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第3章
◇男性恐怖症克服の第一歩-美姫Side-(2)
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そしてさっそく次の日の放課後から、修学旅行実行委員の集まりが始まった。
その最初の集まりとなる教室へ足を運び、とりあえず席につくと、ちょうど私の右隣の席に持田くんがやって来た。
「篠原さん、お疲れさま。隣いい?」
「……えっと」
私の隣の席は確かに両方とも空いているけれど、クラスごとで座らなくてもいいのかな……。
「座る席は、みんなに自由に座ってもらって大丈夫みたいだから」
あ、なるほど。
私の考えてたことは持田くんにはお見通しだったようで、そう説明されて納得する。
「……何で持田が美姫の隣に座ってんだよ」
そんな声が聞こえたかと思えば、ちょうど私の左隣の空いた席に広夢くんがやって来る。
「別に隣に座ったらダメな理由はないでしょ? それより、まさかとは思うけど篠原さんのクラスのもう一人の実行委員って、夏川くんなの?」
結局、クラス内で他に修学旅行実行委員をやりたいと言う人もなく、私たちのクラスの修学旅行実行委員は私と広夢くんにすんなり決まった。
「うん。立候補してくれて……」
「……んだよ、俺が実行委員じゃなんか文句あんのかよ」
私が説明しようにも、まるでケンカを売るようにそう言う広夢くん。
何となくだけど、広夢くんも持田くんも言葉にトゲがあるように聞こえるんだけど……。
二人が話してるところって今まであまり見たことがないし、二人ってもしかして仲悪い、とかなのかな?
「はい、じゃあ修学旅行実行委員の1回目のミーティングを始めます」
そのとき、修学旅行実行委員の担当の先生が入ってきて、お互いに睨み合っていた広夢くんと持田くんの視線がそらされた。
修学旅行実行委員の仕事は、主に修学旅行中の運営とそれに伴う準備。
……そして、修学旅行のしおり作り。
これが一番時間がかかるとされているんだ。
「で、この修学旅行のしおり作りだが、いくつかの担当ごとに別れて作業を行ってもらおうと思う」
カツカツとチョークの音を響かせながら、先生がいくつかの担当を書いていく。
「じゃあ、メンバーは適当に先生の方で決めていくな。各クラスの班ごとの名簿作成を……」
そうして、各担当ごとにランダムに役割を与えられていく。
「しおり内のイラスト作成は、そうだな、篠原と、……」
私の他のメンバーを誰にしようか、先生は教卓の上の実行委員名簿に目を近づける。
だけど、そのときだった。
「──はいはいはーい! せんせ~俺も俺も~」
左隣に座っていた広夢くんが、頭上高くにピンと手を挙げていた。
「何だ? 夏川、お前イラストやりたいのか? じゃあ篠原と夏川の二人に……」
「ちょっと待ってください!」
そこで、持田くんの声が、先生の声を遮るように入ってきた。
「持田、どうした?」
「イラストの作成なら、夏川くんより僕の方が適任だと思います」
持田くんにそう言われて、広夢くんは持田くんを睨み付けながら言い返す。
「なっ、持田! お前、それどういう意味だよ」
「そのままの意味だけど。じゃあ聞くけど、僕は美術の成績5だけど夏川くんは?」
「イラストに美術の成績なんて関係ねーだろ!? 生徒会長だかなんだか知らねぇけど、下心ありまくりなくせに偉そうに言ってんじゃねーよ」
「下心あるのはどっちだよ。あんた最近、篠原さんにつきまといすぎじゃない?」
って、何でそこで私が出てくるの!?
「ちょっと! ふ、二人とも、やめて……!」
何で二人は、さっきからお互いケンカ腰なの!?
一気に同じ実行委員メンバーの視線が私の方にも向けられるのを感じて、思わず止めに入る。
『最近、広夢くんとヒメが話してる姿を見るって話をちらほら聞くけど、本当みたいだな』
『生徒会長とヒメって、実は付き合ってたわけじゃなかったんだ』
『ヒメは、どっちが……』
ああ、もう、やだ……。
そんなヒソヒソ声まで聞こえてきて、この場から逃げ出したくなる。
「はい、静かに! そういうことなら、イラスト作成は、篠原と夏川と持田の三人にお願いする」
「は!?」
「え!?」
先生の決定に、広夢くんと持田くんの声が重なる。
「どうした? そんなにイラストがやりたかったんだろう? イラスト作成自体は時間もかかる仕事になるから、三人でやってもらうことにした」
その最初の集まりとなる教室へ足を運び、とりあえず席につくと、ちょうど私の右隣の席に持田くんがやって来た。
「篠原さん、お疲れさま。隣いい?」
「……えっと」
私の隣の席は確かに両方とも空いているけれど、クラスごとで座らなくてもいいのかな……。
「座る席は、みんなに自由に座ってもらって大丈夫みたいだから」
あ、なるほど。
私の考えてたことは持田くんにはお見通しだったようで、そう説明されて納得する。
「……何で持田が美姫の隣に座ってんだよ」
そんな声が聞こえたかと思えば、ちょうど私の左隣の空いた席に広夢くんがやって来る。
「別に隣に座ったらダメな理由はないでしょ? それより、まさかとは思うけど篠原さんのクラスのもう一人の実行委員って、夏川くんなの?」
結局、クラス内で他に修学旅行実行委員をやりたいと言う人もなく、私たちのクラスの修学旅行実行委員は私と広夢くんにすんなり決まった。
「うん。立候補してくれて……」
「……んだよ、俺が実行委員じゃなんか文句あんのかよ」
私が説明しようにも、まるでケンカを売るようにそう言う広夢くん。
何となくだけど、広夢くんも持田くんも言葉にトゲがあるように聞こえるんだけど……。
二人が話してるところって今まであまり見たことがないし、二人ってもしかして仲悪い、とかなのかな?
「はい、じゃあ修学旅行実行委員の1回目のミーティングを始めます」
そのとき、修学旅行実行委員の担当の先生が入ってきて、お互いに睨み合っていた広夢くんと持田くんの視線がそらされた。
修学旅行実行委員の仕事は、主に修学旅行中の運営とそれに伴う準備。
……そして、修学旅行のしおり作り。
これが一番時間がかかるとされているんだ。
「で、この修学旅行のしおり作りだが、いくつかの担当ごとに別れて作業を行ってもらおうと思う」
カツカツとチョークの音を響かせながら、先生がいくつかの担当を書いていく。
「じゃあ、メンバーは適当に先生の方で決めていくな。各クラスの班ごとの名簿作成を……」
そうして、各担当ごとにランダムに役割を与えられていく。
「しおり内のイラスト作成は、そうだな、篠原と、……」
私の他のメンバーを誰にしようか、先生は教卓の上の実行委員名簿に目を近づける。
だけど、そのときだった。
「──はいはいはーい! せんせ~俺も俺も~」
左隣に座っていた広夢くんが、頭上高くにピンと手を挙げていた。
「何だ? 夏川、お前イラストやりたいのか? じゃあ篠原と夏川の二人に……」
「ちょっと待ってください!」
そこで、持田くんの声が、先生の声を遮るように入ってきた。
「持田、どうした?」
「イラストの作成なら、夏川くんより僕の方が適任だと思います」
持田くんにそう言われて、広夢くんは持田くんを睨み付けながら言い返す。
「なっ、持田! お前、それどういう意味だよ」
「そのままの意味だけど。じゃあ聞くけど、僕は美術の成績5だけど夏川くんは?」
「イラストに美術の成績なんて関係ねーだろ!? 生徒会長だかなんだか知らねぇけど、下心ありまくりなくせに偉そうに言ってんじゃねーよ」
「下心あるのはどっちだよ。あんた最近、篠原さんにつきまといすぎじゃない?」
って、何でそこで私が出てくるの!?
「ちょっと! ふ、二人とも、やめて……!」
何で二人は、さっきからお互いケンカ腰なの!?
一気に同じ実行委員メンバーの視線が私の方にも向けられるのを感じて、思わず止めに入る。
『最近、広夢くんとヒメが話してる姿を見るって話をちらほら聞くけど、本当みたいだな』
『生徒会長とヒメって、実は付き合ってたわけじゃなかったんだ』
『ヒメは、どっちが……』
ああ、もう、やだ……。
そんなヒソヒソ声まで聞こえてきて、この場から逃げ出したくなる。
「はい、静かに! そういうことなら、イラスト作成は、篠原と夏川と持田の三人にお願いする」
「は!?」
「え!?」
先生の決定に、広夢くんと持田くんの声が重なる。
「どうした? そんなにイラストがやりたかったんだろう? イラスト作成自体は時間もかかる仕事になるから、三人でやってもらうことにした」
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