孤独になった先にあったのは幸せを運ぶ義妹でした

けんたん

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名工100選

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 ご飯もしっかり食べて着替えたら早速俺が知っている家具屋に向かう。ここに来るのも久しぶりだ。最後に来てから1年ぶりになるのではないか。

「源さーん久しぶり~いる~?」ここにいる家具職人の源さんは、それなりの年齢になるが腕はたしかだ。この人に作ってもらった家具を見たことあるが、素人の俺でも見惚れてしまうくらい素敵な家具になっていた。その時は、本棚だったんだが、美しいだけじゃなく機能性も充実しており、文句のつけようがない素晴らしいものだった。

「誰だ?朝から騒々しい。騒ぐなら帰ってくれ」いやいやながら出てきたこの爺さんが源さんだ。

「朝からごめん源さん、久しぶりに来たし、伝えたいこともあったから早く来てしまって騒がしくてごめんね」

「ん?なんだ坊主久しぶりじゃないか お前さんなら構わんよ、それにしても久しぶりだな。今日はあれか、なんか家具を頼みにきたのか?坊主のとこのばーさんには昔世話になったからな。なんでも言ってくれ、俺の出来る最高の家具を作ってやるから。ところでばーさんは、元気にしてるか?ばーさんも最近はめっきり顔を見せなくなってしまって気にはなっていたんだ」

 俺は、祖母の死を伝えて、簡単にだが自分の今の状況を伝えた。
 伝え終わると懐からタバコを一本取り出し上を見上げながらゆっくり祖母のことを思い出しているかのように一服していた。

「そうか。ばーさんは逝っちまったか。悪いな、仕事の都合で一昨日帰ってきたばかりで、なにも知らなくて。知っていたらなにがあろうと行ったんだが。そうだな、坊主、お前さんは今回そのことを伝えだけに来たのか?もし、家具の依頼をするっていうなら今回は、ばーさんの香典ってわけじゃないが世話になった礼に俺に作らせてくれないか?金はいらない。」

 突然の申し出に戸惑っていてると、咲希も源じーさんを見て戸惑うというか驚いていた。なんだ?源じーさんになんかあるのか?

「お話中申し訳ありません、少しだけよろしいですか?こちらの源じーさん、いえ源様は、もしかして名工100選に名を連ねていらっしゃる源様でよろしいですか?」

「ほー嬢ちゃんは、俺のことを知ってるのかい?顔とかは出してなかったはずだが、どこかで会ったかい?」

「はい、私も自己紹介が遅れて申し訳ありません。私は、有栖川財閥の娘の有栖川咲希でございます。源様のことは、以前父が源様に1点物の仕掛け細工を頼んださいほんの僅かですが顔を合わせております。まさか、御兄様の知り合いの家具職人が源様とは、おもいもよりませんでした。」

「そうか、有栖川財閥の・・・あの時の依頼は楽しかったな。つい夢中になってしまってこだわり過ぎちまった。旦那は大切に使ってくれてるかい?それに、なるほどなーあんたが旦那の言っていた自慢の秘蔵っ子か、まさかこんなに若くてかわいい嬢ちゃんとはな、いやいけねぇな。仕事が出来る出来ないに年は関係ねぇわな。すまんな嬢ちゃん」

「いえ、さすがに仕事が出来るとはいえこの見た目に年だって幼いことを十分理解していますので、それと源様の作る家具を家に置けるのでしたら、今後ともぜひよしなにお願いします」

「有栖川の旦那には、面白い依頼もらったし、それに坊主の為の家具なら、喜んで作らせてもらうよ」

 なんか二人が盛り上がってるが俺が話についていけていない。どういうことだ?
「咲希すまないが、源じーさんはその名工100選とかに選ばれて凄い人だとはわかったけどどのくらい凄い人なんだ?祖母の付き合いで気さくなじーさんにしか思えなくて」

「御兄様は源様がどんなに凄い人なのか知らないでそんなに気さくに話していたのですね。
 ある意味凄いですね、源様は全世界の物作りの職人の中から選ばれた100名の内の一人なんです。
 源様の作る家具などは、芸術品としても扱われ、最低300万からの作品の扱いになりますね」

 源じーさんは本気で凄い人だった。しかも、そんな家具を俺は今からタダでもらってしまうんだがどうしよう。
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