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最強は?

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 その後も一手一手が手に汗握る戦いだった。ティナが国王の予想を裏切る手を打ったかと思えば、国王も攻めてきてお互い膠着状態がつづいた。

「どちらも、これだという手がなかなか出ないな」

「そうですね、でもここで焦ったほうが自滅をまねいてしまうかもしれないですし」

 マリアと二人の勝負の行方を緊張しながら見つめる。

「ふ~なかなかしぶといですね、いい加減負けてはいかがですか?」

「なにを馬鹿なことをいう、国王たるもの負ける姿を国民に見せるなどあってたまるものか」

 そんな二人の会話にどこからか人影が現れる

「ふふっ二人共ずいぶんたのしそうなことをしていますね」

 そこに現れたのは、背中に般若がいるかのような雰囲気を醸し出す王妃だった。顔は笑っているはずなのに怖さしか感じない。これを見るとこの親あってティナありだなと実感した。

「どっどうしたのだ?今日は用事があると言っていたではないか?」

「え~そうですね、ですが今日きた来客の方がこちらのイベントが気になって急遽予定を変えて見学していたのです。そしたらなんですか?私は言いましたよね?夢中になるのはいいですが、仕事に負担や周りに迷惑をかけないようにしてくださいと」

 国王は、顔を青くしながら小さくなっていく。

 一体試合はどうなってしまうんだろうと不安が駆け巡る。

「いやっだからだな、そのっあれだあれ」完全に国王の劣勢状態だ。

「申しわけありません、いかなる状況でも試合は試合です。これが私の勝ち筋の第一歩です」

 ティナが声を上げて勢いよくパチンっと1手を打つ。その一手に国王は更に青くなって震えている。

「ついに隙を見せましたね、いかなる強固な城壁にも必ず隙はあるものです。まさかそれがお母様とは思いませんでしたが、これは自業自得というものです。恨むとすれば周りに迷惑をかけてしまった過去の自分自身を恨むことです」

 ぐぬぬと悔しそうな表情でティナをみるが、顔を見上げ空を見ていたかと思うと、スッキリした顔で参ったと降参をした。

 その瞬間エキシビションマッチ将棋対決はティナの勝利が決まったのだ。

「さっ勝負が決まったのでしたら行きますよ」

 王妃様が身だしなみを整えて国王に告げる。

「一体どこに行こうというのだ?まだこれから本戦もあるのだが」

「どこに行く?そんなの決まっているじゃないですか、今回のことで迷惑をかけた皆様に謝罪をしに行くんです。私も付いていきますので安心してください」

 王妃は、拒否権完全拒否となにも言わせないという雰囲気を醸し出しながら国王を連れ出していく。その姿を見ると、この国の最強は実は王妃何じゃないだろうかとみんなの心が一つになった

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