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幼馴染編
約束1
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幼馴染み編
俺達2人は昔からずっと一緒だった。学校も同じで家も近所だったから、一緒にいるのが当たり前であり、自然だったんだ。
でもまさかこんな事になるなんてー…
「龍ちゃん…これどういうこと…」
「翔が悪いんだよ、俺に無断で勝手に彼女なんて作るから」
今、俺は龍ちゃんの家のベッドの上で手錠を付けられ、ベッドの上から逃げられない様に括り付けられていた。
時は遡る事2時間前ー…
俺達2人は学校が終わり、龍ちゃんの部屋でゲームをしていた。
「このゲームも飽きてきたな…。ちょっと休憩するか。翔!何か食べたいお菓子とかジュースある?何でもあるよ」
「さすが龍ちゃんの家だね…。」
龍ちゃんの家は父親も母親も会社の社長さんで、仕事が忙しいらしく、滅多に帰ってくる事はない。いつも月初めに多額のお金を渡されて、そのお金で生活をしている。だから、いつも龍ちゃんは大きな豪邸に1人ぼっちでいる。たった1人で…。
小学生低学年のある時
「寂しくないの?」
と俺が聞いたらー
「はっ、寂しいわけないじゃん!せいせいするよ!どうせあの2人が居たら喧嘩ばっかして宿題もできないし!…それに俺には翔がいるから、寂しくなんかないよ」
龍ちゃんは真っ直ぐな目をして、俺を見て答えた。
「翔…ずっと俺と一緒にいてくれる…?」
龍ちゃんは少し赤面させながら、でも不安そうに俺に聞いてきた。
「当たり前じゃん!!ずっと一緒だよ!!ずっと、ずーーーっと龍ちゃんと一緒にいるよ!!」
俺は幼いながらも、龍ちゃんを少しでも安心さたかった。そして、その言葉に嘘偽りはなかった。
「!!翔大好き!!約束だよ!!ずっと、ずーーー~~~っと一緒にいてよ!!約束だからね!!」
龍ちゃんは俺をぎゅううううううっ、と強く抱きしめた。
「く、苦しいよ龍ちゃん!離してよ!!」
「…………やだ。翔が約束するって言うまで離さない」
「わかった!!する!!約束するから!!離してよ~~」
「本当!?やったーー!!」
龍ちゃんはパッと抱きしめていた手を離すと、凄く嬉しそうに笑った。
「翔もし約束破ったらその時はー…」
そう言えばあの時、龍ちゃんは何て言ったけ。う~~~ん、思い出せないや…。
「翔!!特に食べたいお菓子がないなら、麦茶とクッキーで良い?」
「あ!うん!!オッケー!!ありがとう!!」
龍ちゃんは冷蔵庫がある1階へと降りていった。広い龍ちゃんの部屋には俺1人だけが取り残された。
よし、今日こそ、今日こそ絶対に龍ちゃんに言うぞ!!俺に、念願の彼女が出来たって!!実は1週間ほど前から俺には付き合っている彼女がいる。優しくて可愛い女の子だ。照れくささからか、中々龍ちゃんには言い出せずにいる。でも親友であり、幼馴染の龍ちゃんには言わないと!!
「翔ー~~両手塞がってるから、悪いんだけど扉開けてー」
「わ、わわ、うん!!」
龍ちゃんにどうやって切り出そうか考えていたら、急に声をかけられて驚く。
「……?何ビビってんの?」
「あはは…ちょっと考え事しててね…って、すごっ!!何このクッキーめっちゃオシャレなんだけど!!初めてみた!!美味しそうだな~~!!本当に食べて良いの!?」
龍ちゃんが持ってきたクッキーは高そうな缶に入っており、クッキーの形もバラやマーガレットなどの花の形をしている。絶対にスーパーでは売ってない代物である。
「ははっ、早く食べてよ。翔はクッキー1つで驚きすぎなんだよ」
「いやいやいや、こんなの普通売ってないよ!少なくとも俺の家には絶対ない!!」
「ふーん、そうなんだ。何か親宛てに沢山こういうの届いてくるから、宅配受け取るのもいい加減、面倒いんだけどな」
小さな事だけど、こういうちょっとした違いを感じる度に、龍ちゃんと俺の住む世界は違う事を思い知らされる。
高校までは一緒だったけど、きっとこれからの人生はー…
「ーで、翔、考え事って何考えてたの?」
「ごほごほ、ごほっ」
「!!おい何むせてんだ!!爺さんじゃないんだから!!ほら麦茶飲め!!」
「ご、ごめん龍ちゃん。大丈夫だよ、折角の高いクッキーなのに少し零しちゃったよ。あれだけで200円の価値はあるかもしれないのに…ああ」
「何言ってんだ」
龍ちゃんは少し笑いながら、俺の背中をさすってくれている。やっぱり龍ちゃんは優しいなあ…。
「あ、あのさ、考え事の事なんだけど」
「うん」
「か、かか、か、彼女の事考えてたんだ。俺、彼女が出来たんだ」
「ーーーーー…は?」
龍ちゃんは、今まで俺が見た事のない様な怖い顔で、ドスの効いた低い声で呟いた。
俺達2人は昔からずっと一緒だった。学校も同じで家も近所だったから、一緒にいるのが当たり前であり、自然だったんだ。
でもまさかこんな事になるなんてー…
「龍ちゃん…これどういうこと…」
「翔が悪いんだよ、俺に無断で勝手に彼女なんて作るから」
今、俺は龍ちゃんの家のベッドの上で手錠を付けられ、ベッドの上から逃げられない様に括り付けられていた。
時は遡る事2時間前ー…
俺達2人は学校が終わり、龍ちゃんの部屋でゲームをしていた。
「このゲームも飽きてきたな…。ちょっと休憩するか。翔!何か食べたいお菓子とかジュースある?何でもあるよ」
「さすが龍ちゃんの家だね…。」
龍ちゃんの家は父親も母親も会社の社長さんで、仕事が忙しいらしく、滅多に帰ってくる事はない。いつも月初めに多額のお金を渡されて、そのお金で生活をしている。だから、いつも龍ちゃんは大きな豪邸に1人ぼっちでいる。たった1人で…。
小学生低学年のある時
「寂しくないの?」
と俺が聞いたらー
「はっ、寂しいわけないじゃん!せいせいするよ!どうせあの2人が居たら喧嘩ばっかして宿題もできないし!…それに俺には翔がいるから、寂しくなんかないよ」
龍ちゃんは真っ直ぐな目をして、俺を見て答えた。
「翔…ずっと俺と一緒にいてくれる…?」
龍ちゃんは少し赤面させながら、でも不安そうに俺に聞いてきた。
「当たり前じゃん!!ずっと一緒だよ!!ずっと、ずーーーっと龍ちゃんと一緒にいるよ!!」
俺は幼いながらも、龍ちゃんを少しでも安心さたかった。そして、その言葉に嘘偽りはなかった。
「!!翔大好き!!約束だよ!!ずっと、ずーーー~~~っと一緒にいてよ!!約束だからね!!」
龍ちゃんは俺をぎゅううううううっ、と強く抱きしめた。
「く、苦しいよ龍ちゃん!離してよ!!」
「…………やだ。翔が約束するって言うまで離さない」
「わかった!!する!!約束するから!!離してよ~~」
「本当!?やったーー!!」
龍ちゃんはパッと抱きしめていた手を離すと、凄く嬉しそうに笑った。
「翔もし約束破ったらその時はー…」
そう言えばあの時、龍ちゃんは何て言ったけ。う~~~ん、思い出せないや…。
「翔!!特に食べたいお菓子がないなら、麦茶とクッキーで良い?」
「あ!うん!!オッケー!!ありがとう!!」
龍ちゃんは冷蔵庫がある1階へと降りていった。広い龍ちゃんの部屋には俺1人だけが取り残された。
よし、今日こそ、今日こそ絶対に龍ちゃんに言うぞ!!俺に、念願の彼女が出来たって!!実は1週間ほど前から俺には付き合っている彼女がいる。優しくて可愛い女の子だ。照れくささからか、中々龍ちゃんには言い出せずにいる。でも親友であり、幼馴染の龍ちゃんには言わないと!!
「翔ー~~両手塞がってるから、悪いんだけど扉開けてー」
「わ、わわ、うん!!」
龍ちゃんにどうやって切り出そうか考えていたら、急に声をかけられて驚く。
「……?何ビビってんの?」
「あはは…ちょっと考え事しててね…って、すごっ!!何このクッキーめっちゃオシャレなんだけど!!初めてみた!!美味しそうだな~~!!本当に食べて良いの!?」
龍ちゃんが持ってきたクッキーは高そうな缶に入っており、クッキーの形もバラやマーガレットなどの花の形をしている。絶対にスーパーでは売ってない代物である。
「ははっ、早く食べてよ。翔はクッキー1つで驚きすぎなんだよ」
「いやいやいや、こんなの普通売ってないよ!少なくとも俺の家には絶対ない!!」
「ふーん、そうなんだ。何か親宛てに沢山こういうの届いてくるから、宅配受け取るのもいい加減、面倒いんだけどな」
小さな事だけど、こういうちょっとした違いを感じる度に、龍ちゃんと俺の住む世界は違う事を思い知らされる。
高校までは一緒だったけど、きっとこれからの人生はー…
「ーで、翔、考え事って何考えてたの?」
「ごほごほ、ごほっ」
「!!おい何むせてんだ!!爺さんじゃないんだから!!ほら麦茶飲め!!」
「ご、ごめん龍ちゃん。大丈夫だよ、折角の高いクッキーなのに少し零しちゃったよ。あれだけで200円の価値はあるかもしれないのに…ああ」
「何言ってんだ」
龍ちゃんは少し笑いながら、俺の背中をさすってくれている。やっぱり龍ちゃんは優しいなあ…。
「あ、あのさ、考え事の事なんだけど」
「うん」
「か、かか、か、彼女の事考えてたんだ。俺、彼女が出来たんだ」
「ーーーーー…は?」
龍ちゃんは、今まで俺が見た事のない様な怖い顔で、ドスの効いた低い声で呟いた。
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