フラッグメーカー

富士 鷹茄

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第二話:恐怖!!キチガイ脳内暴走列車

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  混雑する朝の駅で南真は、いつもと同じように眠気が残っている頭で
     列車を待っていた。

   南(心)「やあ、みんな南真だ。今日も朝から人ごみで溢れ返った駅
                    で高校に通うため列車を待っているというありふれた日常
                    を送ってい」

  だが、そんないつものありふれた朝が徒舟の登場で嵐の予感となった。

   徒舟「あっ、南さんこの時間の列車にのってたんっすねー。」

   南(心)「ハイ、ワシのありふれた日常、終ー了ー、スーパー
        キチガイタイムに移行しマース。」

   南「おめーこそ珍しいなこの時間帯に乗ってたっけ?」

       徒舟「いやー、列車の撮影に夢中になりすぎてこの時間に
     なっちゃたんすよーやっぱ鉄道は、人の心を鷲掴み
     にする魔性の乗り物っすね。」

 南に同意を求める眼差しをむける徒舟だが南には理解不能であった。

 南「ワシに同意を求められてもなー、オメーの言ってることは、
   さっぱりだ。」

   そんなこんな話してると目的の列車がホームに入ってきた。

   南「そろそろ列にならんだ方がいいな。」

   徒舟「そうっすね。」

 南と徒舟が列に並ぼうと徒舟が先に列に並ぼうとすると
 キャリーバックを引きずっきたスレンダーボディのポニ
 ーテールのOLが徒舟の前に入ってきた。

 南(心)「やばいっ…朝から、なんて起爆剤なんだOLさんが奴の
      前…たのむっ再発しないでくれっ…まだ眠気の残って
      いる頭でてめーの相手は…つらいっ」

だが南の願いも虚しく稲妻のごとく徒舟の頭にキチガイ電流が流れ
強制的恋愛フラグおったて症候群が発動した。  
   
   
強制的恋愛フラグおったて症候群が発動しトリップした徒舟は脳内世界
(ヴレイン・ワールド)で徒舟は先頭の列車の屋根に乗り疾走していた。

すると列車の前方に「気のせい」と書かれた石壁が立ちふさがる、だが、
ものともせず徒舟を乗せた列車は、「気のせい」とかかれた石壁を打ち
砕き、続けて現れた「勘違い」、「自意識過剰」、「頭がおかしい」など
の石壁をものともせず疾走する。

徒舟「女から愛の波動を受けた愛の狂戦士と化した自分の疾走を止められ
   る者など皆無、突き進むっすよーっ」

   そして徒舟を乗せた列車は、さらに加速し石壁を砕いて突き進む

徒舟「愛の前では、障害など皆無、皆無皆無皆無皆無皆無…くぁい
   むぅぅぅぅっ」

このまま疾走が続き徒舟の勘違い全開ENDまで疾走するかに思われた、だが

徒舟「どっ…どういうことっすかー女からの愛の波動が弱まってるすっ…」
  
脳内世界 (ブレイン・ワールド)で徒舟が苦戦を強いられている時、
逆に南 真に少しの希望が差し込んだ。 
       
南(心)「おっ、今日ワシ運がいいかも…あやつの推理聞かずにすむか
     もしれん」

南の前で徒舟は、右手で頭をおさえて悩んでいるようだった。

南(心)「あやつ自分自身の強引な思考で前のOLが誘っていると思い
     込もうしとるがどうやら限界みたいだな。
      ただ前に並んだだけでそれ以上のアクションを起こしてい
     ない今、おまえの勘違い回路は矛盾で力を失ってきているはず
     …くっくっくっ」

  ここで凶悪な笑みを浮かべる南

南(心)「徒舟、テメーのキモい勘違い伝説もここで終わりだ。
     妄想を現実にすり潰されてここで果てろ!!」

そのころ、徒舟は誤った意味で脳内世界(ブレインワールド)で足掻いていた。
  
徒舟「くっ…この愛の伝道師たる自分がこれ以上の波動を感じ取れないだとっ
  …ありえないありえないっすよぉぉぉー」

そう叫ぶ徒舟の目の前に今までの比にならない巨大な石壁が現れその石壁には
、「眼中にない」と書かれている。

徒舟「やべぇマジやべぇっすよ…愛の波動の力が弱まって列車の速度が落ち
   てる今、あんな巨大な石壁(現実)に突撃したら自分が粉々(主に精
   神が)になるっすよょょー」

だんだん近づく石壁、だが徒舟は、間違った方向であきらめなかった。

徒舟「いや、諦めるにはまだはやいっす…ここで自分が諦めたら誰が
   彼女の気持ちに気づいてあげるんすか!!誰がその気持ち答えて
   あげるんすか!!…自分は、こんなところ終わるわけにはいかな
   いんだぁぁぁぁぁぁ!!」
  
  
  ホームに列車が到着し安堵した表情になる南。

南(心)「よし、これでジ・エンドだ。
      ここからやつの妄想源となる展開は起きないはずだ今日
     は、ついとる、列車のなかで仮眠でもゆっくりとれそうだ。」

列車のドアが開きら並んでいた人たちが列車に乗り込んでいく、徒舟の前
のOLもキャリーバックの持ち手を握りなおし列車に乗り込んでいく。

南「おい、徒舟早く前に進…」

南(心)「ここやつ、…まだ悪い意味で目が死んでねぇ…何故だ!!なにが
    起こった」

そのころ脳内世界(ブレイン・ワールド)の徒舟に向かって風が吹き荒れ
徒舟の体と列車が光を放ち始める。

徒舟「来た来た来た来た来たっすよぉぉぉ愛の波動が体にびんびんキテるっ
   すぅぅぅぅっ」

徒舟がズボンのポケットから定期券入れを取り出し開く

徒舟「すごいっすよぉぉー、○○カ{こいつ俺に気がある}ポイントがどん
   どんチャージされていくっすこれならあの巨大な石壁(現実)も貫け
   る…いや」

 徒舟の形相が希望に満ち溢れた悪人のような変化をとげた。

徒舟「突き破るんや、愛の障害などどついてどついてどつきまわして粉々に
   するんやぁぁぁ」

徒舟が叫ぶのに応じてか列車の速度がさらに加速して列車と徒舟が眩い光を
放ちBZMが流れ出し石壁に迫る。

徒舟「目ぇかっぽじってよう見とけやぁぁこれがワイの…愛の伝道師、徒舟 
   信也の一撃乗り鉄バージョンやぁぁーー!!」

徒舟は列車から飛び上がりとび蹴りの体勢で列車と同時に巨大な石壁に一筋
の光となり貫いた。

徒舟「必殺、俺にゾッコン上り線純愛行きストライクぅぅぅぅ!!」

石壁は、貫かれ粉々になり消滅した。

同時に徒舟の意識は現実の世界に帰還した。

徒舟「なんだぁーかわいいとこあるじゃないかぁ」

南「おい、とりあえず乗れ」

列車に乗り込んだところで徒舟の口が開く。
  
徒舟「やはり、あのOL、俺に気がある。」

南(心)「さっき今日は、ついてると思ったが前言撤回、ワシ、絶対不幸だ
     …だがワシは諦めない、こうなったらこちらの精神が疲弊するの
     を避けるためにワシができる決断は、」

徒舟「まあ、鈍ちんな南さんには、気づかなかったでしょうから愛の伝道師
   の自分がレクチャーしてあげるっすよー。」

振り向く徒舟、だがそこには南はいなかった。

徒舟「…あれ?」

そして、視線をさげると後ろの座席で南は寝ていた。

 徒舟「ちっ、ちょっと何寝てるんすか、せっかくレクチャーしてあげるって
    言ってるんですよ!!」

南「んあ、いいよ別に、聞くのめんどくせーしこれからワシは、仮眠とるんだ
  邪魔すんな。」

徒舟「ま、まあそういわないで聞いてくださいっすよー、ね。」

南(心)「こやつ、どんだけ、かまってちゃんなんだよっ、無視して
     とっとと寝」

徒舟「聞いてくれたら、1番ホームのそばおごりますから。」

南(心)「なぬぅぅぅぅ…あの一番ホームのあの、そばだっとぉぉぉー!!
     ワシのお袋が鬼厳しくて、こずかいが少ないためなかなか食べ
     れねー甘辛く煮込まれた肉とスープが絶妙なハーモニーを醸し
     出すあのそばぁ!!…ダメだ、耐えるのじぁワシここで譲歩し
     たらこやつの思うつぼ!!」

徒舟「サービス券もあげますからー」

南(心)「くっぅ、ワシの苦労して貯めたサービス券は、9枚、あと1枚
     でそば一杯無料に耐えろ、耐えるんだ耐えて見せるんだぁー…」

南「いいだろう、手短に話せ。」

徒舟「さっすが南さん、話がわかるっすねー」

南(心)「ワシ、意志よわっ!!」

  
そして得意げに徒舟のキチガイ推理ショーが始まるのだった。

徒舟「まず、決まりきってることっすけど自分の存在自体がイケてるメンズ
   であること」

南(心)「こやつ、前は美形なメンズ、だったのが存在自体とは、大きく出
     たなー」

徒舟「二つ目は、自分の前に並び自身のプロポーションをみせつけ自分を誘惑
   し篭絡してきたこと」

南(心)「ワシ、絶対こやつの前に並ぶのだけは避けよう。」

徒舟「そして三つ目は、かなり難しかったが流石自分、あのOLの自分に宛てた
   愛のダイイングメッセージを完全に解読したっすよー。」

南(心)「確かに気になっていた、あのOLさんの行動にはこやつをこれ以上
     イカれた推理をさせるようなものは、見当たらなかった…じゃあ
     何に反応したのか?」

徒舟「列車のドアが開きあのOLは、前に進みながらキャリーバックを握って
   るいた手を緩めて握りなおす、これがダイイングメッセージになって
   たんすよー。」
 
南(心)「おいおいおいおい、こんな日常誰でも行う動作で反応したという
     のか、こやつは、もはやワシの想像を超えた脳内進化(間違った
     方向で)が起きてやがる。」

徒舟「前に進む動作がGoを表しているが自分に伝わることでcomeに意味が
   変わり握りなおした手は、こっちよ、という誘うメッセージとなるが
   ただ誘うだけならもう一方の空いてる手でも出来るでもなぜそうしな
   かったのか南さん判るっすかー?」

南(心)「しるかよ!!大体思考回路が破綻した奴のなんちゃって推理なんて
     解けるわけねーだろ!! いっぺん氏ね!!…と言いたいとこだが
     そばのためだここは堪えて」

南「ワシには、ちょっと難しいみたい…だな 正解はなんなんだ」

徒舟「ほんと、南さんは、鈍いだけでなく脳みその回転も遅いっすねー、
   しかたないから自分が説明してあげるっすよ」

南(心)「こやつマジ、列車から蹴り落としてー」

徒舟「まず空いてる手で自分に合図を送るのが他の人に見られると恥ず
   かしいというシャイな女心からあからさまにこちらにメッセージ
   を送れなかったというのも一つなんすけど、バックを持っている
   手の位置が鍵になるんすよー。
    南さんバックの持ち手の位置が体のどの部分に近いっすかー?」

南「どこに近いって…まさか!!」

徒舟「そうっすよーお尻っすよー、つまりこのメッセージは、私のお尻に
   来て、というエロメッセージになってたんっすよー」

南(心)「こじつけにもほどがあるわぁーー」

徒舟「そして、全てのメッセージを一つにし解読した結果こうなるっ
   すよー」


ここから徒舟の脳内世界(ブレイン・ワールド)からOLが召喚され
喋り出した。


OL(妄)「駅のホームであなたを見かけた瞬間、その美しく自信に満ちた
     、たたずまいに心奪われてしまったの。
    すぐにでもあなたにこの想いを伝えたい…でも初対面でいきなり
    愛の告白されてもあなたが戸惑ってしまうかもしれない。
     だから列車に乗るための列に並ぶようにみせかけて私の存在に
    気づいてもらうためにあなたの前に入り込んだの。
    でもそこで予想外なことが起きたの。
     あなたに見られてると思うと私の体が火照ってじんじんして私、
    そんな趣味ないのにお尻をあなたにめちゃくちゃにされたがって
    いるの、あぁっ…んっ…もうっがまんっ…でき…ない早く私の淫乱
    なお尻をお仕置きしてぇーーーー」

徒舟「と、自分に言って来てるんすよー、いやー朝から随分淫乱な女が
   アピールしてきたすよー」

南(心)「んなわけねーだろ!! こんな推理、名探偵とか言われる連中が
     聞いたら、ノイローゼになるわ!!…と言いたいが、朝からこや
     つの推理を正すのはしんどいしなー適当に合わせとこ」

南「うん、そうだね(棒読み)」

徒舟「まあ、体は、正直っすからねーもうすぐ肉欲に負けて自分のとこに
   、私を好きにしてと懇願しに来るはずっすー」

南「うん、そうだねー(棒読み)」

列車が目的の駅に着き列車から降りる南と徒舟、だがOLは当然、同じ
とこで降りることも告白しにくることもなかった。
 
なにも起きなかったぞと徒舟に言うと徒舟は、「彼女は、ひと時の恋
より仕事を優先させてしまったんっすよ、まあ、その程度の淫乱女
だったってことっすよ」などと意味不明な台詞をはいていた。

その後律儀に徒舟はワシにそばを奢り、サービス券を手に入れたのだった。

この話は、学園ものじゃないのかって?見当違いにもほどがあるこの物語は
ワシ、南真のキチガイ観察物語だ。
  
 
 

   
  
  
 
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