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本編(ノーマルエンド)
18、幸せはそんなに長く続かない
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「鼻歌なんか歌って楽しそうだね」
手作りのサンドイッチが入ったランチボックスを抱え、教室を出ようとすると同じくどこかへ行こうとしていたロイド・ハウレスが声をかけてきた。彼は相変わらずリディアの隣席だ。一人でいることを好み、昼時になればさっさとどこかへ行ってしまう。
「ええ。ロイドもまた屋上ですか」
まあね、とそっけない返事がされてもリディアはもうさほど気にならなかった。ロイドはこれでもずいぶんと自分と話してくれるようになったのだ。あの教科書を見せた一件が引き金となったのかわからないが、一言二言ならば自分から話しかけてもくれる。今のように。
(彼なら、セエレとも仲良くなれるかもしれない)
マリアン・レライエという可憐な子もいる。彼だって年頃の男子高校生だ。女の子と仲良くなって嫌なわけがない。
(あ、でもマリアン様は貴族の令嬢で、異性との付き合いには細心の注意を払う必要があるのか……)
貴族って面倒だな、とリディアはため息をついた。そりゃあキャスパーやメルヴィンのように節操なく女性を誑かし、度を越した付き合い方は慎むべきだが、普通に会話するくらいなら認められるべきではないか。
「今度は難しい顔して、忙しない人だね」
「人間考えるのをやめてしまったら脳が死んでいくそうですから」
「何それ」
くだらない話をしながら廊下を歩いていたロイドの足がピタリと止まった。
「ねぇ、あれってあんたを困らせてたやつらじゃないの」
彼の指差した方向には、真っ赤な髪をした背の高い男子生徒と薄茶色の男子生徒が道を塞ぐように突っ立っていた。
「ひっ……」
悲鳴を上げそうになった自分の口をリディアはとっさに塞いだ。
(あ、あの後ろ姿は……)
グレンとメルヴィンである。間違いない。身体が今すぐ逃げろと警告と拒絶反応を示している。
「なんか、取り込み中らしいね」
二人の前には、廊下一杯埋め尽くすように男子生徒が群がっていた。
(また何かやらかしたんだろうな)
考えるまでもない。絶対に面倒な問題だ。関わるべきではない。即刻回れ右をして立ち去るべきだ。
一瞬生徒会長や学園長、理事長といった逆らえない人たちの顔が思い浮かんだが、とても自分の手には負えない。下手したらこっちの命が危ないのだ。誰か先生を呼んで来る方がいい。うん。そうに決まっている。
「ロイド。足音を立てず、こっそりと逃げましょう」
「いや、あんたはともかく、なんで俺まで逃げなきゃいけないの」
「大丈夫です。幸い向こうにはまだ気づかれて――」
「あ、リディアだ!」
廊下に響く元気いっぱいの声。グレンとメルヴィンが振り返り、リディアをとらえた。
(ああ、終わったあああ……)
涙を流すリディアにどしんと何かが体にぶつかった。そして絶望で染まっていく心とは正反対の明るい声が耳に届く。
「今日は遅いなって思って迎えに来たんだ」
「……ナイスタイミングですね。セエレ」
でしょう? とセエレはにこにこと笑みを浮かべていた。グレンたちのいる方向と反対側からのやって来て、体当たり。なぜか馴れ馴れしく腰に手を回してきて、いつもよりも圧倒的に距離間が近かった。ロイドのひいたような視線が痛い。見ているのならばどうか助けて欲しい。
(というか、こんなに気軽に会いに来るなんて……)
周囲の目などまるで気にした様子もなく、セエレは堂々としていた。むしろ目立ってくれと言わんばかりの行動力だ。
「リディア。早くいつものとこ行こうよ」
「セエレ。そんなに騒いだら――」
「おいリディア。そいつら誰だよ」
長い脚であっという間に距離を詰め、グレンがリディアとセエレを問答無用で引き離す。あまりに力が強いのでぐえっと女性としては品の欠ける声が出てしまった。
「お前、俺たちがいない間にこんなに男を誑かしやがって」
「あ、俺は違いますから」
「ねぇ、リディア。こいつら誰?」
三者三様の声に、リディアは勘弁してくれと思った。
「あのですね、そもそも彼らは――」
「おーい、グレン。女性を一人置いていくのはさすがにどうかと思うよ」
戻っておいでと声をかけるのは、メルヴィンだった。彼の方を向きたくないと思いつつ、グレンの鋭い眼光から逃れるようにリディアは視線を向けた。メルヴィンはリディアに気づくと、にこやかに手を振ってくる。
(あれ、あの姿は……)
「マ、マリアン様……?」
手を顔で覆っていた女子生徒が顔を上げる。大きな目を涙で潤ませた可憐な少女は、マリアン・レライエだった。彼女は泣いていた。
「な、なんでマリアン様が泣いているんですか」
リディアはセエレとグレンを押しのけ、マリアンの元へ駆け寄った。彼女の周り、というか後ろには大勢の男子生徒がいた。みなおどおどした様子でマリアンに慰めの言葉をかけていた。リディアもまたその輪の中に加わった。
「マリアン様、大丈夫ですか」
「リディアさん。どうしてあなたがここに……」
「それはこっちの台詞ですよ。どうしてマリアン様が一年生の階に……」
いや、今はそんなことどうでもいいのだ。
「どうして泣いていらっしゃるんですか。あの二人に酷いことでもされたんですか」
動揺していた心が静まり、代わりにふつふつとした怒りが煮え滾ってくる。
「ええー……理由も聞かずに僕たちが悪者にされてしまうの? それはちょっと酷いと思うな」
メルヴィンの文句にも、リディアはキッと睨み返した。お友達になりましょうと、身分に関係なく手を差し伸べてくれたマリアンが泣いている。こんな慈悲深い彼女を悲しませる人間なんて考えるまでもない。
「どうせあなた方が悪いに決まっています。マリアン様を無理矢理にでも昼食に誘おうとして、脅したのでしょう?」
自分の時のように。そこまで考え、リディアははっとした。
「もしかして、今まで彼女をしつこく追いかけ回していたのもあなたたちの仕業ですね?」
「はあ? お前何言ってんだ」
こちらに戻ってきたグレンが呆れたように言った。
「迷惑かけられてんのは、こっちだっつうの。そこの女、毎回俺たちと一緒に食事しようってしつこいのなんの。おまけに断ったら、泣いて縋ってくるわ、後ろの取り巻きがキーキー喚きたてるわで、ほんっといい加減我慢の限界なんだよ」
「は? そっちこそ、何言っているんですか。マリアン様があなたたちみたいな悪魔を昼食に誘うわけないじゃないですか。言い訳するにしても、もう少しましな嘘ついて下さいよ。ね、マリアン様」
リディアがそう言えば、彼女は真っ赤に泣きはらした目でリディアを見上げた。その目になぜか羞恥と敵意のようなものが宿っていて、え、とリディアは思った。
「きみがいかに僕たちのことを信用していないかは置いておくとして、残念ながら本当なんだよ、リディア」
メルヴィンがやれやれと肩を竦めた。
「何度断っても追いかけてくるのは彼女の方さ」
「そ、そんなはず……」
何かの間違いである。こんな悪魔みたいな二人と昼食を共にするなんて。他の女子生徒はあり得ても、マリアンだけは違うとリディアは思いたかった。彼らのせいで涙まで流すなど、信じたくなかった。
「ち、違いますよね? 何かの間違いですよね、マリアン様?」
嘘だと言って欲しかった。自分は泣かされた立場なのだと。
だがマリアンは今まで聞いたことのないような冷たい声でリディアに言ったのだった。
「馴れ馴れしくわたくしの名前を呼ばないで下さい」
ぱしりと乾いた音を立てて、伸ばしかけたリディアの手が振り払われた。ぽかんとするリディアにマリアンは一歩下がり、親の敵かのようにリディアを睨んだのだった。
「あなたのような女性、友人だと思ったことは一度もありませんわ」
手作りのサンドイッチが入ったランチボックスを抱え、教室を出ようとすると同じくどこかへ行こうとしていたロイド・ハウレスが声をかけてきた。彼は相変わらずリディアの隣席だ。一人でいることを好み、昼時になればさっさとどこかへ行ってしまう。
「ええ。ロイドもまた屋上ですか」
まあね、とそっけない返事がされてもリディアはもうさほど気にならなかった。ロイドはこれでもずいぶんと自分と話してくれるようになったのだ。あの教科書を見せた一件が引き金となったのかわからないが、一言二言ならば自分から話しかけてもくれる。今のように。
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(あ、でもマリアン様は貴族の令嬢で、異性との付き合いには細心の注意を払う必要があるのか……)
貴族って面倒だな、とリディアはため息をついた。そりゃあキャスパーやメルヴィンのように節操なく女性を誑かし、度を越した付き合い方は慎むべきだが、普通に会話するくらいなら認められるべきではないか。
「今度は難しい顔して、忙しない人だね」
「人間考えるのをやめてしまったら脳が死んでいくそうですから」
「何それ」
くだらない話をしながら廊下を歩いていたロイドの足がピタリと止まった。
「ねぇ、あれってあんたを困らせてたやつらじゃないの」
彼の指差した方向には、真っ赤な髪をした背の高い男子生徒と薄茶色の男子生徒が道を塞ぐように突っ立っていた。
「ひっ……」
悲鳴を上げそうになった自分の口をリディアはとっさに塞いだ。
(あ、あの後ろ姿は……)
グレンとメルヴィンである。間違いない。身体が今すぐ逃げろと警告と拒絶反応を示している。
「なんか、取り込み中らしいね」
二人の前には、廊下一杯埋め尽くすように男子生徒が群がっていた。
(また何かやらかしたんだろうな)
考えるまでもない。絶対に面倒な問題だ。関わるべきではない。即刻回れ右をして立ち去るべきだ。
一瞬生徒会長や学園長、理事長といった逆らえない人たちの顔が思い浮かんだが、とても自分の手には負えない。下手したらこっちの命が危ないのだ。誰か先生を呼んで来る方がいい。うん。そうに決まっている。
「ロイド。足音を立てず、こっそりと逃げましょう」
「いや、あんたはともかく、なんで俺まで逃げなきゃいけないの」
「大丈夫です。幸い向こうにはまだ気づかれて――」
「あ、リディアだ!」
廊下に響く元気いっぱいの声。グレンとメルヴィンが振り返り、リディアをとらえた。
(ああ、終わったあああ……)
涙を流すリディアにどしんと何かが体にぶつかった。そして絶望で染まっていく心とは正反対の明るい声が耳に届く。
「今日は遅いなって思って迎えに来たんだ」
「……ナイスタイミングですね。セエレ」
でしょう? とセエレはにこにこと笑みを浮かべていた。グレンたちのいる方向と反対側からのやって来て、体当たり。なぜか馴れ馴れしく腰に手を回してきて、いつもよりも圧倒的に距離間が近かった。ロイドのひいたような視線が痛い。見ているのならばどうか助けて欲しい。
(というか、こんなに気軽に会いに来るなんて……)
周囲の目などまるで気にした様子もなく、セエレは堂々としていた。むしろ目立ってくれと言わんばかりの行動力だ。
「リディア。早くいつものとこ行こうよ」
「セエレ。そんなに騒いだら――」
「おいリディア。そいつら誰だよ」
長い脚であっという間に距離を詰め、グレンがリディアとセエレを問答無用で引き離す。あまりに力が強いのでぐえっと女性としては品の欠ける声が出てしまった。
「お前、俺たちがいない間にこんなに男を誑かしやがって」
「あ、俺は違いますから」
「ねぇ、リディア。こいつら誰?」
三者三様の声に、リディアは勘弁してくれと思った。
「あのですね、そもそも彼らは――」
「おーい、グレン。女性を一人置いていくのはさすがにどうかと思うよ」
戻っておいでと声をかけるのは、メルヴィンだった。彼の方を向きたくないと思いつつ、グレンの鋭い眼光から逃れるようにリディアは視線を向けた。メルヴィンはリディアに気づくと、にこやかに手を振ってくる。
(あれ、あの姿は……)
「マ、マリアン様……?」
手を顔で覆っていた女子生徒が顔を上げる。大きな目を涙で潤ませた可憐な少女は、マリアン・レライエだった。彼女は泣いていた。
「な、なんでマリアン様が泣いているんですか」
リディアはセエレとグレンを押しのけ、マリアンの元へ駆け寄った。彼女の周り、というか後ろには大勢の男子生徒がいた。みなおどおどした様子でマリアンに慰めの言葉をかけていた。リディアもまたその輪の中に加わった。
「マリアン様、大丈夫ですか」
「リディアさん。どうしてあなたがここに……」
「それはこっちの台詞ですよ。どうしてマリアン様が一年生の階に……」
いや、今はそんなことどうでもいいのだ。
「どうして泣いていらっしゃるんですか。あの二人に酷いことでもされたんですか」
動揺していた心が静まり、代わりにふつふつとした怒りが煮え滾ってくる。
「ええー……理由も聞かずに僕たちが悪者にされてしまうの? それはちょっと酷いと思うな」
メルヴィンの文句にも、リディアはキッと睨み返した。お友達になりましょうと、身分に関係なく手を差し伸べてくれたマリアンが泣いている。こんな慈悲深い彼女を悲しませる人間なんて考えるまでもない。
「どうせあなた方が悪いに決まっています。マリアン様を無理矢理にでも昼食に誘おうとして、脅したのでしょう?」
自分の時のように。そこまで考え、リディアははっとした。
「もしかして、今まで彼女をしつこく追いかけ回していたのもあなたたちの仕業ですね?」
「はあ? お前何言ってんだ」
こちらに戻ってきたグレンが呆れたように言った。
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「は? そっちこそ、何言っているんですか。マリアン様があなたたちみたいな悪魔を昼食に誘うわけないじゃないですか。言い訳するにしても、もう少しましな嘘ついて下さいよ。ね、マリアン様」
リディアがそう言えば、彼女は真っ赤に泣きはらした目でリディアを見上げた。その目になぜか羞恥と敵意のようなものが宿っていて、え、とリディアは思った。
「きみがいかに僕たちのことを信用していないかは置いておくとして、残念ながら本当なんだよ、リディア」
メルヴィンがやれやれと肩を竦めた。
「何度断っても追いかけてくるのは彼女の方さ」
「そ、そんなはず……」
何かの間違いである。こんな悪魔みたいな二人と昼食を共にするなんて。他の女子生徒はあり得ても、マリアンだけは違うとリディアは思いたかった。彼らのせいで涙まで流すなど、信じたくなかった。
「ち、違いますよね? 何かの間違いですよね、マリアン様?」
嘘だと言って欲しかった。自分は泣かされた立場なのだと。
だがマリアンは今まで聞いたことのないような冷たい声でリディアに言ったのだった。
「馴れ馴れしくわたくしの名前を呼ばないで下さい」
ぱしりと乾いた音を立てて、伸ばしかけたリディアの手が振り払われた。ぽかんとするリディアにマリアンは一歩下がり、親の敵かのようにリディアを睨んだのだった。
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