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初戦

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「それじゃー守る側になったが、だれかなにか案はあるか?陣地もすぐに決めなければいけない。あとは、リーダーだな。立候補がなければとりあえず暫定的にだが自分が話を進めるが」

 誰も立候補するものはいなかった。みんなとりあえず様子を見たいよな、暫定的にと言っていたし

「立候補がいないようなので、暫定的にだが私がリーダーを務めさせてもらう。よろしくたのむ。それではまず陣地だが候補としては2種類 高台か あちらの見渡しのいい場所にするかだ。高台だが敵の様子が分かるし 登る分敵は攻めづらいと予想できる。逆に見渡しのいい場所はお互い真っ向勝負しやすく敵に勝てるなら拘束も可能になるだろう。さーどちらにする?」

 守りを重点に置くか、攻めを重点に置くかのどっちにするかだな。初戦だし、まずは負けないように守りを重点に置きつつ何度か拘束を試すのが次に生かせると思うが。

「ナイト君、君はどう思う?なにか意見があるならお願いしたいが」

 おれは、先程の意見を述べてみた、みんなは俺の考えをどうみるかな

「なるほど、それなら高台に拠点を置いて敵の戦力を確認しよう。そうしたら、次に生かすことも可能になるだろう。みんなはどうだ?他に意見がなければこれで初戦に挑んでみたいと思う」

 みんなからは特に反対は無く、すぐに陣地に移動をはじめながら、地形を確認しつつ作戦を練っていく。敵の戦力を見ながらになるが守りを5攻めを3偵察に2とチームを分けて行動することに決まった。ちなみに俺は、攻め側に配置された。

 ティナには、格闘戦で負けてしまったが他の兵士に俺は勝つことが出来るのだろうか、もし負けてしまったら、いや違うな。今は負けてもいい、その経験を生かすことが出来れば最終的に負けない強さに生るはずだ。今は、たくさんの経験を積んで次の糧にしよう。とは言っても端から負けるつもりはないがな。罰ゲームは嫌だし。

「よし時間じゃ~ 皆のもの必死に戦い抜け、負けたものには死が待つのみじゃ」

 レオナルドの響き渡る声とともに初戦がはじまった


 高台の木の陰から下を気配を消しながら用心深く観察する。始まってすぐだけあってまだ敵の気配は感じないが、油断は禁物だ。

「偵察部隊が高台から降りて近くの木に登り周りを観察しているな。上手いな、あの枝がおおいしげるなかに姿を隠して気配を消したらすぐにばれることはないだろう。
 それに、あの位置は高台から降りているから敵がくれば、登っている間に後ろから狙うことも出来る。偵察部隊に動きがあるまで俺も待機かな」

「こちら異常なし、周りに気配はありません。どうやら奴らは陣地に高台を選んだようです。さて、どうしますか?」

「高台か、厄介だな。登るのに意識すれば後ろからの不意打ちもあり得るし。どうせならいっそのこと全員で攻めてみるか?」

「全員で攻めるか、それも悪くないかもな。初戦だし、一気に攻めればあっちの混乱を誘えるかもしれないしな。だが念の為に一つだけいいか?」

「おい、あっちに動きがあったぞ、奴らはまっすぐこの高台を狙ってるみたいだ。どうやら、こっちに陣地があると読んでみたいだな。しかも、あいつ等総動員でまっすぐこっちにむかってきてやがる」

 まさか、いきなりの総攻撃だなんてあっちはなにかんがえているんだ?普通こういう時は様子見するのが基本なんじゃないのか?いやでもこっちの混乱を狙うなら悪くない手なのかもしれないが、もしくはなにも考えてないバカなのか。だが今はこちらも動かなければ不利になるだけだな。


「どうやら、あっちは一気にこちらを攻めてくるようだ、偵察部隊も攻撃に回ってくれないか?この状況で偵察とか言ってら・・・いや1割だけ引き続き偵察を続けてほしい。勘だけど全くなにも考えず総攻撃してくるとは考えにくい」

「こちらも、この攻撃であっちが勝てる気でいるとは考えにくい、偵察部隊は残したほうがいいだろう」

 俺と同じ考えを持っている人がいて良かった。それじゃー偵察部隊は任せて俺も動こう

 今回のチーム分けでは俺を入れて40名だから、20名ずつだ、その中で本当に全員が向かってきているのか?これだけ一気にきたら全員の数を把握するのは厳しいし、範囲が広すぎる。しっかりみんなと連絡を取り合わないと見逃し一つで負けとかもあるかもしれないからな。

「まずは、一人目だ。まさかいきなりこんな人数で来るとは驚いたよ。いったいどこのどいつがこんな作戦をかんがえたんだよ」

「さーな、だがこの攻撃をやったお陰でそちらは混乱に陥ったようだな、それだけでもやった価値があるってもんだ。それに、あんたとは1度戦ってみたかったしな。あんたの実力見せてくれよ」


 初戦ということもありいきなりの総攻撃に動揺しながらも、まずは目の前の敵に集中しよう

「俺と戦いたかってまじかよ、俺とあんたになんか接点とかあったか?話すのも初めてだと思うんだが」

「そうだな、話すのは初めてだな。だが俺は、この訓練が始まってからあんたをよく見てたぜ。あんたに勝って初日に一番になろうと考えたがあっけなく惨敗。悔しい気持ちもあったがなによりもあんたに負けた自分が許せなかった。
 しかも、昨日の格闘戦を見てさらに打ちのめされたんだからな。あんな速さでの肉弾戦を見せつけられるは、しかも相手が女でそいつの方が強いとかいったいどうなってんだよ。
 だからこそ、あんたと戦ったら自分の強さがわかるんじゃないかと思ってな。あんたを見つけれたのはラッキーだったぜ」

 ここにもバトルジャンキーかよっ!いったいこの国にはこんな奴らしかいないのかよ

「さて、自己紹介はこのくらいにしてととっととやろうか。俺も罰ゲームは嫌だからな、さっさと勝って次の試合に勢いつけさせてもらうぜ」

 こちらとしても勝って勢いはつけたいし、負けてやるわけにはいかないな。

 話も終わりお互い戦闘モードになる。間合いをジリジリと詰め寄りながら相手の出方を伺う。お互いの間合いに入りいつでも攻撃の間合いに入っていながらいまだ手が出せない。
 そんな張り詰めた空気が体感で五分、実際は一分にも満たないが周りから聞こえ始めた戦闘音をきっかけに同時に動き出す。

 俺は左で牽制のパンチを繰り出すと相手は左手を全く見ず体を低くしてタックルを仕掛けてきた。

 低姿勢からの一撃に耐えられずバランスを崩して、よろめきながら後方に下がるが、相手はそれを見逃す訳無く足下を崩しにかかる。

(やばっバランスを取れなくて今にも転びそうだ。あっちはチャンスだと思ってどんどん攻めてきたやがるな。それならいっそのこと)

 俺は一つの作戦を思いつき後ろに倒れ込む、すると倒れ込んだ俺を見てチャンスだと思いあっちも顔から一気に詰め寄ってくる。だけど、それは俺の願い通りだ。

 顔が間近にまで来ると、足を使い首を思い切り挟み込みながら相手の体を仰向けにする。首を挟んだ足をしっかり首に固定してどんどん締め付けていく。足の力は腕よりあるのでどんどん呼吸が苦しくなっていく。今俺は、足を使った三角絞めを行っている足の力がどんどん強くなっていくと、激しく暴れていた体が静かになっていく。体の動きがなくなるのを確認して、足の力を緩めていく。警戒しながら顔を覗きにいくと目が大きく開き目が合った。

 相手は暴れること無く周りをみると、なにかを理解したのか大の字になり手を出してきた。

「くそっまさかあんな一瞬で落ちるなんて、完璧に負けちまった。ほら、抵抗なんてしないから陣地にでも、どこにでも連れて行けよ」

 負けをしっかり認めてくれて、俺の初戦は見事勝利を納めた。


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