……!!

 今まで、この生徒会メンバーの勢いで忘れてたけど、何であたしここに連れて来られたんだろう……?


「ああ、カレー女が何でもするって言うから連れてきた」

 神崎先輩が口端を上げてニヤリと笑って、あたしを見る。

 そう言ったよな? と神崎先輩に同意を求められて、あたしは渋々うなずいた。

 なんか、神崎先輩、雰囲気が怖いんだけど……。


「まさか蓮、おまえそれを口実に優芽ちゃんにイヤラシイことを……」

 広瀬先輩が、ムンクの叫びのように、両手を両頬にあてる。


「バカ! おまえはそれしか脳がねえのかよ!! だいたい、俺はこんなカレー女に興味ねえ!!」


 さすがに、壇上に立つだけでみんなに騒がれる生徒会長に興味を持ってもらおうなんて思ってないけど……。

 はっきり言われるとグサッと来るものがある。

 それに、壇上に立ってた生徒会長とは、別人かと思うくらい雰囲気が違うし……。


「とりあえず、カレー女にはコレをやるから」

 その声にハッとして、あたしに差し出される神崎先輩のグーに握られた手に手を伸ばす。

 すると、どこかの教室の鍵のようなものを渡された。


 何だろう……?

 不思議に思っていると、神崎先輩が口を開く。

「それ、資料室の鍵な。あそこに、明日一年生に配布予定の部活紹介の資料が置いてある。全ページ人数分印刷して、製本して、放課後ここに持って来い」


 えええっ!?

 黒板のそばにある“会長机”と書かれた札の置かれた事務机を指して、あたしに無理難題を言う神崎先輩。

 全ページ一年生の人数分って……。

 この学校は一年生は、一クラス40人で、一学年八クラスあるから……。

 320人分……!?

 無理だよ~~……。


「ほら、返事は?」

「え……」

「何でもするっつったよな?」

「……はい」

 あたしが渋々うなずくと、神崎先輩は満足げに笑った。


「うっわあーっ、半分脅しじゃん! 優芽ちゃん、一人で無理そうなら、いつでも俺のこと呼んでな!」

「ほんまやほんま! こんな生徒会長の言いなりになっとったらあかんで!?」

 小さく肩を落とすあたしを見て、順に声を上げた広瀬先輩と妹尾先輩。

 そして、笹倉先輩も困ったように笑いながら口を開く。


「蓮は本当、強引なんだから。優芽ちゃんの帰りが遅くなっても困るし、そのときは僕も力を貸すから。大丈夫」

「……ありがとうございます」

 先輩たちのお気遣いは嬉しいけど、元はと言えば、あたしが神崎先輩にカレーをかけたのがいけないんだし……。

 さすがに先輩たちの力を借りるなんて、申し訳ないよ……。

 だけど、そんなにたくさんコピーして、製本しなきゃならないなんて……。

 本当にこんな量、今日中に終わるの……?

 放課後にそんな約束を取り付けられて、あたしはトボトボと生徒会室をあとにした。
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