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第3章
◆俺の本気を見せてやる-広夢Side-(2)
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「は? 勉強?」
確かに美姫は毎回学年一位の成績だし、家でも勉強を欠かさずしてるけどさ。
何で持田としなきゃいけないんだって話だ。
「だって学年トップはヒメ、ヒメに続く学年二位が持田。学年のツートップが一緒に勉強した方が、効率がいいってやつなんじゃね?」
「はぁぁあ!? 持田って、そんな頭良かったのかよ!?」
「何だよ、今さら。俺らの学年では有名だろ?」
冗談じゃねぇ!
「俺、ちょっと行ってくる」
「はいはい。邪魔しに行っといで」
邪魔しにって、結人の奴、一体どっちの味方だよ……。
でもまさか二人に学年トップだなんていう共通点があっただなんて、盲点だった。
今月末には、俺らの学校は1学期末テストを控えている。
そのことを思えば、学年トップ組が俺らみたいにテスト直前に詰め込むのではなく、早々行動を起こしていてもおかしくない。
俺の知らないところで二人で仲良く勉強してたなんて、想像もしたくない。
俺が廊下に飛び出したとき、ちょうど持田が美姫の持っていたノートを受け取っていた。
チラリと見えたノートの雰囲気から、きっとあれは美姫のノートだ。
「じゃあまた、放課後に」
「うん」
今日は、修学旅行実行委員の集まりはない。
イラスト作成もだいぶ完成に近づいたことから、次の委員の集まりまでに各々仕上げることになってるし。
生徒会の集まりで遅くなるようなことは、美姫も言ってなかった。
それなのに放課後ってなんだよ……っ!
「あれ、夏川くん。そんなに慌ててどうしたの?」
だけど俺が何か言葉を発するよりも先に、持田が俺に気づいて口を開いた。
「え。や、……その、ノート……」
勢いだけで教室を飛び出して来たけど、二人を前にして口から出た言葉が“ノート”って……。
俺、ダサすぎだろ!
「ああ、これね。そんな目で見なくても、僕が篠原さんに許可を取って借りたものだから大丈夫」
別にそんな話を聞きたいんじゃねーんだよ。
持田に妙に上から目線でそう言われて余計にイライラする。
「こいつと、一緒に勉強すんの?」
「……え? あ、うん。持田くん、私に聞きたいところがいくつかあるって言ってて」
美姫に聞けば、そんな風に美姫はこたえてくれる。
美姫に聞きたいところって……。
勉強でわからないところは美姫じゃなく先生に聞きに行けよな。何のための先生だって話だ。
「篠原さんの説明って、生徒目線っていうか、先生の説明よりもわかりやすいんだよね」
まるで俺の心の声でも聞こえてたかのように、持田はそう言ってくる。
「あ、もしよかったら、夏川くんも僕たちと勉強する?」
だけど、そこで持田は何を思ったのか、俺を二人の勉強会に誘ってきたんだ。
「……お前、何を企んでやがる」
「やだな、企んでるだなんて。人聞きが悪いな。僕はただ夏川くんも一緒にやりたいのかなと思って、厚意で誘ってあげたのに」
俺も人のことは言えないが、ここまで俺に敵意剥き出しだったくせにいきなり一緒に勉強しようなんて、裏で何か考えてるとしか思えない。
「ってか厚意で誘ってあげたとか、まずその言い方が気に入ら……」
「いいんじゃねーの? 広夢のことも仲間に入れてやってくださいな」
俺の言葉を遮るようにそう言う声が背後から聞こえて、思わず振り返る。
「……結人!? なんでお前が居んだよ!」
さっきまで教室で弁当食ってただろうが!
「何でって。弁当食い終わって廊下に出てみたら、面白そうな会話してっから」
そして、ムカつくくらいにクールな面持ちは壊さないまま、俺に耳打ちしてくる。
「いいじゃん。ヒメと一緒に勉強できるなら。つまんねぇプライド守ってないで、ヒメと生徒会長のこと邪魔するつもりで行ってこい」
結人はそれだけ言うと、俺の背中をバシッと力強く叩いた。
「いてぇっ」
「こいつ、いつも直前になって焦る奴なんで、ヒメと生徒会長でしっかり勉強の基礎から叩き込んでやって」
こいつめ……!
今、本気で叩きやがったな?
しかも、さりげなく俺のことディスってないか?
確かに美姫は毎回学年一位の成績だし、家でも勉強を欠かさずしてるけどさ。
何で持田としなきゃいけないんだって話だ。
「だって学年トップはヒメ、ヒメに続く学年二位が持田。学年のツートップが一緒に勉強した方が、効率がいいってやつなんじゃね?」
「はぁぁあ!? 持田って、そんな頭良かったのかよ!?」
「何だよ、今さら。俺らの学年では有名だろ?」
冗談じゃねぇ!
「俺、ちょっと行ってくる」
「はいはい。邪魔しに行っといで」
邪魔しにって、結人の奴、一体どっちの味方だよ……。
でもまさか二人に学年トップだなんていう共通点があっただなんて、盲点だった。
今月末には、俺らの学校は1学期末テストを控えている。
そのことを思えば、学年トップ組が俺らみたいにテスト直前に詰め込むのではなく、早々行動を起こしていてもおかしくない。
俺の知らないところで二人で仲良く勉強してたなんて、想像もしたくない。
俺が廊下に飛び出したとき、ちょうど持田が美姫の持っていたノートを受け取っていた。
チラリと見えたノートの雰囲気から、きっとあれは美姫のノートだ。
「じゃあまた、放課後に」
「うん」
今日は、修学旅行実行委員の集まりはない。
イラスト作成もだいぶ完成に近づいたことから、次の委員の集まりまでに各々仕上げることになってるし。
生徒会の集まりで遅くなるようなことは、美姫も言ってなかった。
それなのに放課後ってなんだよ……っ!
「あれ、夏川くん。そんなに慌ててどうしたの?」
だけど俺が何か言葉を発するよりも先に、持田が俺に気づいて口を開いた。
「え。や、……その、ノート……」
勢いだけで教室を飛び出して来たけど、二人を前にして口から出た言葉が“ノート”って……。
俺、ダサすぎだろ!
「ああ、これね。そんな目で見なくても、僕が篠原さんに許可を取って借りたものだから大丈夫」
別にそんな話を聞きたいんじゃねーんだよ。
持田に妙に上から目線でそう言われて余計にイライラする。
「こいつと、一緒に勉強すんの?」
「……え? あ、うん。持田くん、私に聞きたいところがいくつかあるって言ってて」
美姫に聞けば、そんな風に美姫はこたえてくれる。
美姫に聞きたいところって……。
勉強でわからないところは美姫じゃなく先生に聞きに行けよな。何のための先生だって話だ。
「篠原さんの説明って、生徒目線っていうか、先生の説明よりもわかりやすいんだよね」
まるで俺の心の声でも聞こえてたかのように、持田はそう言ってくる。
「あ、もしよかったら、夏川くんも僕たちと勉強する?」
だけど、そこで持田は何を思ったのか、俺を二人の勉強会に誘ってきたんだ。
「……お前、何を企んでやがる」
「やだな、企んでるだなんて。人聞きが悪いな。僕はただ夏川くんも一緒にやりたいのかなと思って、厚意で誘ってあげたのに」
俺も人のことは言えないが、ここまで俺に敵意剥き出しだったくせにいきなり一緒に勉強しようなんて、裏で何か考えてるとしか思えない。
「ってか厚意で誘ってあげたとか、まずその言い方が気に入ら……」
「いいんじゃねーの? 広夢のことも仲間に入れてやってくださいな」
俺の言葉を遮るようにそう言う声が背後から聞こえて、思わず振り返る。
「……結人!? なんでお前が居んだよ!」
さっきまで教室で弁当食ってただろうが!
「何でって。弁当食い終わって廊下に出てみたら、面白そうな会話してっから」
そして、ムカつくくらいにクールな面持ちは壊さないまま、俺に耳打ちしてくる。
「いいじゃん。ヒメと一緒に勉強できるなら。つまんねぇプライド守ってないで、ヒメと生徒会長のこと邪魔するつもりで行ってこい」
結人はそれだけ言うと、俺の背中をバシッと力強く叩いた。
「いてぇっ」
「こいつ、いつも直前になって焦る奴なんで、ヒメと生徒会長でしっかり勉強の基礎から叩き込んでやって」
こいつめ……!
今、本気で叩きやがったな?
しかも、さりげなく俺のことディスってないか?
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