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第5章
誘惑と友情、魂の交信(2)
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「エル……」
ほんのり頬を上気させ、潤んだ眼差しを向けられてあわてて視線を逸らした。
「もういいだろ。余分なエネルギーは充分中和されたはずだ」
「我はまだ足りない」
嘘つけっ!と内心ですかさずツッコミを入れた。
この美人、なにシレッと甘えたモード全開で大ボラぶっこいてんだよ。俺の身体だってあんたと力のやりとりしてるんだから、いまの状態はわかるっつうの。
「もうダメか?」
上目遣いで訊かれて、ウッと詰まった。
「あ~、まあ、とりあえず今回はこれでおしまいってことで。あんまやりすぎるのも、よくないだろ」
「そんなことはないと思うが」
そんなことあるんだよ。やりすぎてあんた、錯乱状態に陥っただろうが。
「もうずっと、こうして触れ合うだけの処置しかしていないが、エロいチュウはしなくていいのか?」
「エッ………………ッ」
思わず絶句した。
いや、マジで勘弁してくれ。なに言っちゃってんの、この人っ!?
「しませんっ!! ってか、その言いかたはやめなさいっ! あんた、仮にも高貴な生まれでしょうが!?」
「え~、そなたが教えてくれたのではないか」
教えてねぇわっ!
内心で断固否定して、ガックリ肩を落とした。
まったく勘弁してくれよ……。なにがエロいチュウだ。俺が口走ったこと勝手におぼえやがって。そんなん、できるわけねぇだろ。
原因となったあれこれを思い出して、げんなりする。
「……ともかく、いまはこまめに発散してるんだから、そんな必要全然ないだろ? あれは、本当に倒れる寸前でどうにもならなくなった場合のみの最終手段ですっ!」
「そうなるまえに、万一に備えて、してもいいと我は思うのだが」
「よくねえよ! 万一に備えてってなんだよっ! っていうか、うっかり濃厚接触した結果、どうなったかはあんたもよくわかってるだろうが」
「ルシアスならば、我からよく言い聞かせておくぞ?」
「そういう問題じゃねぇんだよっ!!」
マジでなに言ってんだ、この人。神様の貞操観念ってどうなってんの?
つぶらな瞳で邪な提案してくるのはやめてほしい。この躰の持ち主のせいで、うっかり流されそうになっちゃうんだから、ほんとやめて!?
思うように誘いに乗らない俺の反応に、リュシエルは不満そうに口唇を尖らせた。うん、そういう顔してもダメだから。あざと可愛い手には乗りません。
これ以上迫ってもさすがに無理だと諦めたのか、リュシエルはようやく躰を離した。
「作業を中断させてしまったようだが、エルディラントが記したものは、なにか見つかったのか?」
部屋の様子を見て、真顔で問われたのでこちらも真摯に応じる。
「いや、残念ながらいまのところ、これといったものはまだ」
ここ最近、日中手が空いているときは、手がかりになりそうな手記が残されていないかと探ってはいるのだが、それらしいものはなにひとつ見つかっていない。俺の勘では、力のやりとりが上手くいかない原因とリュシエルが襲撃された件について、この躰の持ち主はなんらかの情報を得ていたはずなのだ。
「やはりそうであるなら、我はしたほうがいいと思うのだが。エロッ――」
まだ諦めてなかったかっ!
皆まで言わせず、ビタッと掌で口を塞いだ。
「しません! ダメですっ!」
リュシエルが不満そうに「ん~っ! ん~っ!」と抗議するので、しかたなく手を放した。
ほんのり頬を上気させ、潤んだ眼差しを向けられてあわてて視線を逸らした。
「もういいだろ。余分なエネルギーは充分中和されたはずだ」
「我はまだ足りない」
嘘つけっ!と内心ですかさずツッコミを入れた。
この美人、なにシレッと甘えたモード全開で大ボラぶっこいてんだよ。俺の身体だってあんたと力のやりとりしてるんだから、いまの状態はわかるっつうの。
「もうダメか?」
上目遣いで訊かれて、ウッと詰まった。
「あ~、まあ、とりあえず今回はこれでおしまいってことで。あんまやりすぎるのも、よくないだろ」
「そんなことはないと思うが」
そんなことあるんだよ。やりすぎてあんた、錯乱状態に陥っただろうが。
「もうずっと、こうして触れ合うだけの処置しかしていないが、エロいチュウはしなくていいのか?」
「エッ………………ッ」
思わず絶句した。
いや、マジで勘弁してくれ。なに言っちゃってんの、この人っ!?
「しませんっ!! ってか、その言いかたはやめなさいっ! あんた、仮にも高貴な生まれでしょうが!?」
「え~、そなたが教えてくれたのではないか」
教えてねぇわっ!
内心で断固否定して、ガックリ肩を落とした。
まったく勘弁してくれよ……。なにがエロいチュウだ。俺が口走ったこと勝手におぼえやがって。そんなん、できるわけねぇだろ。
原因となったあれこれを思い出して、げんなりする。
「……ともかく、いまはこまめに発散してるんだから、そんな必要全然ないだろ? あれは、本当に倒れる寸前でどうにもならなくなった場合のみの最終手段ですっ!」
「そうなるまえに、万一に備えて、してもいいと我は思うのだが」
「よくねえよ! 万一に備えてってなんだよっ! っていうか、うっかり濃厚接触した結果、どうなったかはあんたもよくわかってるだろうが」
「ルシアスならば、我からよく言い聞かせておくぞ?」
「そういう問題じゃねぇんだよっ!!」
マジでなに言ってんだ、この人。神様の貞操観念ってどうなってんの?
つぶらな瞳で邪な提案してくるのはやめてほしい。この躰の持ち主のせいで、うっかり流されそうになっちゃうんだから、ほんとやめて!?
思うように誘いに乗らない俺の反応に、リュシエルは不満そうに口唇を尖らせた。うん、そういう顔してもダメだから。あざと可愛い手には乗りません。
これ以上迫ってもさすがに無理だと諦めたのか、リュシエルはようやく躰を離した。
「作業を中断させてしまったようだが、エルディラントが記したものは、なにか見つかったのか?」
部屋の様子を見て、真顔で問われたのでこちらも真摯に応じる。
「いや、残念ながらいまのところ、これといったものはまだ」
ここ最近、日中手が空いているときは、手がかりになりそうな手記が残されていないかと探ってはいるのだが、それらしいものはなにひとつ見つかっていない。俺の勘では、力のやりとりが上手くいかない原因とリュシエルが襲撃された件について、この躰の持ち主はなんらかの情報を得ていたはずなのだ。
「やはりそうであるなら、我はしたほうがいいと思うのだが。エロッ――」
まだ諦めてなかったかっ!
皆まで言わせず、ビタッと掌で口を塞いだ。
「しません! ダメですっ!」
リュシエルが不満そうに「ん~っ! ん~っ!」と抗議するので、しかたなく手を放した。
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