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第一章 旅立ち
二日目
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自分達で窃盗団を捕まえるために、張り込みをすることになった。
ベンチに座って祭りを楽しむ人々を眺め、怪しい人がいないか監視をする。
それらしい人物はなかなか見つからない。
「うぅ~~っ。なんだか見える人すべてが怪しくなってきました。全員捕まえてしまえば一人ぐらいは犯人の仲間なんじゃないでしょうか」
「やめてくれ。こっちが捕まる」
もどかしげに体をゆする少女をなだめる。
「黙って座ってるだけじゃ駄目です!?なにか、なにか・・・。ああ、そうだ!コンパス!!」
「コンパス?」
「はい、コンパスを持つ人に探したい人や物があれば、それを指し示すという魔法のコンパスなんです。あれを使えば窃盗団なんか一網打尽ですっ!!」
「どこにあるんだ?」
「荷物の中に・・・あぁぁ・・・」
荷物は盗られてコンパスもないことを思い出し少女は深く落ち込んだ。窃盗団をみつけなければコンパスも使えない。金庫の中のカギと言ったところか。
「せっかくの昼寝日和というにさがわしいのう。わしは移動する(にゃーう。にゃ)」
同じベンチで眠っていたシアルは迷惑そうに細く目を開けた。ぐいーっと伸びをするシアルを見て思いつく。ベンチから飛び降りようとしたシアルを掴んで止める。
「なんじゃ(にゃ)」
「手伝ってくれ」
「断る(にゃ)」
「油で揚げたパンに砂糖をまぶしている屋台名物をたべたくないか?」
「よかろう。これも人助けじゃ(にゃ。にゃー)」
女神を賄賂で釣ることに成功。
落ち込みのあまり膝を抱えている少女に作戦を話す。
「・・・そんなので大丈夫ですか?」
「ここで見張っているよりは可能性があると思う。シアルのことなら問題ない。賢いやつだから」
「まかせるがよい(にゃ)」
少女は少し迷っていたようだが頷いた。
「じゃあ、お願いします」
バリはごろつきである。
きっかけは、若いころに冒険者として身を立てようとダンジョンにもぐり、魔物に返り討ちにされて逃げ出したことを他の冒険者に笑われ、腹が立ったので倒して身ぐるみはいだことだった。
魔物を倒すより比較的安全で実入りがいいということに気づき、ダンジョン帰りの冒険者を狙っていたらギルドのお尋ね者になった。賞金もかかっている。
賞金がかかってからは他のごろつきと組んで空巣やすりなどもするようになった。
今は稼ぎ時だ。
先ほども人気のない路地で居眠りをしている少年から荷物を盗ってきた。ちょろいものである。
「おい見ろよ、また盗ってきたぜ。今年の稼ぎはおれが断トツだ」
ごろつきが溜り場にしている部屋で袋をかかげて自慢する。
「はん、どうだか。そんなぼろい袋に金が入ってるかっつうの」
「きったねえ袋」
「ただのゴミ袋じゃねえの?」
バリと稼ぎを争っている男が疑わしげに言うと他の連中も野次りだす。
「あ?ゴミな訳ねえだろが」
「見ねえとわからねえだろ。開けてみろよ」
「ふん」
ムカつく連中だ。だが確かに肝心なのは中身だ。
袋の口を縛っているひもをあけると。
「にゃーっ!!」
「うおあっ!?」
袋の中から黒ねこが飛び出してきた。
驚いて尻餅をつくバリをよそに黒ねこは部屋を駆け、ごろつき共を仰天させて、半壊している窓から飛び出していった。
「・・・・・・ぶっあははははははははっ」
しばらく沈黙があった後、場が沸いた。
「ぎゃっは!」
「ねこじゃねえか!!」
「ひぃ、ひひっ」
あるものは机をバンバンとたたき、あるものは涙を浮かべ、それぞれが散々に笑い倒す中、バリは恥で震え真っ赤になった。
ねこはまだ近くにいるようでにゃーにゃーと声が聞こえる。
「くぅっくっく。ねこじゃあ売れねえな」
「いや、まだだ!毛皮を剥げば売れるだろ!?」
「往生際がわりいな。あきらめろよ」
「うるせえ!ぶっ飛ばすぞ!?」
バリが怒鳴った瞬間。
部屋が吹き飛んだ。
ベンチに座って祭りを楽しむ人々を眺め、怪しい人がいないか監視をする。
それらしい人物はなかなか見つからない。
「うぅ~~っ。なんだか見える人すべてが怪しくなってきました。全員捕まえてしまえば一人ぐらいは犯人の仲間なんじゃないでしょうか」
「やめてくれ。こっちが捕まる」
もどかしげに体をゆする少女をなだめる。
「黙って座ってるだけじゃ駄目です!?なにか、なにか・・・。ああ、そうだ!コンパス!!」
「コンパス?」
「はい、コンパスを持つ人に探したい人や物があれば、それを指し示すという魔法のコンパスなんです。あれを使えば窃盗団なんか一網打尽ですっ!!」
「どこにあるんだ?」
「荷物の中に・・・あぁぁ・・・」
荷物は盗られてコンパスもないことを思い出し少女は深く落ち込んだ。窃盗団をみつけなければコンパスも使えない。金庫の中のカギと言ったところか。
「せっかくの昼寝日和というにさがわしいのう。わしは移動する(にゃーう。にゃ)」
同じベンチで眠っていたシアルは迷惑そうに細く目を開けた。ぐいーっと伸びをするシアルを見て思いつく。ベンチから飛び降りようとしたシアルを掴んで止める。
「なんじゃ(にゃ)」
「手伝ってくれ」
「断る(にゃ)」
「油で揚げたパンに砂糖をまぶしている屋台名物をたべたくないか?」
「よかろう。これも人助けじゃ(にゃ。にゃー)」
女神を賄賂で釣ることに成功。
落ち込みのあまり膝を抱えている少女に作戦を話す。
「・・・そんなので大丈夫ですか?」
「ここで見張っているよりは可能性があると思う。シアルのことなら問題ない。賢いやつだから」
「まかせるがよい(にゃ)」
少女は少し迷っていたようだが頷いた。
「じゃあ、お願いします」
バリはごろつきである。
きっかけは、若いころに冒険者として身を立てようとダンジョンにもぐり、魔物に返り討ちにされて逃げ出したことを他の冒険者に笑われ、腹が立ったので倒して身ぐるみはいだことだった。
魔物を倒すより比較的安全で実入りがいいということに気づき、ダンジョン帰りの冒険者を狙っていたらギルドのお尋ね者になった。賞金もかかっている。
賞金がかかってからは他のごろつきと組んで空巣やすりなどもするようになった。
今は稼ぎ時だ。
先ほども人気のない路地で居眠りをしている少年から荷物を盗ってきた。ちょろいものである。
「おい見ろよ、また盗ってきたぜ。今年の稼ぎはおれが断トツだ」
ごろつきが溜り場にしている部屋で袋をかかげて自慢する。
「はん、どうだか。そんなぼろい袋に金が入ってるかっつうの」
「きったねえ袋」
「ただのゴミ袋じゃねえの?」
バリと稼ぎを争っている男が疑わしげに言うと他の連中も野次りだす。
「あ?ゴミな訳ねえだろが」
「見ねえとわからねえだろ。開けてみろよ」
「ふん」
ムカつく連中だ。だが確かに肝心なのは中身だ。
袋の口を縛っているひもをあけると。
「にゃーっ!!」
「うおあっ!?」
袋の中から黒ねこが飛び出してきた。
驚いて尻餅をつくバリをよそに黒ねこは部屋を駆け、ごろつき共を仰天させて、半壊している窓から飛び出していった。
「・・・・・・ぶっあははははははははっ」
しばらく沈黙があった後、場が沸いた。
「ぎゃっは!」
「ねこじゃねえか!!」
「ひぃ、ひひっ」
あるものは机をバンバンとたたき、あるものは涙を浮かべ、それぞれが散々に笑い倒す中、バリは恥で震え真っ赤になった。
ねこはまだ近くにいるようでにゃーにゃーと声が聞こえる。
「くぅっくっく。ねこじゃあ売れねえな」
「いや、まだだ!毛皮を剥げば売れるだろ!?」
「往生際がわりいな。あきらめろよ」
「うるせえ!ぶっ飛ばすぞ!?」
バリが怒鳴った瞬間。
部屋が吹き飛んだ。
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