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第6章

星降る夜の誓い(1)

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 まばゆい朝日に目を開けると、既に目を覚ましていた拓人が桃華を愛おしそうに見つめていた。


「拓人、おはよう」


「おはよう、桃華。まだ眠いか?」


「うん……」


 桃華は眠たそうに目を擦りながら、拓人に寄り添う。


「昨夜、ちょっと遅くなっちゃったもんな。俺、何か朝飯作ってくるから、桃華はもう少し寝てろよ」


「ん……」


 桃華は開きづらい目を再び閉じながら、拓人にぎゅうっとしがみついた。


「やぁ……」


 どこにも行くなと言わんばかりに拓人の胸元のパジャマを掴み、顔を埋めて甘える桃華。


 その姿が可愛いくて、拓人は「しょうがねぇな」とおかしそうに笑うと、そっと桃華を抱き寄せて、桃華と2人そのままもうひと眠りすることにした。



 次2人が目覚めた時には、既に太陽は東の空高くに昇っていた。


「ん~……」


 隣で気持ち良さそうに伸びをする桃華に拓人が笑いかける。


「よく眠れたか?」


「う、うんっ! なんか、ごめんねっ!!」


 桃華が朝に弱いことは、拓人もよく分かっていただけにおかしくてプッと吹き出すように笑った。


「いちいち気にするな。寝起きの桃華可愛いから全然構わねぇよ」


 拓人がそう言い桃華の頭を撫でると、桃華は照れ臭そうに笑った。


 お互いに着替えを済ませ、朝食を作り、それを食べる。


 高原ということもあり、テレビのチャンネルも限られる中、ニュースを映す。


 朝食を済ませた2人はソファーで寄り添うように、ぼんやりニュースを眺めていた。


「今日はどのチャンネル回してもNEVER出てないね……」

 桃華は少し残念そうにリモコンをいじる。


「少なくても生中継は出ねぇだろ。俺、ここに居るんだし」

 拓人はその様子をおかしそうに笑う。


 その時、ちょうどCMに入り、NEVERの曲が使われたCMが流れて桃華が目を輝かせた。


「すごいっ!! このCM初めて見たっ!! 家帰ったら録画しなきゃっ!!」


 NEVERのメンバーはひとつも映らない、ただの車のCM。


 それをNEVERの曲が使われたというだけで大げさに喜ぶ桃華。


 拓人はなんだかおかしくて、でも嬉しくて大笑いした。


「えっ!? 私、何か変なこと言っちゃったかな……?」


「いや、すげぇ可愛い」


 真っ赤になる桃華をそっと胸に抱く。


「でも、やっぱり不思議。みんなに注目されて、たくさんのファンに愛されるTAKUが今は婚約者だなんて。

拓人に出会うまでは、私も大勢のファンの子達の中の1人だったのに、今はこうして拓人の1番近くに居られる。本当、夢みたい」


「夢でも何でもねぇよ。俺にとっては桃華が特別なんだ」


 拓人はそんな桃華が可愛いくて、自分に抱き着く桃華の頭をゴシゴシ撫でた。


 髪をくしゃくしゃにされた桃華は「もうっ!!」と少し怒ったような表情を浮かべたが、桃華のそんな姿さえ愛しくて、拓人は再びぎゅうっと桃華を抱きしめた。



 この日は、昨日行けなかったリゾート施設のアスレチックを楽しむ。


 子ども用に作られたアスレチックのネットで作られた遊具も、桃華にとっては初めてで、明るい声を上げてはしゃいでいた。


「すごいっ!! 拓人っ!! この縄でできたつり橋おもしろいっ!!」


「桃華、落ちないようにしっかり捕まっとけよ?」




 ──ドンッ。



「きゃぁっ!! もうっ、拓人の意地悪~っ!!」


 拓人は桃華と2人で歩いていた遊具のつり橋を思いっきり揺らしたのだ。


 ローラー付きの滑り台も、タイヤでできたブランコも、小さい頃から心臓の病気でずっと大人しくさせられていた桃華にとっては、どれもが新鮮だった。


「桃華、良く動いたから疲れたろ?」


「ううん、次はあれ行ってみよっ!!」


 夕方になるまで、次から次へと遊び倒す桃華に、拓人の方がクタクタになりそうだった。


「拓人っ!! 今度はあれ、行ってみよっ!!」


 既に日は傾き、茜雲がオレンジに染まる頭上に散りばめる。


 桃華が指さした先に見えるのは、少し小山になったところにある『誓いの鐘』というものだった。


「おう! いいじゃねぇか!」


 少し離れたところにその小山はあるため、一旦ロッジに戻って軽く夕食を取ってから行くことにした。
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