夏のニライカナイ

真朱マロ

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夏のニライカナイ 最終話

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 優しい花びらのアカバナを 
 ハイビスカスなんて もう呼べなくて

 プチプチした海ブドウ
 やわらかくプルンとしたテビチ
 アチコーコーなてんぷら
 疲れたときにはゆし豆腐
 ちょっと叫んだイラブー汁も
 じっくり舌に焼き付けて

 絞め殺しと呼ばれるガジュマルに住む
 赤い髪のキジムナーに夢で逢い
 目に見えるものがすべてじゃなくて

 感情を切り取ることはできないけれど
 時間を丸ごと残すことはできないけれど
 カメラに映るものを すべて焼きつけて

 なんくるないさ

 やわらかで優しい言葉が
 くすぐるように心にしみる

 見ず知らずの私のために
 教えてくれたあなたのために
 贈り合う祈りの言葉を なんどでも

 まくとぅそーけ、なんくるないさ

 また来る日まで
 変わらぬ青でいてほしい

 心に焼き付いた 夏のニライカナイ
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