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第8章
永遠に奏でるメロディー(3)
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会場内が落ち着きを取り戻すと、最後は桃華の両親への手紙──。
桃華は、少し緊張した面持ちで手紙を読みはじめた。
「お父さん、お母さん、桃華は今日この23歳のお誕生日に、大好きな人と結婚することができました。
この23年間、慈しみ、見守り、育ててくれてありがとうございました。無事にこの日を迎えることができて心から感謝の気持ちでいっぱいです。
幼い頃から心臓に病気を抱え、お父さんもお母さんも、「健康で丈夫な子どもに産んであげられなくて、辛い思いさせてごめんね」と言っていましたね。
でも、私はこの身体だったから、桃華という人間であり、今の私があります。
そして、いつも私に良い治療を受けさせようと一生懸命働いてくれていたお父さん
どんなに辛い時も傍で支えてくれたお母さん
こんなに私のことを思ってくれるお父さんやお母さんのもとに生まれることができて、私は幸せです。
二十歳まで生きられないかもしれない
大人になれないかもしれない
って言われてた時は、今日という日を過ごすことができるなんて、夢にも思っていませんでした。
私は今、この胸の中の心臓により、この時を生きることができています。
お父さん、お母さんには本当に多大な負担をかけてしまったことと思います。
本当に感謝してもしきれません。
いただいた時間を決して無駄にしないように
お父さん、お母さんの思い
私に元気に過ごせる時間を与えて下さった、心臓を提供して下さった方の思い
私の身体のことを知っていながらも、私と人生をともに誓ってくれた拓人の思い
そして
私を支えて下さった多くの方々の思い
全ての思いに応えられるよう、精一杯1日1日恩返しするつもりで生きていきたいです。
本当に今日という日を迎えられて、この世界に生まれてこれて良かった……
お父さん、お母さん、私を産んでくれて
本当に、ありがとう。
これからは、拓人と2人で力を合わせてあたたかい家庭を作っていきたいと思います。どうか私達を見守っていて下さい。
拓人のお父さん、お母さん、こんな私と拓人の結婚を許して下さり、本当にありがとうございました。
ふつつか者ですが、これからもよろしくお願いします」
途中からボロボロ涙をこぼしながらも、力強く最後まで手紙を読み終えた桃華は、力が抜けたかのようにその場に泣き崩れた。
桃華の父親も母親もハンカチが手放せないくらい涙を流し、拓人の両親までも派手に泣いていた。
桃華を支えるように抱きしめる拓人。
拓人の温もりに包まれて安心した桃華の瞳からは、涙は止まるどころかどんどん溢れ出た。
桃華の身体に回された拓人の腕にそっと手を添える。
すると、桃華のものではない涙がポタポタと桃華の手に落ちる。
(拓人、泣いてるの……?)
桃華が拓人の方を向こうとすると、それを阻止するかのように桃華を抱きしめる腕の力が強まった。
「桃華……、本当に俺の隣に戻って来てくれてありがとな……。
本当に、愛してる。これからは、もう何があっても桃華のこと、絶対離さねぇから……。
絶対、幸せになろうな」
拓人が涙を流しながら桃華の耳元で囁いた。
桃華も涙を流しながら力強く何回もコクコクと頷いた。
しんみりした会場内と打って変わって流れ始める退場曲──。
拓人と桃華が出会った頃、桃華が1番よく聴いていた曲
『NEVER END』
決して終わらない──。
そんな意味が込められた、NEVERらしい派手さとパワー溢れるロック調の明るいNEVERのデビュー曲だ。
この曲の意味と
“拓人と桃華の、決して終わらない愛”
を重ね合わせて2人で選んだ。
これから先も、永遠に終わらない、2人のメロディーを奏でていきたい──。
拓人の手を取り歩き出す桃華。
2人が近づくと派手にはやしたてるNEVERのメンバー。
「ちゃんとモモを幸せにしろよな」と声をかけるユウスケ。
まだ涙が止まらない桃華と拓人の両親。
たくさんの人に「ありがとう」を伝えながら、幸せ溢れる笑顔とともに、2人は明るい未来へと歩いて行った。
──2人の道のりは、まだまだ始まったばかり。
これから先も、どんな運命が待ち受けているかは、誰にも分からない。
でも、もう何があっても恐くない。
何があっても2人一緒だから。
ずっとずっと
永遠に──。
──END──
桃華は、少し緊張した面持ちで手紙を読みはじめた。
「お父さん、お母さん、桃華は今日この23歳のお誕生日に、大好きな人と結婚することができました。
この23年間、慈しみ、見守り、育ててくれてありがとうございました。無事にこの日を迎えることができて心から感謝の気持ちでいっぱいです。
幼い頃から心臓に病気を抱え、お父さんもお母さんも、「健康で丈夫な子どもに産んであげられなくて、辛い思いさせてごめんね」と言っていましたね。
でも、私はこの身体だったから、桃華という人間であり、今の私があります。
そして、いつも私に良い治療を受けさせようと一生懸命働いてくれていたお父さん
どんなに辛い時も傍で支えてくれたお母さん
こんなに私のことを思ってくれるお父さんやお母さんのもとに生まれることができて、私は幸せです。
二十歳まで生きられないかもしれない
大人になれないかもしれない
って言われてた時は、今日という日を過ごすことができるなんて、夢にも思っていませんでした。
私は今、この胸の中の心臓により、この時を生きることができています。
お父さん、お母さんには本当に多大な負担をかけてしまったことと思います。
本当に感謝してもしきれません。
いただいた時間を決して無駄にしないように
お父さん、お母さんの思い
私に元気に過ごせる時間を与えて下さった、心臓を提供して下さった方の思い
私の身体のことを知っていながらも、私と人生をともに誓ってくれた拓人の思い
そして
私を支えて下さった多くの方々の思い
全ての思いに応えられるよう、精一杯1日1日恩返しするつもりで生きていきたいです。
本当に今日という日を迎えられて、この世界に生まれてこれて良かった……
お父さん、お母さん、私を産んでくれて
本当に、ありがとう。
これからは、拓人と2人で力を合わせてあたたかい家庭を作っていきたいと思います。どうか私達を見守っていて下さい。
拓人のお父さん、お母さん、こんな私と拓人の結婚を許して下さり、本当にありがとうございました。
ふつつか者ですが、これからもよろしくお願いします」
途中からボロボロ涙をこぼしながらも、力強く最後まで手紙を読み終えた桃華は、力が抜けたかのようにその場に泣き崩れた。
桃華の父親も母親もハンカチが手放せないくらい涙を流し、拓人の両親までも派手に泣いていた。
桃華を支えるように抱きしめる拓人。
拓人の温もりに包まれて安心した桃華の瞳からは、涙は止まるどころかどんどん溢れ出た。
桃華の身体に回された拓人の腕にそっと手を添える。
すると、桃華のものではない涙がポタポタと桃華の手に落ちる。
(拓人、泣いてるの……?)
桃華が拓人の方を向こうとすると、それを阻止するかのように桃華を抱きしめる腕の力が強まった。
「桃華……、本当に俺の隣に戻って来てくれてありがとな……。
本当に、愛してる。これからは、もう何があっても桃華のこと、絶対離さねぇから……。
絶対、幸せになろうな」
拓人が涙を流しながら桃華の耳元で囁いた。
桃華も涙を流しながら力強く何回もコクコクと頷いた。
しんみりした会場内と打って変わって流れ始める退場曲──。
拓人と桃華が出会った頃、桃華が1番よく聴いていた曲
『NEVER END』
決して終わらない──。
そんな意味が込められた、NEVERらしい派手さとパワー溢れるロック調の明るいNEVERのデビュー曲だ。
この曲の意味と
“拓人と桃華の、決して終わらない愛”
を重ね合わせて2人で選んだ。
これから先も、永遠に終わらない、2人のメロディーを奏でていきたい──。
拓人の手を取り歩き出す桃華。
2人が近づくと派手にはやしたてるNEVERのメンバー。
「ちゃんとモモを幸せにしろよな」と声をかけるユウスケ。
まだ涙が止まらない桃華と拓人の両親。
たくさんの人に「ありがとう」を伝えながら、幸せ溢れる笑顔とともに、2人は明るい未来へと歩いて行った。
──2人の道のりは、まだまだ始まったばかり。
これから先も、どんな運命が待ち受けているかは、誰にも分からない。
でも、もう何があっても恐くない。
何があっても2人一緒だから。
ずっとずっと
永遠に──。
──END──
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