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本編(ノーマルエンド)
39、セエレの生い立ち
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以前のようにセエレに抱き上げられ、リディアは淡い夕闇から夜の暗さへ変わっていく空を飛んでいた。
「兄上に命じられて、今までいろんなことやってきた」
星も月も出てない空を迷いなく飛んでいたセエレがぽつりとつぶやく。
「第一王子であるウィリアム殿下に近づく女の素行調査とか……他の男に言い寄られてどんな態度をとるとか、家柄は王家に歯向かわないかとか、未来の王妃に相応しい女性かどうか、兄上は殿下以上に気にしてた」
「……」
――たしかにセエレは私の弟だ。だがそれは決して兄上と同じ括りではない。
レナードにとってセエレはあくまでも駒でしかない、というマリアンの指摘はあながち間違いでもないのだ。
「他にもこの国に不満を抱いているやつとか、陛下や殿下を隙あらば殺してやろうと企んでるやつとかも炙り出して、脅して、処理した。何度も、何度も……」
「……ぜんぶ、殿下のご指示で?」
「うん。そう……でも、一番はそうすれば兄上に認めてもらえるって思ったオレの意志だよ」
セエレは口元に笑みを浮かべた。
「王族で、しかも子どもの間諜なんて、オレくらいだろうね」
「……あなたの本当の年齢も、実際はもっとお若いのではないですか」
リディアがそう尋ねると、セエレはあっさりうんと答えた。
「学園に入学する手前、いちおう十六歳ってことにしてあるけど、本当は十三……今年で十四になるね」
(やっぱり……)
初めて会った時、セエレの容姿はまるで少年のようだとリディアは思ったのだ。顔立ちも含め、言動も時折どこか幼さが感じられた。それでもマリアンに対する物言いなどはぞっとするほど大人びており、冷淡であった。
幼いからこそ、どこまでも残酷になれるし、その行為はすべてレナードの役に立ちたいという純粋な動機から成り立っている。
(でもどうしてそこまで……)
「リディアが言いたいこと、なんとなくわかるよ。マリアンがさっき言ってたこともね。でも、オレにとって兄上は、命すら差し出していい相手だから」
「命すら?」
「そ。兄上が誰かのために死んで来いって命令したら、オレは喜んでそれに従う。それが兄上のためになるなら」
リディアは何と言えばいいのかわからなかった。
「物心ついた頃からオレの母さんは周囲から意地悪されててさ……たぶんオレが生まれる前からずっと……それで陛下の寵愛があればまだ耐えられたのかもしれないけど、あの人が母さんに向けていた感情なんて、一時の気の迷いだった。フェリシア王妃の人気ぶりに嫉妬して、侍女だった母さんを逃げ場にした。ただそれだけ……オレまでできて、煩わしいことも増えて、オレたち親子の存在なんて邪魔で仕方がなかったんだと思う」
酷い話だよね、とあくまでもセエレは明るく言った。
「いま、セエレの母親は……」
「オレの存在を外へ漏らさないようにって離れで暮らしてたけど……心身ともに弱って、一年前に亡くなったんだ」
「そんな……」
セエレはリディアを支えていた手に力を込めた。
「オレさえいなければ、たぶん、もっと別の道があったんだと思う。別の、もっと母さんのことを大切にして、本当に愛してくれる人と、人生やり直すとか……でも、オレがいたからそれも許されなくて……母さんには、本当に可哀想なことしたよ。オレを産んだこと、ずっと後悔していたからさ」
「……それはセエレのせいじゃないですよ」
子は親を選べない。責任を求められたところで、どうしようもない。
「うん。ありがと。でもさ、時々どうしようもなく思うんだよ。オレが生まれてなかったら、魔力なんて持っていなかったら、この目が赤くなかったら、とかさ。それでわりと生きてる意味がわかんなくなって……」
「セエレ……」
自分はどうしてここにいるのだろう。自分が生きている意味はあるのだろうか。ただ周囲を困らせ、母を縛り付けているじゃないか?
セエレは物心ついた時から自分の存在に疑問を感じていた。
「そんな時、兄上に会ったんだ」
セエレが目を細めてリディアに微笑んだ。
「ある日突然離れに現れてさ……お前は私の弟だ。どうか私のために力を貸して欲しいって」
「……驚いたでしょう?」
「もちろん。今思い出しても、初対面なのにすごい偉そうで、この人何言ってるんだろって思った」
「目に浮かびます」
リディアに会った時も、レナードは偉そうだった。
「絶対オレのこと利用する気だろ、って見え見えだった。わかってた……けど、オレ嬉しかった。こんなオレでも必要なんだって言ってくれて、初めてオレの存在を肯定してくれた人だから」
周囲からも、自分自身ですら、己の存在を否定してきたセエレ。そんな彼を生まれて初めて認めてくれたのが兄であるレナードだった。
「あの人だけは、オレがこの世界にいてもいいって許してくれた。必要だって……オレはそれで十分だって思ったんだ。この人はオレが欲しいと思ったのを、与えてくれた。だから、オレはこの人のために何でもしようって」
「……それが利用されるためでも?」
「うん。それでもいいんだ」
セエレの表情はどこまでも穏やかだった。
「あの人の本性を知っている人はみんな冷酷だとか、悪魔だとか、いろいろ言うけど、オレは嫌いじゃない」
「……そっか」
リディアはそれ以上何も言えなかった。周囲からすればどんなに酷い人間でも、セエレにとっては自分を救ってくれた大切な人。ただそれだけなのだ。自分には、それを否定することはできない。否定したくなかった。
「……っと、つまらない話聞かせてごめんね」
リディアの家の前、セエレはゆっくりと地面へ降り立った。
「じゃあね、リディア。今日はごめんね。ハンカチ、洗って返すね」
「……セエレ。よかったら夕飯一緒に食べていきませんか」
「え」
リディアの突然の申し出に、セエレはびっくりしていた。
「門限は破っちゃいますけど、今日くらい……あ。でも師匠は王宮で魔術について研究していますし、もしかしてセエレとも面識あったりしますか?」
それだと色々まずいだろうか。
「それはたぶん、大丈夫。オレは他の人間と接しないよう隔離されて過ごしてきたし……他の魔術師とも、ほとんど顔を合わせたことないから」
瞳の色も今は変えてあるから、と言われリディアはほっと胸をなで下ろした。
「じゃあ、何も問題ありませんね。ぜひ!」
「いや、でも悪いよ。急に。家の人にも迷惑だし……」
「全然迷惑じゃありませんし、大勢で食べた方が美味しいですよ」
ほら、とリディアは半ば強引にセエレの腕をひいた。彼は引かれるがまま、リディアの家の中へ入らされた。明るい光にセエレが眩しげに目を細めた。
「師匠。ただいま帰りました」
「あ、リディア。お帰りなさい! ふふん、聞いて下さい。なんと今日はぼくが料理をして……」
花柄のエプロンを身につけ、お玉を手にしたキャスパーがセエレを見てぴしりと固まった。ついこの間、というか昨日見た光景とまったく同じである。
「な、な、だ、誰ですかその人は!」
ただ違うのは、今度はリディアの方からセエレを我が家へ招待したことだろう。
「兄上に命じられて、今までいろんなことやってきた」
星も月も出てない空を迷いなく飛んでいたセエレがぽつりとつぶやく。
「第一王子であるウィリアム殿下に近づく女の素行調査とか……他の男に言い寄られてどんな態度をとるとか、家柄は王家に歯向かわないかとか、未来の王妃に相応しい女性かどうか、兄上は殿下以上に気にしてた」
「……」
――たしかにセエレは私の弟だ。だがそれは決して兄上と同じ括りではない。
レナードにとってセエレはあくまでも駒でしかない、というマリアンの指摘はあながち間違いでもないのだ。
「他にもこの国に不満を抱いているやつとか、陛下や殿下を隙あらば殺してやろうと企んでるやつとかも炙り出して、脅して、処理した。何度も、何度も……」
「……ぜんぶ、殿下のご指示で?」
「うん。そう……でも、一番はそうすれば兄上に認めてもらえるって思ったオレの意志だよ」
セエレは口元に笑みを浮かべた。
「王族で、しかも子どもの間諜なんて、オレくらいだろうね」
「……あなたの本当の年齢も、実際はもっとお若いのではないですか」
リディアがそう尋ねると、セエレはあっさりうんと答えた。
「学園に入学する手前、いちおう十六歳ってことにしてあるけど、本当は十三……今年で十四になるね」
(やっぱり……)
初めて会った時、セエレの容姿はまるで少年のようだとリディアは思ったのだ。顔立ちも含め、言動も時折どこか幼さが感じられた。それでもマリアンに対する物言いなどはぞっとするほど大人びており、冷淡であった。
幼いからこそ、どこまでも残酷になれるし、その行為はすべてレナードの役に立ちたいという純粋な動機から成り立っている。
(でもどうしてそこまで……)
「リディアが言いたいこと、なんとなくわかるよ。マリアンがさっき言ってたこともね。でも、オレにとって兄上は、命すら差し出していい相手だから」
「命すら?」
「そ。兄上が誰かのために死んで来いって命令したら、オレは喜んでそれに従う。それが兄上のためになるなら」
リディアは何と言えばいいのかわからなかった。
「物心ついた頃からオレの母さんは周囲から意地悪されててさ……たぶんオレが生まれる前からずっと……それで陛下の寵愛があればまだ耐えられたのかもしれないけど、あの人が母さんに向けていた感情なんて、一時の気の迷いだった。フェリシア王妃の人気ぶりに嫉妬して、侍女だった母さんを逃げ場にした。ただそれだけ……オレまでできて、煩わしいことも増えて、オレたち親子の存在なんて邪魔で仕方がなかったんだと思う」
酷い話だよね、とあくまでもセエレは明るく言った。
「いま、セエレの母親は……」
「オレの存在を外へ漏らさないようにって離れで暮らしてたけど……心身ともに弱って、一年前に亡くなったんだ」
「そんな……」
セエレはリディアを支えていた手に力を込めた。
「オレさえいなければ、たぶん、もっと別の道があったんだと思う。別の、もっと母さんのことを大切にして、本当に愛してくれる人と、人生やり直すとか……でも、オレがいたからそれも許されなくて……母さんには、本当に可哀想なことしたよ。オレを産んだこと、ずっと後悔していたからさ」
「……それはセエレのせいじゃないですよ」
子は親を選べない。責任を求められたところで、どうしようもない。
「うん。ありがと。でもさ、時々どうしようもなく思うんだよ。オレが生まれてなかったら、魔力なんて持っていなかったら、この目が赤くなかったら、とかさ。それでわりと生きてる意味がわかんなくなって……」
「セエレ……」
自分はどうしてここにいるのだろう。自分が生きている意味はあるのだろうか。ただ周囲を困らせ、母を縛り付けているじゃないか?
セエレは物心ついた時から自分の存在に疑問を感じていた。
「そんな時、兄上に会ったんだ」
セエレが目を細めてリディアに微笑んだ。
「ある日突然離れに現れてさ……お前は私の弟だ。どうか私のために力を貸して欲しいって」
「……驚いたでしょう?」
「もちろん。今思い出しても、初対面なのにすごい偉そうで、この人何言ってるんだろって思った」
「目に浮かびます」
リディアに会った時も、レナードは偉そうだった。
「絶対オレのこと利用する気だろ、って見え見えだった。わかってた……けど、オレ嬉しかった。こんなオレでも必要なんだって言ってくれて、初めてオレの存在を肯定してくれた人だから」
周囲からも、自分自身ですら、己の存在を否定してきたセエレ。そんな彼を生まれて初めて認めてくれたのが兄であるレナードだった。
「あの人だけは、オレがこの世界にいてもいいって許してくれた。必要だって……オレはそれで十分だって思ったんだ。この人はオレが欲しいと思ったのを、与えてくれた。だから、オレはこの人のために何でもしようって」
「……それが利用されるためでも?」
「うん。それでもいいんだ」
セエレの表情はどこまでも穏やかだった。
「あの人の本性を知っている人はみんな冷酷だとか、悪魔だとか、いろいろ言うけど、オレは嫌いじゃない」
「……そっか」
リディアはそれ以上何も言えなかった。周囲からすればどんなに酷い人間でも、セエレにとっては自分を救ってくれた大切な人。ただそれだけなのだ。自分には、それを否定することはできない。否定したくなかった。
「……っと、つまらない話聞かせてごめんね」
リディアの家の前、セエレはゆっくりと地面へ降り立った。
「じゃあね、リディア。今日はごめんね。ハンカチ、洗って返すね」
「……セエレ。よかったら夕飯一緒に食べていきませんか」
「え」
リディアの突然の申し出に、セエレはびっくりしていた。
「門限は破っちゃいますけど、今日くらい……あ。でも師匠は王宮で魔術について研究していますし、もしかしてセエレとも面識あったりしますか?」
それだと色々まずいだろうか。
「それはたぶん、大丈夫。オレは他の人間と接しないよう隔離されて過ごしてきたし……他の魔術師とも、ほとんど顔を合わせたことないから」
瞳の色も今は変えてあるから、と言われリディアはほっと胸をなで下ろした。
「じゃあ、何も問題ありませんね。ぜひ!」
「いや、でも悪いよ。急に。家の人にも迷惑だし……」
「全然迷惑じゃありませんし、大勢で食べた方が美味しいですよ」
ほら、とリディアは半ば強引にセエレの腕をひいた。彼は引かれるがまま、リディアの家の中へ入らされた。明るい光にセエレが眩しげに目を細めた。
「師匠。ただいま帰りました」
「あ、リディア。お帰りなさい! ふふん、聞いて下さい。なんと今日はぼくが料理をして……」
花柄のエプロンを身につけ、お玉を手にしたキャスパーがセエレを見てぴしりと固まった。ついこの間、というか昨日見た光景とまったく同じである。
「な、な、だ、誰ですかその人は!」
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