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ホットワイン
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休憩後、一時間足らずで残業を片付けることができたのは、不幸中の幸いだ。
ミスもなかったので、思ったより早く真琴と一緒に会社を出た。
チームで動く営業とは違い、俺はたいてい一人で行動しているので、こうして誰かと帰路につくのは非常に久しぶりだ。
同じ速度で歩く誰かが横にいるなんて、なんだか不思議な気分だった。
他の女性とは違って歩く速度も真琴は早いから、それほど気を使わなくて済む。
ただ歩いているだけなのに、不思議な気持ちだった。
何かいいことが待っていて急ぎたくなるような、このまま辿り着かなくてもいいからゆっくり歩きたくなるような。
相反するようで、続いてほしい心地いい時間。
「ほっこり」って感覚だと、得意そうに教えてくれたのは、春菜だったかな?
春菜は小柄だったから歩く速度もかなり緩やかで、遅くてごめんね、なんて言ってたっけ。
懐かしいと思ったけれど、珍しくすぐに春菜の記憶が流れて消える。
想像より早く終わってよかったなんて、真琴と話していた。
駅前でホットワインを路上販売していたから二人して購入した。
日本では珍しい気もするが毎年のようにここで売っているし、冬だけの風物詩だから一番大きいカップを選ぶ。
小雪がちらついている寒い夜なので、ホットワインが染みるように体を温めた。
ほのかに湯気が立ち上る、かぐわしいスパイスの香りにフッと気持ちが緩む。
「こういうの好きかも」
「奇遇だな、俺もだ」
ほんとに奇遇、と真琴が少女みたいに笑うので、俺もつられて笑った。
「嬉しそうだな」
「嬉しいですよ?」
そんなふうに特別なことは話していないのに、肩を並べて二人して笑いながら歩いた。
二人して空腹で飲んだから酔っていたのかもしれない。
妙に楽しい気分で、真琴の部屋までたどり着いた。
そして、今に至る。
どうしてこんなに、暖かいのだろう?
抱きしめた瞬間に、そう思った。
部屋に入るなり抱き寄せて、そっと身体を添わせてみる。
玄関を入る時に脱いだコートや、買ってきたコンビニの袋がドサリと音をたてて床に落ちた。
首筋に唇を寄せただけで、真琴は声もなく甘い吐息をもらした。
しなやかな肩をスルンとブラウスが滑り落ちていく。
そっと手のひらで、その腕をたどってみる。
他の男性社員と同じだけの書類を軽がる運ぶのに、その腕が思いのほか細くてドキリとした。
服を脱がしただけで、肩も腰も華奢になる。
しっかりした印象は服を着た時だけだったのかと、触れた感覚が意外だ。
この前はゆるやかに繋がったけれどどこか無我夢中だったから、ゆっくりとその身体を確かめた。
二十歳はとっくに過ぎているのに、真琴はどこか少女めいていた体つきの気がする。
手足が長いので、しなやかでのびゆく若木みたいだ。
普通の女子社員より背が高く頭半分は飛び出ているし、涼しげな顔立ちのせいか何かと目立つけれど、さらりと受け流す印象の爽やかさまで認めるのは悔しいが綺麗だった。
ほのかな紅に染まる目元も、近くで見れば繊細だから女性的だ。
宝塚の男役を思わせるのは顔立ちよりもその立ち姿で、いつもシャンと背筋を伸ばしているからかもしれない。
首筋から肩に口付けを落としたとき、ハッと正気に戻ったように真琴が目を見開いた。
「あの、ごはんが……」
ソワソワしながら真琴は床に落ちたコンビニの袋を気にするので、後でいい、とフローリングにそのまま押し倒す。
「後って、もうこんな時間だし。食事を抜くのはあんまり……」
ゴニョゴニョと口ごもりながら、進言されてしまった。
確かに長引いた残業後なので、かなり遅い時間だ。
俺自身は空腹時間が長すぎて、むしろ食べたい気持ちが失せていた。
そんなことより時間が惜しい、なんてさかったことを考える。
給湯室で真琴が圭吾と談話しているのを見た後から、我ながら妙に落ち着かないのだ。
急ぎ過ぎかもしれないとは思ったけれど、止まる気はなかった。
聞く耳を持たないフリをしてやりすごす。
淡く色づいた肌に白いレースの下着が焼きついて見え、そっとフロントホックを外した。
だけど真琴は両腕で胸を隠す。
「えっと、まだ、シャワー浴びてないです……」
いまさらのように、妙なことを気にするのでおかしくなった。
「この前と一緒だろ?」
そう、シャワーすら浴びない状況は同じだ。
今日は思わぬ残業だったけれど、軽作業だからそれほど汗もかかない。
この前は子猫のおかげで服も湿った上に濡れた猫の毛まで張り付いて、むしろ今よりもずっとひどい有様だったのに。
乾いているだけ前よりもずいぶんましかも、と思わず漏らすと、真琴は半分泣きそうな顔になった。
「えっと、確かにそうだけど……」
ゴニョゴニョと何やら言いかけては、赤くなって視線をやけに泳がせる。
もったいつけている訳ではなく、動揺がそのまま出ている素の表情だった。
日頃の爽やかに笑ってサラリと受け流す感じがまるでないので、妙に可愛らしい仕草に映る。
おかしいぐらいに恥じらう、純真な女の子そのものだ。
「なに?」
からかって脇腹をつついてやると、やぁ、と妙に甘い声を出して身をよじった。
少し拗ねた眼差しが俺に向けられたが、甘い光をたたえてうるんでいる。
言葉にはしなくても、向けてくる真琴の気持ちはどこまでもまっすぐで、側にいるだけで気持ちいい。
「……こうやってあらたまると、なんだか恥ずかしいです」
なんだよそれ。上目遣いでやられると、かなりツボの台詞だ。
はじめてでもないのに全身が恥じらいで上気し、ピンクに染まっているのは非常にかわいいなんて思う。
「いまさら?」
「……」
ヒドイと言いたげに軽く口をとがらせる真琴とわざとからかっている俺が、普段の俺たちとあまりに違うのでひどくおかしくなった。
きつい言葉で切り捨てる鬼上司の俺と、やわらかく流して気にしない真琴。
それが職場の俺たちのテンプレートだ。
今、ひどく戸惑ったり動揺した顔を見せているけれど、でも不器用にでも甘えようとしている。
こんな真琴を見ることができるのは、俺だけだろうな。
なんて、くだらないことに満足する。
中性的でさわやかな真琴と、不機嫌で毒舌の俺が、子猫よりも無邪気にじゃれ合ってるなんて、他の奴に教えたくないし。
俺も真琴の事は言えず、キャラが変わっている気がする。
このまま抱かずにじゃれるだけでいいとか、優しくしてやりたいとか、次が欲しいとか。
ずっと一緒でもいい、なんて単語が不意に浮かぶなんて。
酔っているせいだ、きっと。
誰かを抱きしめたくなるのは、こんな気持ちがわき上がる瞬間だ。
ふと気がついて、俺は真琴の体から下りた。
「床、冷たくないか?」
「え?」
急の事なので驚いたみたいに、真琴は眼をパチパチと瞬いた。
フローリングで裸で寝るには寒い季節だ。
このままやることをやっていたら、風邪を引くかもしれない。。
「背中が冷たいだろ? あっちへいこうか」
軽く指で隣の寝室を指すと、カァッと真琴は更に赤くなる。
今、俺たちがいるリビングは猫スペースなのか人用のアイテムがとても少ないけれど、隣の寝室は真琴らしいさわやかな緑が基調の洋室だった。
身長があるので大きめのベッドを選んだと言っていたように、前回、俺が泊ってもまったく狭苦しく感じなかった。
「えっと、色々と、気持ちの準備が……」
上半身は素肌をさらしてる真琴の腕を引いて立ち上がらせると、妙にはじらって俺から離れようとする。
この前の成り行きとは状況が違うから、どうしていいかわからないのだろう。
照れているのだろうがそれが普段の様子と違いすぎて、むしょうにからかいたくなる。
「別にいいだろ?」
「いいって……」
床に転がったままの弁当に、真琴の視線が吸いついた。
やっぱりそこに戻るか。
空腹感が強いんだろうな。
まぁ、食べるつもりで買ってきたし、残業中に軽く菓子を口にしただけだから気持ちはわかる。
俺も空腹を抱えてる気はするが、ホットワインだけで気持ちが満たされていた。
今ここで食べないと明日の朝まで食事はお預けになる気がするから、本当は真琴の希望をかなえるべきだろう。
だけど心ここにあらずで紅くなりソワソワしているから、妙に惹かれて放したくない気分だった。
温もりで心が満たされたら、空腹も満たされるさ。
なんて言ったら、勝手すぎるだろうか?
何をおいても、ただ抱きしめたい時があるんだ。
ミスもなかったので、思ったより早く真琴と一緒に会社を出た。
チームで動く営業とは違い、俺はたいてい一人で行動しているので、こうして誰かと帰路につくのは非常に久しぶりだ。
同じ速度で歩く誰かが横にいるなんて、なんだか不思議な気分だった。
他の女性とは違って歩く速度も真琴は早いから、それほど気を使わなくて済む。
ただ歩いているだけなのに、不思議な気持ちだった。
何かいいことが待っていて急ぎたくなるような、このまま辿り着かなくてもいいからゆっくり歩きたくなるような。
相反するようで、続いてほしい心地いい時間。
「ほっこり」って感覚だと、得意そうに教えてくれたのは、春菜だったかな?
春菜は小柄だったから歩く速度もかなり緩やかで、遅くてごめんね、なんて言ってたっけ。
懐かしいと思ったけれど、珍しくすぐに春菜の記憶が流れて消える。
想像より早く終わってよかったなんて、真琴と話していた。
駅前でホットワインを路上販売していたから二人して購入した。
日本では珍しい気もするが毎年のようにここで売っているし、冬だけの風物詩だから一番大きいカップを選ぶ。
小雪がちらついている寒い夜なので、ホットワインが染みるように体を温めた。
ほのかに湯気が立ち上る、かぐわしいスパイスの香りにフッと気持ちが緩む。
「こういうの好きかも」
「奇遇だな、俺もだ」
ほんとに奇遇、と真琴が少女みたいに笑うので、俺もつられて笑った。
「嬉しそうだな」
「嬉しいですよ?」
そんなふうに特別なことは話していないのに、肩を並べて二人して笑いながら歩いた。
二人して空腹で飲んだから酔っていたのかもしれない。
妙に楽しい気分で、真琴の部屋までたどり着いた。
そして、今に至る。
どうしてこんなに、暖かいのだろう?
抱きしめた瞬間に、そう思った。
部屋に入るなり抱き寄せて、そっと身体を添わせてみる。
玄関を入る時に脱いだコートや、買ってきたコンビニの袋がドサリと音をたてて床に落ちた。
首筋に唇を寄せただけで、真琴は声もなく甘い吐息をもらした。
しなやかな肩をスルンとブラウスが滑り落ちていく。
そっと手のひらで、その腕をたどってみる。
他の男性社員と同じだけの書類を軽がる運ぶのに、その腕が思いのほか細くてドキリとした。
服を脱がしただけで、肩も腰も華奢になる。
しっかりした印象は服を着た時だけだったのかと、触れた感覚が意外だ。
この前はゆるやかに繋がったけれどどこか無我夢中だったから、ゆっくりとその身体を確かめた。
二十歳はとっくに過ぎているのに、真琴はどこか少女めいていた体つきの気がする。
手足が長いので、しなやかでのびゆく若木みたいだ。
普通の女子社員より背が高く頭半分は飛び出ているし、涼しげな顔立ちのせいか何かと目立つけれど、さらりと受け流す印象の爽やかさまで認めるのは悔しいが綺麗だった。
ほのかな紅に染まる目元も、近くで見れば繊細だから女性的だ。
宝塚の男役を思わせるのは顔立ちよりもその立ち姿で、いつもシャンと背筋を伸ばしているからかもしれない。
首筋から肩に口付けを落としたとき、ハッと正気に戻ったように真琴が目を見開いた。
「あの、ごはんが……」
ソワソワしながら真琴は床に落ちたコンビニの袋を気にするので、後でいい、とフローリングにそのまま押し倒す。
「後って、もうこんな時間だし。食事を抜くのはあんまり……」
ゴニョゴニョと口ごもりながら、進言されてしまった。
確かに長引いた残業後なので、かなり遅い時間だ。
俺自身は空腹時間が長すぎて、むしろ食べたい気持ちが失せていた。
そんなことより時間が惜しい、なんてさかったことを考える。
給湯室で真琴が圭吾と談話しているのを見た後から、我ながら妙に落ち着かないのだ。
急ぎ過ぎかもしれないとは思ったけれど、止まる気はなかった。
聞く耳を持たないフリをしてやりすごす。
淡く色づいた肌に白いレースの下着が焼きついて見え、そっとフロントホックを外した。
だけど真琴は両腕で胸を隠す。
「えっと、まだ、シャワー浴びてないです……」
いまさらのように、妙なことを気にするのでおかしくなった。
「この前と一緒だろ?」
そう、シャワーすら浴びない状況は同じだ。
今日は思わぬ残業だったけれど、軽作業だからそれほど汗もかかない。
この前は子猫のおかげで服も湿った上に濡れた猫の毛まで張り付いて、むしろ今よりもずっとひどい有様だったのに。
乾いているだけ前よりもずいぶんましかも、と思わず漏らすと、真琴は半分泣きそうな顔になった。
「えっと、確かにそうだけど……」
ゴニョゴニョと何やら言いかけては、赤くなって視線をやけに泳がせる。
もったいつけている訳ではなく、動揺がそのまま出ている素の表情だった。
日頃の爽やかに笑ってサラリと受け流す感じがまるでないので、妙に可愛らしい仕草に映る。
おかしいぐらいに恥じらう、純真な女の子そのものだ。
「なに?」
からかって脇腹をつついてやると、やぁ、と妙に甘い声を出して身をよじった。
少し拗ねた眼差しが俺に向けられたが、甘い光をたたえてうるんでいる。
言葉にはしなくても、向けてくる真琴の気持ちはどこまでもまっすぐで、側にいるだけで気持ちいい。
「……こうやってあらたまると、なんだか恥ずかしいです」
なんだよそれ。上目遣いでやられると、かなりツボの台詞だ。
はじめてでもないのに全身が恥じらいで上気し、ピンクに染まっているのは非常にかわいいなんて思う。
「いまさら?」
「……」
ヒドイと言いたげに軽く口をとがらせる真琴とわざとからかっている俺が、普段の俺たちとあまりに違うのでひどくおかしくなった。
きつい言葉で切り捨てる鬼上司の俺と、やわらかく流して気にしない真琴。
それが職場の俺たちのテンプレートだ。
今、ひどく戸惑ったり動揺した顔を見せているけれど、でも不器用にでも甘えようとしている。
こんな真琴を見ることができるのは、俺だけだろうな。
なんて、くだらないことに満足する。
中性的でさわやかな真琴と、不機嫌で毒舌の俺が、子猫よりも無邪気にじゃれ合ってるなんて、他の奴に教えたくないし。
俺も真琴の事は言えず、キャラが変わっている気がする。
このまま抱かずにじゃれるだけでいいとか、優しくしてやりたいとか、次が欲しいとか。
ずっと一緒でもいい、なんて単語が不意に浮かぶなんて。
酔っているせいだ、きっと。
誰かを抱きしめたくなるのは、こんな気持ちがわき上がる瞬間だ。
ふと気がついて、俺は真琴の体から下りた。
「床、冷たくないか?」
「え?」
急の事なので驚いたみたいに、真琴は眼をパチパチと瞬いた。
フローリングで裸で寝るには寒い季節だ。
このままやることをやっていたら、風邪を引くかもしれない。。
「背中が冷たいだろ? あっちへいこうか」
軽く指で隣の寝室を指すと、カァッと真琴は更に赤くなる。
今、俺たちがいるリビングは猫スペースなのか人用のアイテムがとても少ないけれど、隣の寝室は真琴らしいさわやかな緑が基調の洋室だった。
身長があるので大きめのベッドを選んだと言っていたように、前回、俺が泊ってもまったく狭苦しく感じなかった。
「えっと、色々と、気持ちの準備が……」
上半身は素肌をさらしてる真琴の腕を引いて立ち上がらせると、妙にはじらって俺から離れようとする。
この前の成り行きとは状況が違うから、どうしていいかわからないのだろう。
照れているのだろうがそれが普段の様子と違いすぎて、むしょうにからかいたくなる。
「別にいいだろ?」
「いいって……」
床に転がったままの弁当に、真琴の視線が吸いついた。
やっぱりそこに戻るか。
空腹感が強いんだろうな。
まぁ、食べるつもりで買ってきたし、残業中に軽く菓子を口にしただけだから気持ちはわかる。
俺も空腹を抱えてる気はするが、ホットワインだけで気持ちが満たされていた。
今ここで食べないと明日の朝まで食事はお預けになる気がするから、本当は真琴の希望をかなえるべきだろう。
だけど心ここにあらずで紅くなりソワソワしているから、妙に惹かれて放したくない気分だった。
温もりで心が満たされたら、空腹も満たされるさ。
なんて言ったら、勝手すぎるだろうか?
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