一樽イッキ 

張り合い続けてきた種族である、鬼の若君と竜の姫君の結婚が決まった。
初顔合わせの宴の最中、互いに杯を差し出すタイミングが重なった。

「俺の酒が呑めぬというのか?」
「我の酒を呑まぬというのか?」

 互いを責める言葉が同じように口からこぼれ出て、そして同時に「勝負だ!」と叫んだ。

「誰か樽を持てい! 先に飲み干したモノの勝ちだ」
「よかろう! 我が勝てば、そなたが先に我の杯を受けよ」

 どちらが先に相手の酒を受け入れるかを決する、飲み比べが始まる…


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