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*第1章*
ドタバタな入学式(3)
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ここに座ってるってことは、同じクラスの子だよね……?
そんなことを思いながら固まっていると、目の前の彼女はニコッと笑って口を開く。
「あたしは、片桐 結衣。よろしくね!」
「こちらこそ、よろしくね。あ、あたしは葉山優芽です」
「可愛い名前! 優芽って呼んでもいい? あたしのことも結衣でいいよ」
「う、うん」
わあーっ!!
こんな可愛い子と同じクラスとか、女の子のあたしまで緊張しちゃいそう……。
仲良くなれるといいなあ……。
改めて女子高生としての生活に期待を募らせたとき。
「第94回桜ヶ丘高校入学式をはじめます」
という声とともに、入学式がスタートした。
校長挨拶に、来賓の方の挨拶。
長いお話が続いて次第に眠気があたしを襲う中、その静寂な空間が突然黄色い歓声に包まれた。
「な、なに……?」
目を開けて周りを見渡せば、みんな体育館のステージを見つめている。
特に女の子の中には、頬を赤めてる子たちもちらほら居た。
だけど、あたしがステージに目を移すも、ステージには誰も立ってなくて……。
「これから生徒会の挨拶なんだって!」
あたしが状況を把握できずにいると、隣から結衣の声が聞こえた。
「あ、そうなんだ。ありがとう……」
「優芽ったら、入学式早々うたた寝してるんだもん。優芽が寝てる間に入学式終わっちゃったよ」
クスクスと笑う結衣。
今朝は寝坊するくらいよく寝たはずなのになあ……。
恥ずかしさから、思わず苦笑いを浮かべた。
「ところで、このザワつきは何だろう……?」
すると、結衣は驚いたように大きな目を見開いた。
「もしかして、優芽知らないの!? この学校の生徒会のメンバーのこと!!」
「へ……?」
生徒会のメンバー?
あたしの顔によくわからないと書いてあったのだろう。
結衣が説明を加える。
「歴代初の新二年生のメンバーのみで結成された生徒会で、今やイケメン生徒会って有名らしいよ?」
「へえー。結衣、詳しいんだね」
二年生のみで結成された生徒会メンバー。
確かに、普通なら三年生のメンバーも居そうなのに……。
でもだからって、このザワつきはちょっと異常な気もするけれど……。
「あたしは知り合いがこの学校に通ってるから知ってるだけ。イケメン生徒会には全然興味ないよ」
結衣はそう言って苦笑いを浮かべた。
興味ないって……。
嫌に現実的というか何と言うか……。
でも、こんなに人気集めちゃうような人たちに相手にされようなんて、それこそ少女漫画の中だけだもんね。
あたしには、きっと無縁。
それに、普通の人と、普通に恋愛して、それなりに幸せな学校生活を送れたら、それが一番!
まあ、どんな人たちかは気になるけど……。
そう思ってステージに視線を向けたとき、一斉に歓声が大きくなった。
ウワサの生徒会のメンバーがステージに上がったからだ。
四人の男子生徒がステージ上に上がる。
「……え!?」
あたしは、思わず目を疑った。
「優芽? もしかして、知り合い?」
あたしの反応を見てなのだろう。
結衣が不思議そうな声を上げる。
「そんなんじゃないけど……」
だって、そこにいたのは……。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます」
さっき、あたしがダイブした先輩だったんだもん……。
「生徒会長の神崎蓮です」
そして、神崎先輩の肩を組むように登場したのは……
「副会長の広瀬達也でーす!」
さっきのフレンドリーな、ふわふわの髪の先輩!
続いて、広瀬先輩の反対側から神崎先輩と肩を組むように登場したのは、
「会計の妹尾陸人です! 中学まで関西に居ました!」
これまたさっきの、小麦色の肌の先輩!
うそでしょ~!?
あたし、さっきまでこの人たちと一緒に居たってことだよね!?
ってことは、確かあと一人、綺麗な先輩が居たはず……。
「書記の、笹倉琉生です」
やっぱり……。
先程、あたしを優しく抱き留めてくれた笹倉先輩が、紳士のような振る舞いで登場した。
「俺たち四人の生徒会が中心となって、この桜ヶ丘高校がみんなにとって過ごしやすい学校になるように日々精進しています。みんな、俺たちと一緒により良い学校を作っていこうな!」
さっきとは打って変わって、優しい笑みをたたえた神崎先輩に、体育館内の歓声が一層強まった。
「「キャー!!」」
キャー!! って、ここはどこかのライブ会場じゃあるまいし……。
確かに、四人ともかっこいいけどさ……。
でも、こんな学校内の有名人と少しでも関わっただなんて、ある意味入学早々いい経験ができたのかもしれない。
きっと、平凡を求めるあたしに、またとない機会だっただろうから……。
そんな衝撃的な出来事も含め、あたしのドタバタな入学式は幕を閉じた。
そんなことを思いながら固まっていると、目の前の彼女はニコッと笑って口を開く。
「あたしは、片桐 結衣。よろしくね!」
「こちらこそ、よろしくね。あ、あたしは葉山優芽です」
「可愛い名前! 優芽って呼んでもいい? あたしのことも結衣でいいよ」
「う、うん」
わあーっ!!
こんな可愛い子と同じクラスとか、女の子のあたしまで緊張しちゃいそう……。
仲良くなれるといいなあ……。
改めて女子高生としての生活に期待を募らせたとき。
「第94回桜ヶ丘高校入学式をはじめます」
という声とともに、入学式がスタートした。
校長挨拶に、来賓の方の挨拶。
長いお話が続いて次第に眠気があたしを襲う中、その静寂な空間が突然黄色い歓声に包まれた。
「な、なに……?」
目を開けて周りを見渡せば、みんな体育館のステージを見つめている。
特に女の子の中には、頬を赤めてる子たちもちらほら居た。
だけど、あたしがステージに目を移すも、ステージには誰も立ってなくて……。
「これから生徒会の挨拶なんだって!」
あたしが状況を把握できずにいると、隣から結衣の声が聞こえた。
「あ、そうなんだ。ありがとう……」
「優芽ったら、入学式早々うたた寝してるんだもん。優芽が寝てる間に入学式終わっちゃったよ」
クスクスと笑う結衣。
今朝は寝坊するくらいよく寝たはずなのになあ……。
恥ずかしさから、思わず苦笑いを浮かべた。
「ところで、このザワつきは何だろう……?」
すると、結衣は驚いたように大きな目を見開いた。
「もしかして、優芽知らないの!? この学校の生徒会のメンバーのこと!!」
「へ……?」
生徒会のメンバー?
あたしの顔によくわからないと書いてあったのだろう。
結衣が説明を加える。
「歴代初の新二年生のメンバーのみで結成された生徒会で、今やイケメン生徒会って有名らしいよ?」
「へえー。結衣、詳しいんだね」
二年生のみで結成された生徒会メンバー。
確かに、普通なら三年生のメンバーも居そうなのに……。
でもだからって、このザワつきはちょっと異常な気もするけれど……。
「あたしは知り合いがこの学校に通ってるから知ってるだけ。イケメン生徒会には全然興味ないよ」
結衣はそう言って苦笑いを浮かべた。
興味ないって……。
嫌に現実的というか何と言うか……。
でも、こんなに人気集めちゃうような人たちに相手にされようなんて、それこそ少女漫画の中だけだもんね。
あたしには、きっと無縁。
それに、普通の人と、普通に恋愛して、それなりに幸せな学校生活を送れたら、それが一番!
まあ、どんな人たちかは気になるけど……。
そう思ってステージに視線を向けたとき、一斉に歓声が大きくなった。
ウワサの生徒会のメンバーがステージに上がったからだ。
四人の男子生徒がステージ上に上がる。
「……え!?」
あたしは、思わず目を疑った。
「優芽? もしかして、知り合い?」
あたしの反応を見てなのだろう。
結衣が不思議そうな声を上げる。
「そんなんじゃないけど……」
だって、そこにいたのは……。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます」
さっき、あたしがダイブした先輩だったんだもん……。
「生徒会長の神崎蓮です」
そして、神崎先輩の肩を組むように登場したのは……
「副会長の広瀬達也でーす!」
さっきのフレンドリーな、ふわふわの髪の先輩!
続いて、広瀬先輩の反対側から神崎先輩と肩を組むように登場したのは、
「会計の妹尾陸人です! 中学まで関西に居ました!」
これまたさっきの、小麦色の肌の先輩!
うそでしょ~!?
あたし、さっきまでこの人たちと一緒に居たってことだよね!?
ってことは、確かあと一人、綺麗な先輩が居たはず……。
「書記の、笹倉琉生です」
やっぱり……。
先程、あたしを優しく抱き留めてくれた笹倉先輩が、紳士のような振る舞いで登場した。
「俺たち四人の生徒会が中心となって、この桜ヶ丘高校がみんなにとって過ごしやすい学校になるように日々精進しています。みんな、俺たちと一緒により良い学校を作っていこうな!」
さっきとは打って変わって、優しい笑みをたたえた神崎先輩に、体育館内の歓声が一層強まった。
「「キャー!!」」
キャー!! って、ここはどこかのライブ会場じゃあるまいし……。
確かに、四人ともかっこいいけどさ……。
でも、こんな学校内の有名人と少しでも関わっただなんて、ある意味入学早々いい経験ができたのかもしれない。
きっと、平凡を求めるあたしに、またとない機会だっただろうから……。
そんな衝撃的な出来事も含め、あたしのドタバタな入学式は幕を閉じた。
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