フラッグメーカー

富士 鷹茄

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第一話:恋は理屈じゃないかもしれないが限度がある

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 人と人との繋がりなんて些細なことでできてしまうもんだ。
  はじめて会った人でもちょっとしたきっかけで仲良くなったり、それが
 きっかけで恋愛に発展 したりして人と人は繋がっていく、そんなきっか
 けを最近ではフラグが立ったなんて表現する。

  この物語は人と人との繋がりから愛が生まれる心温まる物語??????
   
 夕方、学校帰りのやたら体格のいい強面の男子高校生、南 真と身長が低
 くひょろ長い黒縁めがねとつんつん頭が特徴的な男子高校生、徒舟 信也
 がたわいもない話をしながら歩いていた。

  南「そういや、この前の鉄道の旅どこ行ったっていってたっけー。」

  徒舟「大阪のほうに行ってたんすよーとても活気があっていいとこだった
     ですよー。」

  南「やっぱ大阪って言ったらたこ焼きやお好み焼きとか食べ物がうりだ
    よな、それで何食べたんだ?」

  徒舟「自分は串かつのほう食べましたましたねー。」

   南「串かつかぁー、あれは旨いよなー。」

  徒舟「まあ串かつの味より平日の昼間なのにビール飲みまくってまくっ
     てるサラリーマンたちが自分にとっては、衝撃的でしたけどね。」

    南「すげーなオイ。」
    
    ワシは南 真 。
     どこにでもいる身長180センチ、体格のガッチリしていて少し
    強面でヤクザにしか見えないごく普通?の高校生だ。

     そして今隣にいる身長154センチ、つんつん頭と黒縁メガネが
    特徴的なこやつが徒舟信也。

    鉄道で旅したり、列車を写真で撮るのが好きな鉄道オタクで常に
    シャッターチャンスを逃さぬように一眼レフを持ち歩いているほ
    どの力の入れようだ。そんなやつだがそれを除けば普通の高校生…
     
  二人の前から自転車に乗った女子高生がやってきて二人の横をスカート
  を風で少しはためかせながら通り過ぎてゆく。

  つぎの瞬間、徒舟の脳内に電撃が走りさっき通り過ぎた女子高生の映像
  が連続再生されてゆき激しい閃光が起こりその徒舟の頭上に八枚羽の
  大天使が必死に笑いを堪えようとしてしている表情で徒舟の脳内に降臨した。

  そして大天使は、半笑いで徒舟の耳元に何かを囁き、また笑いを堪えながら
  帰っていった。

  そのころ現実の世界では突然立ち止まった徒舟に南が声をかけていた。

  南「おい、どうかしたか急に立ち止まって。 なんかあっ」

  南(心)「まさかっ…こやつの中二病よりたちの悪いあの能力が発動
       したのか…だがいつ発動のきっかけがあった? そんなき
       っかけ…」

      さっき自転車で通り過ぎた女子高生を思い出す。

  南(心)「マジかよ、…あーあっ厄介だなーこりゃ。」

   徒舟「ふっ、まったく自分も罪な男だぜ、さっき自転車で通りすぎた女、
      俺に気がある。」

 南(心)「あーー始まったよ。
       些細な女性の行動のなんともない動作で自分を誘ってると思い
      込んで勝手にフラグを立てる心の病気、強制的恋愛フラグおった
      て症候群が!!」

  南「オイまて、どこでどうやったらオメーに気があるという解釈になる
    んだ?」

   徒舟「なんだそんなこともわかんないですかぁー ククッ鈍ちんっす
      ねー!!」

   南(心)「わぁー、すっげぇーぶちのめしてぇー。」

 徒舟「まず第一に、自分の前を自転車で通り過ぎたことが気があるプラス
    気づいて欲しいアピール。

    第二に、スカートをはためかせながら通過したことが自分に対する
    セックスアピール。

    第三に、その場にいた美形なメンズは、自分だけっ。」と言うと右手
    の親指で自分の顔を指しドヤ顔をきめる徒舟。

   南(心)「こやつマジで殴りてぇー」

   徒舟「この自分に対する熱烈なアピールを読み取ると彼女はこう伝えよ
      うとしたのだ。」
    
    徒舟の妄想が展開され自転車で通り過ぎた女子高生が現れる。

  女子高生「わたし、あなたに声をかける勇気がなくて…でもどうしてもわ
       たしの思いを伝えたかった。  
        だから臆病なわたしは聡明で美形なあなたなら気づいてくれ
       ると信じて自転車であなたの前を横切ったの。
       ちょっとはしたないと思ったけどスカートをはためかせてみた
       けどやりすぎだったかなぁーでも気づいてもらうにはこれくら
       いしないと…でも…いいよね…どうせあなたの物になるんだ
       から。」

    徒舟「というメッセージになってるんすよーいやー自分も罪な
       男っすよー。」
    
      南(心)「おいおいおい待て待て待て、どう推測したら自転車で通り
       すぎただけの女子高生がそんなアピールをしていることに
       なるんだよ、拡大解釈にもほどがあるだろっ。

       だいたい美形なメンズっつうところが前提としておかしい
       だろっ!!人のこと言えんがその面をイケメンと思うやつは
       おそらくいないぞ。」

        徒舟「まあ、西さんも運がなかったっすねー美形な自分がいたせいで
     あの子の眼中にもなかったみたいで、でも大丈夫っすよー南さん
     を好きになってくれる物好きもきっこの世のどこかに存在しま
     すよ。」
    
  南(心)「なんだろ、ワシ、普通ならこんなこと言われりゃ怒るけど
       なぜだ?ぜんぜん怒りが沸いてこねぇ…むしろこやつを見
       ていると心に凍てつく風が吹き荒れるような哀みが沸いて
       くる。
        しかし誰がこやつの間違いを正してくれるのか…いやそ
       んな面倒なことする物好きな奴いねーよな。

       ワシだってそんな面倒ごとしたくねー、だが仮にもこやつ
       は学友だ、よく沢山で群れてみんな友達と言うやつもいる
       がその友達の悪い所や間違っている所を関係がこわれるの
       が怖いからと言って指摘しないやつなどいるがそんなのは
       友達や友人とは言わん、ただの友達多いですアピールして
       るだけのカスの馴れ合いでしかない。

      だからワシは、今日こやつの勘違いを正さないといけない。
      こやつの生ごみが詰まった脳みそがさらに腐敗する前に。」

南「徒舟、オメーの想像力は素晴らしい、物書きになれるよ…だがその
  可能性は皆無だっ!!」

徒舟「なっ、何が皆無なんっすか!どうやっても自分のアピールの読み
   取りは完ぺ」

南「何が完璧だ、大体、自転車で通過した時点でアピールっておかしい
  だろ。
   それがアピールだったら誰でも自転車で通過したしたらアピール
  してることになるだろ。」

徒舟「だだだったらスカートがはためかせたのは何なんすかっあれこそ
   自分に対するアピールに間違いないっすよ!!」

南「なぁーにが間違いないだ、その女子高生自身がスカートをめくって
  見せてきたならその可能性はあるかもしれんがただ風ではためいて
  いただけでそんなアピールなわけねーだろうが!!
  大体、その子と面識あるのか?…ないだろ?おめーの解釈はすでに
  破綻してんだよっ」

南(心)「ここまで言やー自分の勘違いに気づくは」

徒舟「クックッいやー見事な推理だ実によく考えられている。
    だがその考えは聞き入れられない!!なぜならっ…愛とは、
   理屈ではないんっすよ!!」

と言い放ち、いちいち癇に障る完全に勝ち誇った表情でキメ顔する
徒舟に南は頭を抱える。

南(心)「なんっつうことだ、ワシの言葉がまったく届かないだと!!
     完全に現実をシャットアウトしてやがる。

      まるでシールドでも張ってるかのような完全拒絶、
    いかん、このままだとこやつは自分の妄想に取り付かれて
    自己陶酔したままになっちまう。

    なんとしても止めねーととんでもねぇキチガイモンスターに
    エヴォリューションしちまうっ!!」

   南が徒舟の肩を掴んでがくがく揺らしながら現実に引き戻
   そうする。

   南「目を覚ませ徒舟!!そんな展開ありは、しねーんだ、
     現実に戻って来いっ。」

   次の瞬間、徒舟のカメラケースから一眼レフカメラが瞬時
   に取り出され遠くの物でも撮影できるように取り付けられ
   た光学レンズが南の鳩尾を閃光ごとく炸裂した。
   
   徒舟「一眼レフ光学レンズボルグ!!」

   南「きょもっ」

   鳩尾を押さえて倒れこむ南に今までとは明らかにちがう
   凶悪な形相で南を見下しながら徒舟が言う。

   徒舟「けっ、何、ブ男の分際でぬかしとるん?お前さん
      ごときがこの恋愛マスターのワイになに偉そうに
      講釈しとるんじゃ、まあ、繊細な洞察力で愛の電波が
      ワイに向いてるのを瞬時に感ずく愛のパラボラアンテ
      ナ的なワイと鈍いアナログテレビのアンテナ性能のア
      ンさんとは性能の違いがありすぎて判らんじゃろが」

   南(心)「判りたくもねー、あとなんで関西圏の方言?」

  徒舟「ワイとアンさんとは、見えとる世界が違うんやっ!!」

   南(心)「うん、見えてる物が違いすぎるね。
         ワシもよく判った、こやつ、もはや後戻り
       できねーレベルで脳みそが腐敗してやがる。

       まあ、事件起こさぬよう見守るだけにするか、
       面倒だし。」

   徒舟「まあ、結果はすぐに出る。ワイの前通ったゆう
      ことは、ワイのもんなりとうて体うずいて仕方
      ないゆうことや、そのうち向こうから告ってく
      るさかいそん時は、心も体もワイの色に染めま
      くってやるわ!!ひゃっひゃひゃひゃぁっ」
    
後日、何日経っても当然あの女子高生は現れなかった。

それに対して徒舟は、「途中でおじけついて逃げたのさ、
まあその程度の女だったのさ」とキモカッコいい台詞を
吐はいていたのだった。

    この物語は人と人との繋がりから愛が生まれる心温まる物語
   …であったらどれだけよかったか、ワシ、南 真が運悪く普通
   の高校生でない強制的恋愛フラグおったて症候群を盛大に患っ
   ている鉄オタ、徒舟 信也にかかわったことで観察したくもない徒舟の
   思考回路を間近で観察する羽目になった南 真のキチガイ観察物語である。
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