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第一章 旅立ち
暗闇の夢
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闇の中にいる。
闇の中に場面が浮かぶ。
子供の頃の自分の食事。朝はパン、昼は駄菓子、夜はカップ麺。
ずっとこのローテーションだった。まずくはないが美味しくもなかった。
両親とも仕事で家にいることはほとんどなかった。いつも一人で食べていた。
中学に上がるとスーパーとかの弁当が加わる。一人なのは変わらない。
高校二年の時、両親が家の火事で死んだ。めったに顔を会わせることのなかった二人が、なぜ、居たがらない家にいたのかわからない。
悲しくはなかった。だが肉親が死んだのだから悲しい顔をするものだろうと、それっぽい顔を葬式の間はしていた。
場面が変わる。
中学?いや、高校の教室。クラスメイトの男子がグラビアについて話しかけてきた。
「横山はどんなんが好きなんだ?おれは胸の大きい××ちゃん!」
「とくにいない」
「・・・まさか、あっちのひと?」
「どっちもすきになったことないよ」
また場面が変わる。
アパートのキッチン。
両親が死んでから独り暮らしを始めたアパートでよく自炊をしていた。肉と野菜を適当に塩コショウで炒めただけのものと、白いご飯。まずくはない。でも美味しくもない。
残された遺産で高校を卒業して、就職活動中のある時。
料理している時に誤って手を切った。新鮮な痛みだった。
赤いしずくがぷくりとなって流れ落ちる。
自分の血は赤いのかとふしぎな感覚になった。
自分は人間に興味がない。
人間も自分に興味がないと思ってる。
いつからなのかわからない。
自分は人間だが人間ではないイキモノのように感じていた。
なのに血が赤かった。
ふしぎだ。
落ちた血がふくらんで黒猫になった。
「目覚めるのじゃ、ユータ」
闇の中に場面が浮かぶ。
子供の頃の自分の食事。朝はパン、昼は駄菓子、夜はカップ麺。
ずっとこのローテーションだった。まずくはないが美味しくもなかった。
両親とも仕事で家にいることはほとんどなかった。いつも一人で食べていた。
中学に上がるとスーパーとかの弁当が加わる。一人なのは変わらない。
高校二年の時、両親が家の火事で死んだ。めったに顔を会わせることのなかった二人が、なぜ、居たがらない家にいたのかわからない。
悲しくはなかった。だが肉親が死んだのだから悲しい顔をするものだろうと、それっぽい顔を葬式の間はしていた。
場面が変わる。
中学?いや、高校の教室。クラスメイトの男子がグラビアについて話しかけてきた。
「横山はどんなんが好きなんだ?おれは胸の大きい××ちゃん!」
「とくにいない」
「・・・まさか、あっちのひと?」
「どっちもすきになったことないよ」
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赤いしずくがぷくりとなって流れ落ちる。
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自分は人間に興味がない。
人間も自分に興味がないと思ってる。
いつからなのかわからない。
自分は人間だが人間ではないイキモノのように感じていた。
なのに血が赤かった。
ふしぎだ。
落ちた血がふくらんで黒猫になった。
「目覚めるのじゃ、ユータ」
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