夏のニライカナイ

真朱マロ

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夏のニライカナイ 1

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 ほんの少しでいいんだ
 私の生きている小さな世界から
 ひょいと離れてしまおう

 ちょうど仕事も人間関係も
 なくしたばかりだったから
 知らない場所に行くにはちょうど良くて

 どこまでも行けそうな気持ちで
 今なら遠くに行けそうな気持ちで
 飛行機に乗ったんだ

 一眼レフのカメラと
 着替えを詰めたボストンバック
 持ち物なんて それでも多いぐらいで

 他の誰かから見れば大したことなくても
 受け止めるだけのキャパが足りなかったから

 嬉しいや悲しいがわからなくなって
 自分の中にある感情がわからなくなって

 小さな自分の世界の中にいたら
 うつむくことしかできなくて
 気がつけば うつむいてしまうばかりで
 感情がどこかで迷子になっているし
 大切なものなんてそれほどないし

 下ばかり見ていたのに 
 落し物に気付いたのに
 拾い上げることを忘れるぐらい
 なんだかぼーっとしてしまうばかりだから

 ぼんやりした私の今を確かにする
 大切なカメラを相棒にして
 思いつきで飛行機に乗ったんだ 
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