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第一章 旅立ち
神話
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主神レイクウェンシルによってこの世界は作られた。
乾いた大地しかなかった世界をかなしみ、レイクウェンシルが涙を流すと大地の半分を埋める海になった。
やがて海の中から生命を持つ動物が生まれる。
レイクウェンシルは動物をたいそう愛した。
しかし、言葉を持たない彼らにレイクウェンシルの孤独がつのる。
孤独を癒すためにレイクウェンシルは自らの姿形に似せた六体の動物を作り、言葉と存在意義を与えた。
慈愛の女神、ベルラロロシアル
戦いの神、ガルダウ
美の女神、リネウィーラ
知の神、ルーフェル
力の神、グランドッフ
夢の神、ピリムフィ
彼らは不老不死の亜神となり、創造されたときからずっとレイクウェンシルにつかえている。
亜神たちは神の許可を得て自分の姿に似せた生物をつくり出す。
それぞれ、人間、獣人、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、妖精の祖先を。
主神が見守り、亜神が導き、大地の上で人間たちは繁栄する。
時に争い、時に助け合いながら、こんにちにいたる。
おおざっぱにまとめるとこんな感じである。亜神同士の喧嘩で世界が滅びかけたことや主神に怒られて和解したことなどは省略した。
自分が驚いた点はひとつ。
シアルが慈愛の女神だということだ。
あの猫メスだ。今まで全く気づかなかった。
しかも慈愛を司っている。魔王を倒すまで安心して死に続けろだの、ピンチの者を置いていこうだの言ってたやつが、慈愛。
大丈夫かこの世界は。
まあ、実際の神々の性格はともかく広く親しまれている神話だ。田舎の子供でも知っているというレベル。
人間はベルラロロシアルを、獣人はガルダウを、というぐあいにそれぞれの種族は祖先をつくった神々を崇めている。
近々、人間の神を祝うお祭りが城で開催される。城下町では劇や出店や様々な催しが行われる盛大な祭りで数日続く。
自分のいる街は城に近いためか、祭り関連のクエストが結構きている。
配達の護衛、屋台の新作料理の試食、荷運び、工事、などなど。
自分は配達の護衛をして城下町についた後は城下町のギルドから荷運びや工事のクエストをうけおった。
主役のはずのシアルはと言えば借りた宿のベットでごろごろしていたり気ままに散歩に出ている。まるでねこのようだ。
「祭りの間、シアルはどうするんだ?」
夜遅くギルドの催しである武闘大会の舞台を設置し終えて宿に戻ると、シアルと予定を話し合うことにした。
「わしはお主に同行しよう」
「城にはいかなくていいのか?シアルのための祭りだろ?」
「祭りは人間が始めたことでわしがでていく義務はない。・・・城で供される料理は味気ないものが多くてのう・・・」
シアルは遠い目をしながら言った。食い気しかないのかこの神様。
「・・・食いたい料理を言えばいいだろ」
「神であるわしが品のない行いをするわけにはいかぬ」
何やら哀愁を漂わせるシアル。
自分に飯を催促したりベットでごろごろするのは品があると言えないのでは・・・公式の場ではできないということか?
「お主が城へ行きたいのであれば勇者となるしかないな」
「勇者にはならないし、城に行きたいわけでもないよ。確認したかっただけだ。明日の初日は午前に警備のクエスト、午後は休みでミーアも一緒に祭り見物に行く。それでいいな?」
「うむ。祭りの日にしかないという屋台名物が楽しみじゃ」
自分に同行するのはそれが目的か。
乾いた大地しかなかった世界をかなしみ、レイクウェンシルが涙を流すと大地の半分を埋める海になった。
やがて海の中から生命を持つ動物が生まれる。
レイクウェンシルは動物をたいそう愛した。
しかし、言葉を持たない彼らにレイクウェンシルの孤独がつのる。
孤独を癒すためにレイクウェンシルは自らの姿形に似せた六体の動物を作り、言葉と存在意義を与えた。
慈愛の女神、ベルラロロシアル
戦いの神、ガルダウ
美の女神、リネウィーラ
知の神、ルーフェル
力の神、グランドッフ
夢の神、ピリムフィ
彼らは不老不死の亜神となり、創造されたときからずっとレイクウェンシルにつかえている。
亜神たちは神の許可を得て自分の姿に似せた生物をつくり出す。
それぞれ、人間、獣人、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、妖精の祖先を。
主神が見守り、亜神が導き、大地の上で人間たちは繁栄する。
時に争い、時に助け合いながら、こんにちにいたる。
おおざっぱにまとめるとこんな感じである。亜神同士の喧嘩で世界が滅びかけたことや主神に怒られて和解したことなどは省略した。
自分が驚いた点はひとつ。
シアルが慈愛の女神だということだ。
あの猫メスだ。今まで全く気づかなかった。
しかも慈愛を司っている。魔王を倒すまで安心して死に続けろだの、ピンチの者を置いていこうだの言ってたやつが、慈愛。
大丈夫かこの世界は。
まあ、実際の神々の性格はともかく広く親しまれている神話だ。田舎の子供でも知っているというレベル。
人間はベルラロロシアルを、獣人はガルダウを、というぐあいにそれぞれの種族は祖先をつくった神々を崇めている。
近々、人間の神を祝うお祭りが城で開催される。城下町では劇や出店や様々な催しが行われる盛大な祭りで数日続く。
自分のいる街は城に近いためか、祭り関連のクエストが結構きている。
配達の護衛、屋台の新作料理の試食、荷運び、工事、などなど。
自分は配達の護衛をして城下町についた後は城下町のギルドから荷運びや工事のクエストをうけおった。
主役のはずのシアルはと言えば借りた宿のベットでごろごろしていたり気ままに散歩に出ている。まるでねこのようだ。
「祭りの間、シアルはどうするんだ?」
夜遅くギルドの催しである武闘大会の舞台を設置し終えて宿に戻ると、シアルと予定を話し合うことにした。
「わしはお主に同行しよう」
「城にはいかなくていいのか?シアルのための祭りだろ?」
「祭りは人間が始めたことでわしがでていく義務はない。・・・城で供される料理は味気ないものが多くてのう・・・」
シアルは遠い目をしながら言った。食い気しかないのかこの神様。
「・・・食いたい料理を言えばいいだろ」
「神であるわしが品のない行いをするわけにはいかぬ」
何やら哀愁を漂わせるシアル。
自分に飯を催促したりベットでごろごろするのは品があると言えないのでは・・・公式の場ではできないということか?
「お主が城へ行きたいのであれば勇者となるしかないな」
「勇者にはならないし、城に行きたいわけでもないよ。確認したかっただけだ。明日の初日は午前に警備のクエスト、午後は休みでミーアも一緒に祭り見物に行く。それでいいな?」
「うむ。祭りの日にしかないという屋台名物が楽しみじゃ」
自分に同行するのはそれが目的か。
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