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本編(ノーマルエンド)
35、収束
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次の日学校に行ったら、またもや校内中に新聞が張り出されていた。
「昨日の記事についてのお詫びと訂正……リディア・ヴァウルの過去、ならびに異性関係については誤報であり……彼女が学生として不健全な交際をしていたなどは、全くの事実無根であることを訂正させて頂きます……彼女は実に勤勉で、留年したのも健康面が芳しくなかったためであり……深くお詫び申し上げます……って、どういうこと?」
たった一日で記事の内容はひっくり返っている。
リディアがキャスパーやグレンを誑かしたという内容も、すべて勘違いであり、誤りであったと訂正してある。留年の件も、リディア自身に問題はなく、体調が悪くなったせいで授業の理解に遅れが生じてしまった……といういささか強引すぎる理由へと書き換えられていた。
(一体なぜ急に……)
「リディア。おはよう」
疑問符を頭の上に浮かべていると、穏やかな声が耳に届いた。
「ふふ。驚いた?」
振り返った先には微笑を浮かべているメルヴィンがいた。彼はリディアが読んでいた新聞記事を見ながら言った。
「昨日は散々きみを品のない言葉で扱き下ろしていたくせに、急に掌返したかのように謝るなんて。ほんと、笑ってしまうよ」
ね、とにこやかに微笑みながら同意を促すメルヴィン。
「はぁ……」
「もう。反応薄いなあ。在りもしない事実がこうして否定されたんだから、もっと素直に喜んだらどうだい?」
「そう言われても……」
記事では否定されたが、一度は広まった事実。簡単に覆されるとはリディアには思えなかった。
(現に今も視線をひしひしと感じるし……)
メルヴィンと話している姿を見て、記事の内容はやはり本当だったのではないかと思う生徒もいるのではないか。女子生徒の何か言いたげな視線を感じて、リディアはそう思った。
「あの、メルヴィン様」
(ほら。さっそく!)
近寄ってきた女子生徒にリディアは身構えた。
「その方が留年されたリディア・ヴァウルさんですか?」
(へ?)
次々とメルヴィンに駆け寄ってきた女子生徒たちはリディアに敵意のこもった目を向けてはいなかった。代わりにどこまでも憐れみの視線を向けられた。
「早くにお母様を亡くされて、お仕えしている屋敷の使用人という立場で学園に通っていらっしゃるのでしょう?」
(いや、使用人って……)
たしかに表向きはそうであり、キャスパーの世話もあれこれしているので、使用人とも言えなくはないが……。
「そこの怠惰なご主人に代わって、あれこれと世話をなさっているのでしょう?」
「うん。そうだよ」
否定もせず、メルヴィンは彼女たちの言葉をあっさりと肯定した。まあ、とますます困ったように眉を下げるお嬢さんたち。
「それでお金も稼いでいらっしゃるのでしょう?」
「勉強と両立しようとすれば、大変にもなるわ」
「うんうん。そうだよね」
メルヴィンは女子生徒の一人の肩にそっと自身の手を置いた。そしてうっとりとするような声でささやいた。
「きみたちが昨日の記事を間違いだとわかってくれて嬉しいよ」
見目麗しい男性にそう言われて、魂を奪われたかのように彼女たちはぼおっとメルヴィンの顔を見つめる。
(なんだこれ……)
「私たち、メルヴィン様に言われるまでリディアさんのこと誤解していましたわ」
「ええ。メルヴィン様やグレン様を誑かした魔女だなんて言われていましたけど、やはり噂など素直に信じてはいけませんわね」
「うん。僕もそう思うよ。他の子もきみたちのように誤解を解いてくれるといいんだけどね……」
メルヴィンが悲しそうに目を伏せれば、女子生徒たちは一瞬にして動揺する。
「私、他の方にも誤解だと説得しますわ!」
「ええ。わたくしも!」
私も、わたしも、わたくしも、とその場にいた全員がメルヴィンに約束する。彼は彼女たちの言葉を聞き、顔を上げた。
「ありがとう。みんな、とても優しいんだね」
儚くも、心奪われるような微笑をメルヴィンは惜しげもなく少女たちへ贈った。それにみな今度こそ天へ召されたかのように言葉を失い、「あっ、わたくし、もうだめ……」とその場に倒れる者もいた。
「おやおや。大変だね」
リディアはぎょっとするも、メルヴィンは少しも動揺していない。むしろ自分の言動で相手がこうなるのに慣れた様子であった。
「まあ、僕がどうにかできる相手には、昨日の記事の内容は違うって説明しておいたから。安心して、リディア」
(どうにかできる相手って……)
倒れた女子生徒に跪いて手を差し伸べるメルヴィンと、そんな彼をうっとりとした表情で見つめる彼女たち。リディアは一人置き去りにされたような心地で、目の前の光景を眺めていた。
***
「昨日の記事って間違いだったんだな」
「つい信じてしまったわ。ごめんなさい」
「体調壊して留年したんだってね。何か力になれることあったら、言ってね」
教室に入るやいなや、クラスメイトからそう言われ、リディアはびっくりした。同情の眼差しは変わらぬものの、すっかり彼らは昨日の記事を間違いだと受け入れていた。あまりにもあっさりし過ぎていて、リディアはどうも釈然としない。
「ま。そんなもんなんじゃないの? 人の生い立ちなんて」
リディアの悶々と考え込む顔を見て、ロイドがそう言った。
「結局一時の暇つぶしになればいいわけで、事実かどうか深く考える必要なんて赤の他人には関係ないんだよ。間違いなら間違いってことで、楽しむからさ」
「はぁ……」
そういうものなのだろうか。
(というよりも……)
「なあ、それより知ってるか?」
「ああ。マリアン・レライエ嬢のことだろう?」
「たくさんの男を弄ぶだけ弄んで、用済みになったら容赦なく捨てるんだろう?」
「二年生の男はほとんど彼女に惚れてたらしいぞ」
「男性の婚約者だったご令嬢は婚約をなかったことにされたようよ」
「まあひどい……」
リディアの過去よりも、マリアンのことについて話題は持ちきりであった。彼らの興味関心は、庶民の自分よりも、儚げで可憐な貴族のマリアンにもはや移っていた。
「あのお嬢さん。有名人だね」
楽しそうに話すクラスメイトを見てロイドはどこか呆れているようだった。
「でも、どうして今さら……」
「さあ? この前廊下で騒いでいた事件が明るみに出たんじゃない?」
マリアン・レライエ。か弱そうな顔をして、中身は最悪だ。魔女だ。怖い、怖い、と彼らは面白がるように笑って、盛り上がっていた。
(なんだかなあ……)
自分のことが話題にされなくなったのは嬉しいが、代わりにマリアンがあれこれと言われているのはあまりいい気分がしなかった。
「なんだか不満そうだね」
「誰かを種に楽しんでいるのは、変わらないから……」
はぁ、とロイドはため息をついた。
「あんた、ほんとお人好し。忘れたの? あの女によって自分の過去暴露されたんだよ? しかも虚偽のことを書かれてさ。普通ざまあみろって思うでしょ」
「……」
ロイドの言葉にも、リディアは素直に受け入れられなかった。
(だからってこんなの……)
マリアンの話題は、学園中に広まっていた。他のクラスでも、食堂でも、どこにいてもマリアンの話がされていた。
「でね、マリアン様がね……」
(まただ……)
放課後、生徒会室に行く途中でリディアはすれ違う生徒たちの言葉に気が重くなった。
(みんなマリアン様のことばかり……)
そのどれもが彼女を否定的に捉える内容のものだった。婚約者のいる男を奪う魔女。か弱い振りをした悪女。会ったこともない彼女に対して、勝手なイメージが植え付けられていった。
(なんか、それは違うんじゃないの?)
「昨日の記事についてのお詫びと訂正……リディア・ヴァウルの過去、ならびに異性関係については誤報であり……彼女が学生として不健全な交際をしていたなどは、全くの事実無根であることを訂正させて頂きます……彼女は実に勤勉で、留年したのも健康面が芳しくなかったためであり……深くお詫び申し上げます……って、どういうこと?」
たった一日で記事の内容はひっくり返っている。
リディアがキャスパーやグレンを誑かしたという内容も、すべて勘違いであり、誤りであったと訂正してある。留年の件も、リディア自身に問題はなく、体調が悪くなったせいで授業の理解に遅れが生じてしまった……といういささか強引すぎる理由へと書き換えられていた。
(一体なぜ急に……)
「リディア。おはよう」
疑問符を頭の上に浮かべていると、穏やかな声が耳に届いた。
「ふふ。驚いた?」
振り返った先には微笑を浮かべているメルヴィンがいた。彼はリディアが読んでいた新聞記事を見ながら言った。
「昨日は散々きみを品のない言葉で扱き下ろしていたくせに、急に掌返したかのように謝るなんて。ほんと、笑ってしまうよ」
ね、とにこやかに微笑みながら同意を促すメルヴィン。
「はぁ……」
「もう。反応薄いなあ。在りもしない事実がこうして否定されたんだから、もっと素直に喜んだらどうだい?」
「そう言われても……」
記事では否定されたが、一度は広まった事実。簡単に覆されるとはリディアには思えなかった。
(現に今も視線をひしひしと感じるし……)
メルヴィンと話している姿を見て、記事の内容はやはり本当だったのではないかと思う生徒もいるのではないか。女子生徒の何か言いたげな視線を感じて、リディアはそう思った。
「あの、メルヴィン様」
(ほら。さっそく!)
近寄ってきた女子生徒にリディアは身構えた。
「その方が留年されたリディア・ヴァウルさんですか?」
(へ?)
次々とメルヴィンに駆け寄ってきた女子生徒たちはリディアに敵意のこもった目を向けてはいなかった。代わりにどこまでも憐れみの視線を向けられた。
「早くにお母様を亡くされて、お仕えしている屋敷の使用人という立場で学園に通っていらっしゃるのでしょう?」
(いや、使用人って……)
たしかに表向きはそうであり、キャスパーの世話もあれこれしているので、使用人とも言えなくはないが……。
「そこの怠惰なご主人に代わって、あれこれと世話をなさっているのでしょう?」
「うん。そうだよ」
否定もせず、メルヴィンは彼女たちの言葉をあっさりと肯定した。まあ、とますます困ったように眉を下げるお嬢さんたち。
「それでお金も稼いでいらっしゃるのでしょう?」
「勉強と両立しようとすれば、大変にもなるわ」
「うんうん。そうだよね」
メルヴィンは女子生徒の一人の肩にそっと自身の手を置いた。そしてうっとりとするような声でささやいた。
「きみたちが昨日の記事を間違いだとわかってくれて嬉しいよ」
見目麗しい男性にそう言われて、魂を奪われたかのように彼女たちはぼおっとメルヴィンの顔を見つめる。
(なんだこれ……)
「私たち、メルヴィン様に言われるまでリディアさんのこと誤解していましたわ」
「ええ。メルヴィン様やグレン様を誑かした魔女だなんて言われていましたけど、やはり噂など素直に信じてはいけませんわね」
「うん。僕もそう思うよ。他の子もきみたちのように誤解を解いてくれるといいんだけどね……」
メルヴィンが悲しそうに目を伏せれば、女子生徒たちは一瞬にして動揺する。
「私、他の方にも誤解だと説得しますわ!」
「ええ。わたくしも!」
私も、わたしも、わたくしも、とその場にいた全員がメルヴィンに約束する。彼は彼女たちの言葉を聞き、顔を上げた。
「ありがとう。みんな、とても優しいんだね」
儚くも、心奪われるような微笑をメルヴィンは惜しげもなく少女たちへ贈った。それにみな今度こそ天へ召されたかのように言葉を失い、「あっ、わたくし、もうだめ……」とその場に倒れる者もいた。
「おやおや。大変だね」
リディアはぎょっとするも、メルヴィンは少しも動揺していない。むしろ自分の言動で相手がこうなるのに慣れた様子であった。
「まあ、僕がどうにかできる相手には、昨日の記事の内容は違うって説明しておいたから。安心して、リディア」
(どうにかできる相手って……)
倒れた女子生徒に跪いて手を差し伸べるメルヴィンと、そんな彼をうっとりとした表情で見つめる彼女たち。リディアは一人置き去りにされたような心地で、目の前の光景を眺めていた。
***
「昨日の記事って間違いだったんだな」
「つい信じてしまったわ。ごめんなさい」
「体調壊して留年したんだってね。何か力になれることあったら、言ってね」
教室に入るやいなや、クラスメイトからそう言われ、リディアはびっくりした。同情の眼差しは変わらぬものの、すっかり彼らは昨日の記事を間違いだと受け入れていた。あまりにもあっさりし過ぎていて、リディアはどうも釈然としない。
「ま。そんなもんなんじゃないの? 人の生い立ちなんて」
リディアの悶々と考え込む顔を見て、ロイドがそう言った。
「結局一時の暇つぶしになればいいわけで、事実かどうか深く考える必要なんて赤の他人には関係ないんだよ。間違いなら間違いってことで、楽しむからさ」
「はぁ……」
そういうものなのだろうか。
(というよりも……)
「なあ、それより知ってるか?」
「ああ。マリアン・レライエ嬢のことだろう?」
「たくさんの男を弄ぶだけ弄んで、用済みになったら容赦なく捨てるんだろう?」
「二年生の男はほとんど彼女に惚れてたらしいぞ」
「男性の婚約者だったご令嬢は婚約をなかったことにされたようよ」
「まあひどい……」
リディアの過去よりも、マリアンのことについて話題は持ちきりであった。彼らの興味関心は、庶民の自分よりも、儚げで可憐な貴族のマリアンにもはや移っていた。
「あのお嬢さん。有名人だね」
楽しそうに話すクラスメイトを見てロイドはどこか呆れているようだった。
「でも、どうして今さら……」
「さあ? この前廊下で騒いでいた事件が明るみに出たんじゃない?」
マリアン・レライエ。か弱そうな顔をして、中身は最悪だ。魔女だ。怖い、怖い、と彼らは面白がるように笑って、盛り上がっていた。
(なんだかなあ……)
自分のことが話題にされなくなったのは嬉しいが、代わりにマリアンがあれこれと言われているのはあまりいい気分がしなかった。
「なんだか不満そうだね」
「誰かを種に楽しんでいるのは、変わらないから……」
はぁ、とロイドはため息をついた。
「あんた、ほんとお人好し。忘れたの? あの女によって自分の過去暴露されたんだよ? しかも虚偽のことを書かれてさ。普通ざまあみろって思うでしょ」
「……」
ロイドの言葉にも、リディアは素直に受け入れられなかった。
(だからってこんなの……)
マリアンの話題は、学園中に広まっていた。他のクラスでも、食堂でも、どこにいてもマリアンの話がされていた。
「でね、マリアン様がね……」
(まただ……)
放課後、生徒会室に行く途中でリディアはすれ違う生徒たちの言葉に気が重くなった。
(みんなマリアン様のことばかり……)
そのどれもが彼女を否定的に捉える内容のものだった。婚約者のいる男を奪う魔女。か弱い振りをした悪女。会ったこともない彼女に対して、勝手なイメージが植え付けられていった。
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