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第6章

求め合う心(2)

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「桃華、信じてないって顔してる」


 拓人は桃華の顔を見てプッと笑った。


「だ、だって……」
(拓人、絶対モテるのに……)


 拓人は桃華を胸に抱き寄せる。


「本当だからさ、だから桃華はもっと自信持てよ。

俺が生涯こんなに夢中になれる女性は桃華だけだから。変なこと考えてんじゃねぇよ」


 拓人の言葉に、桃華は少し恥ずかしそうに唇を突き出した。


「へ、変なことって……」


 拓人はその様子をおかしそうに笑うと、桃華の突き出た唇を覆うように深いキスを落とした。


「ん……、拓人……?」


 桃華は恥ずかしそうに拓人から唇を離す。


「桃華、逃げるなよ」


 桃華の頭を手で引き寄せ、再び唇を重ねようとする拓人。


「だって、ここ……外だし……」

(もしも万が一、リナさんや他の人が見てたら……)


 ロッジの目の前まで帰って来てたこともあり、そっとロッジの入り口を指さす桃華。


「そうだな。こんなとこ、誰かに撮られても困るしな……」


 拓人は少し困ったように笑うと、桃華をひょいっと抱き上げ、そのままロッジに連れて入った。


 そして、ドアからすぐ傍にあったソファーに桃華を寝かせるなり、上から覆いかぶさるようにして再び深いキスを繰り返した。



 熱い吐息と舌が激しく絡み合う。




「拓人ぉ……」

 お互いに熱を持つ身体を離しながら桃華が呼ぶ。



「どうした? まだ足りないか?」


「いや、そうじゃなくて……」


 桃華の言葉は、再び拓人の口により掻き消される。


 拓人の甘い唇が、温かくて柔らかい舌が、桃華の中に生まれた不安を掻き出すかのように、深いキスは何度も何度も繰り返された。


 しばらくそうしているうちに、次第に桃華の下着の中に入る拓人の手。


 桃華がそれにピクンと微かに反応して、それに気づいた拓人はそっと桃華を抱き寄せ、耳元で囁いた。


「ごめん……俺、止まらなくなりそう……先に風呂入ろ?」


「う、うん」



 拓人にそう言われ、桃華は頬を赤く染めて一緒に浴室へと向かう。


 拓人とお泊りの時は必ずと言っていいほど一緒にお風呂に入るのに、さっきのキスの後だからか、やけに桃華は緊張していた。


 そのせいもあり、浴室内も異常な緊張感に包まれ、いつもより湯の音が大きく響いた。



 身体を流し終え、桃華を後ろから抱きしめるようにして湯舟に浸かる拓人。


「桃華? もしかして、まだ怒ってる?」


 桃華があまりにしゃべらないので、拓人は桃華がまだ機嫌を損ねているように感じたのだ。


「えっ!? ち、違うよっ!! 怒ってなんか、ない……」

 桃華は鼻の頭まで湯に潜りブクブクとさせる。


「なら良いんだけど、今日はごめんな」


「えっ!?」

 突然謝る拓人に、桃華はバッと顔を上げて拓人の方を向く。


「俺さ、今日河原で桃華が寝てる時、桃華と出会った頃のこと思い出してたんだ。そしたらな、今がどれだけ幸せかって分かって、すごく泣けてきた」


 拓人は桃華を前に向かせるようにクルリと桃華の身体を回転させ、再び後ろからぎゅっと抱きしめた。


「こんなこと言ったら桃華に怒られるかもしれねぇけど、俺、リナさんに嫉妬してる桃華を見て、すごく嬉しかった」


 拓人はそっと桃華の肩に顎を乗せる。


「だってさ、今まで俺が桃華の周りに居る男に嫉妬して怒り狂うことはあってもさ、桃華は全然そんなことなかったじゃねぇか。

だから、桃華があんなに取り乱す姿見れて、すごく嬉しかった」


「べ、別に嫉妬なんか……」


「違った?」


 拓人が覗き込むように桃華を見つめ、桃華は「違わない」と小さく漏らした。
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