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6章 ~ロイス視点~

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翌朝。ベッドから降り部屋から出ると、レイがニヤニヤしながら立っている。

「夕べは楽しめましたか? ふかふかのベッドがある綺麗な部屋で」

「なんだ、自分だけ宴会場で一晩過ごしたのを根に持ってるのか。それはすまない」

昨晩、宿の主人に部屋を用意してくれないかと頼んだら二つ返事で上等な部屋に案内された。上客用に確保してあったようだ。エアリーと俺はその部屋で眠った。

「……冗談が通じていないみたいですね」

レイはつまらなそうに去っていった。よく分からない。

「ロイス、どうかしましたか」

エアリーが部屋から顔を覗かせた。目を覚ましたらしい。

「レイがニヤニヤしながら立っていた。よく分からないことを言い残して宴会場に戻っていった」

「何か冗談でも思いついたのでしょう。よくあることです。放っておけばよろしいかと」

エアリーはそっけなく言った。親密さを感じさせる言い回しにレイへの黒い感情が沸き起こった。

「さあ、そろそろ出発しようか」

俺は話題を変えた。レイの話はどうでもいい。

「ええ。すぐに準備します」

エアリーはてきぱきと身の回りを片付け始める。


それから数時間後。俺はエアリーを自分の後ろに乗せて馬を走らせている。前方にはレイが操る馬が見える。

「城に帰るのはいいですけど、ロイス王子はどうするつもりなんです?」

レイが叫ぶ。

「指輪に詳しい奴に話を聞く。おそらくそいつが今回の騒動を起こした」

「誰なんですか、その迷惑な奴って」

「レイが知っているとは思えないが、ミシュアという女だ」

考案の言葉はエアリーに言い聞かせるように呟いた。

「ミシュア!?」

案の定、エアリーが大きく反応する。

「エアリー、あまり動かないでくれよ。馬が暴れる」

「そう言われましても……どうしてミシュアが……」

エアリーが消え入りそうな声で言う。

「まだ確実にそうと決まったわけじゃない。情報を組み合わせていくと、ミシュアが一番怪しいと言うだけだ」

俺は嘘を付いた。エアリーを安心させるために。自分のなかでは、犯人はミシュアだと確信している。

「指輪の話を俺にしてくれたのはミシュアだ」

「それだけでミシュアを疑うのですか。私のために尽くしてくれているミシュアを」

「どうであれ本人に聞いてみればわかるさ。さあ、飛ばしていくぞ」

馬のスピードを上げ、レイを追い抜く。

「きゃっ」

エアリーが悲鳴をあげる。

「楽しそうでなによりですね。まるでピクニックのようだ」

レイの皮肉を聞き流し、俺は昨日通ってきたばかりの道を戻る。
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