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*第1章*
ドタバタな入学式(1)
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憧れだった紺色のジャケット。
首元に揺れる、ふわふわの赤いリボン。
ヒラヒラとなびく、チェックのプリーツスカート。
ずっと憧れてた女子高生!!
もしかしたら、入学早々素敵な人と出会って、とろけるような甘い恋だってしちゃうかもしれない!
そんな夢のような妄想を膨らませながら、女子高生デビューの日を楽しみにしていたのに──。
「なんでこうなっちゃったのよおおお~」
あたしは、広い広い芝生の広がる広場で、大声で叫んでいた。
右を見ても
左を見ても
白い校舎が立ちはだかる。
これから入学式だっていうのに、寝坊した挙げ句、学校内で迷ってしまったんだ。
さすがに入学式早々遅刻なんてヤバいよぉ……。
「ったく、朝からギャーギャーうるせえよ」
そのとき、ふと低い声が聞こえて振り返る。
すると、広場の真ん中にそびえ立つ大きな桜の木の下に、一人の男子生徒が寝そべっていた。
ひ、人が居る!!
あたしは一目散にその男子の元へと駆け寄った。
「あのっ!! 体育館ってどこですか!?」
もうすぐで男子生徒目前!!
……といったとき、つま先に固いものが当たる。
何かにつまずいたのだと分かった瞬間、宙に浮く身体。
あ、あああああーっ!!
あたしが心の中で悲鳴を上げた瞬間。
あたしはその男子生徒の身体の上に、ダイブして倒れていた。
「……ってえ、」
男子生徒のうめき声にも似た声が頭上で響く。
「す、すみませ……っ」
あたしはそう言って、とっさに顔を上げようとしたが……。
──ゴツン
「ぐぁ……っ」
鈍い音に、じーんと響く頭。
それと同時に聞こえた、低い声。
恐る恐る上体を起こして見下ろせば、顎を片手で押さえて顔をしかめる男子生徒。
今度はあたしは頭を彼の顎にぶつけてしまったようだ。
「おまえなあ……」
目の前の男子生徒の綺麗な切れ長の瞳があたしを捉える。
スッと通った鼻筋に、程よく艶のある唇に、不覚にもドキッとしてしまった。
か、かっこいい……。
じゃなくて……!!
「す、すみません!!」
あたしはとっさにそう叫んで頭を下げた。
「……ったく、」
男子生徒の呆れたような声が頭上から降って来る、そのとき――。
「ああああーっ!! 蓮のやつ、見つけたあああーっ!!」
少し離れたところから、他の男子生徒の声が聞こえて振り返る。
すると、三人の男子生徒がこちらに向かって走ってくるのが見えた。
「見てみろよ! 蓮のやつ、居ないと思ったらこんなところで女の子ナンパしてるぜ~?」
そう言って元気よく先にこちらに走って来た、ふわふわの髪の男子生徒が後ろを振り返って叫ぶ。
「ほんまや! こんな忙しい日に女の子引っ掛けて、何やってんねん!!」
今度はその後ろから走ってきた、小麦色の肌の男子生徒が叫んだ。
……い、今の、関西弁!?
すると、あたしがぶつかってしまった男子生徒が大声で怒鳴った。
「はあ!? 人聞きの悪いこと言ってんじゃねえよ!!」
あまりの剣幕さに、あたしの身体が思わずビクついた。
「蓮、自分の身体の上に女の子乗せて何やってんの。怖がってるじゃん」
今度は優しそうな男子生徒が、さっき駆け寄ってきた二人の男子生徒の後ろから姿を現す。
あたしはその声にハッと今の状況を察した。
あたし、さっきから蓮って呼ばれてるこの男子生徒の上に乗っかったままじゃん!?
首元に揺れる、ふわふわの赤いリボン。
ヒラヒラとなびく、チェックのプリーツスカート。
ずっと憧れてた女子高生!!
もしかしたら、入学早々素敵な人と出会って、とろけるような甘い恋だってしちゃうかもしれない!
そんな夢のような妄想を膨らませながら、女子高生デビューの日を楽しみにしていたのに──。
「なんでこうなっちゃったのよおおお~」
あたしは、広い広い芝生の広がる広場で、大声で叫んでいた。
右を見ても
左を見ても
白い校舎が立ちはだかる。
これから入学式だっていうのに、寝坊した挙げ句、学校内で迷ってしまったんだ。
さすがに入学式早々遅刻なんてヤバいよぉ……。
「ったく、朝からギャーギャーうるせえよ」
そのとき、ふと低い声が聞こえて振り返る。
すると、広場の真ん中にそびえ立つ大きな桜の木の下に、一人の男子生徒が寝そべっていた。
ひ、人が居る!!
あたしは一目散にその男子の元へと駆け寄った。
「あのっ!! 体育館ってどこですか!?」
もうすぐで男子生徒目前!!
……といったとき、つま先に固いものが当たる。
何かにつまずいたのだと分かった瞬間、宙に浮く身体。
あ、あああああーっ!!
あたしが心の中で悲鳴を上げた瞬間。
あたしはその男子生徒の身体の上に、ダイブして倒れていた。
「……ってえ、」
男子生徒のうめき声にも似た声が頭上で響く。
「す、すみませ……っ」
あたしはそう言って、とっさに顔を上げようとしたが……。
──ゴツン
「ぐぁ……っ」
鈍い音に、じーんと響く頭。
それと同時に聞こえた、低い声。
恐る恐る上体を起こして見下ろせば、顎を片手で押さえて顔をしかめる男子生徒。
今度はあたしは頭を彼の顎にぶつけてしまったようだ。
「おまえなあ……」
目の前の男子生徒の綺麗な切れ長の瞳があたしを捉える。
スッと通った鼻筋に、程よく艶のある唇に、不覚にもドキッとしてしまった。
か、かっこいい……。
じゃなくて……!!
「す、すみません!!」
あたしはとっさにそう叫んで頭を下げた。
「……ったく、」
男子生徒の呆れたような声が頭上から降って来る、そのとき――。
「ああああーっ!! 蓮のやつ、見つけたあああーっ!!」
少し離れたところから、他の男子生徒の声が聞こえて振り返る。
すると、三人の男子生徒がこちらに向かって走ってくるのが見えた。
「見てみろよ! 蓮のやつ、居ないと思ったらこんなところで女の子ナンパしてるぜ~?」
そう言って元気よく先にこちらに走って来た、ふわふわの髪の男子生徒が後ろを振り返って叫ぶ。
「ほんまや! こんな忙しい日に女の子引っ掛けて、何やってんねん!!」
今度はその後ろから走ってきた、小麦色の肌の男子生徒が叫んだ。
……い、今の、関西弁!?
すると、あたしがぶつかってしまった男子生徒が大声で怒鳴った。
「はあ!? 人聞きの悪いこと言ってんじゃねえよ!!」
あまりの剣幕さに、あたしの身体が思わずビクついた。
「蓮、自分の身体の上に女の子乗せて何やってんの。怖がってるじゃん」
今度は優しそうな男子生徒が、さっき駆け寄ってきた二人の男子生徒の後ろから姿を現す。
あたしはその声にハッと今の状況を察した。
あたし、さっきから蓮って呼ばれてるこの男子生徒の上に乗っかったままじゃん!?
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