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47、許し
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その声にブランシュはとっさに振り返ってしまった。
「どうして……」
「どうして、って言われましても……どう思っているかは、相手に直接伝えないと意味がないでしょう?」
いや、そういうことではない。そういうことじゃなくて、とブランシュはマティアスの顔を信じられない様子でまじまじと見上げた。
「それより、もうここへは来ないと約束したはずですが」
ブランシュは呆然としていたが、やがて我に返り、ふいと背を向けて黙り込んだ。彼の問いかけには答えず、硬い声で突き放すように言った。
「あなたこそ、どうしてまだここにいるの。何か忘れ物でもしたのかしら」
だとしたら、わざわざブランシュのもとへ会いに来るなんて、なんて残酷なことをするのだろう。
(行くなら、早く行って……)
また涙があふれそうになり、必死にブランシュは堪えようとする。
(早くっ、そうしないと……)
かさりと草を踏む音が聞こえたかと思うと、そっと身体が温もりで包まれる。
「忘れ物なんて、していません。用事が済んだので、家へ帰ってきたんです」
マティアスに背中から抱きしめられたブランシュは、彼の言葉にもう一度身体を震わせた。
「うそよ……」
「いいえ、本当です」
「だって、だってあなたはっ……」
彼女は声にならない悲鳴を上げ、我慢していた涙がとうとう頬を伝った。
「泣いているんですか」
「泣いていないわっ」
涙声で反論しても、ちっとも説得力がなく、マティアスが笑ったのがわかった。ぎゅっと身体を触れ合わせ、指先が頬をくすぐる。
「ほら。やっぱり泣いている」
子どものように首を振って彼の拘束から抜け出そうともがくも、顔を振り向かされ、無理矢理唇を重ねられた。
「やっ、んぅっ」
容赦なく舌を入れられ、抵抗する気力を奪われる。貪るように口づけしてようやく気が済んだのか、唇が離れていく。赤い目をして睨むブランシュに、機嫌を取るようにマティアスは目元や頬にキスをした。
「少しは落ち着きましたか」
「あなた……滅茶苦茶よ」
「貴女も同じだと思いますが」
同じじゃない、とブランシュは彼の肩口に顔を埋めながら弱々しく胸を叩いた。
「わたくしはもっと、滅茶苦茶よ。あなたを手に入れるために、たくさんの人を不幸にさせたんだからっ……!」
「そうですね」
あやすように背中をとんとんと叩かれ、彼女は苛立ちともどかしさで顔を上げた。
「もういいわ。もう十分よ。あなたはわたくしのことなんて気にかけないで、あなたの幸せを追いかけてよ……!」
これ以上惨めな気持ちにさせないでほしかった。
「私は貴女のもとにいてはいけないんですか」
「あなたがそばにいたいのはエレオノール様のところでしょ!」
彼はブランシュがエレオノールの名を口に出しても驚かなかった。じっと何かを見定めるように癇癪を起すブランシュを見るだけだ。
「私が彼女のもとへ行ってもいいんですか」
「いいわけないじゃない!」
「どっちなんですか」
「いいか悪いか聞かれたら、嫌に決まっている。だから、わたくしが知らないうちに、逃げてほしかったのっ……」
堰を切ったようにブランシュは自分の気持ちを吐露してしまう。
「あなたが好きよ。大好きよ。誰にも渡したくない。エレオノール様のところへなんて、行って欲しくない。ずっとわたくしのそばにいて欲しい。嫌っていてもいいから、夫でいて欲しい。あなたの妻でいたいの。でも、それじゃあきっとあなたは幸せになれない。だから……だから、どうすればいいかわからないのっ……!」
また泣いてしまうブランシュをマティアスはしばらく眺めていたが、やがて今度は正面から抱き寄せて、涙で濡れたブランシュの目をじっと覗き込んでくる。
「貴女は、私のそばにずっといたいんですね」
囁くように、彼が問いかける。
「……ええ」
「なら、ずっと私のそばにいてもらいます」
離れようとしても、マティアスは許さなかった。ブランシュの涙で彼の服が濡れる。
「責任をとってください。以前そう告げたのに、もう忘れてしまったんですか」
「忘れてなんか、いないわ……」
それを支えに、彼に縋っていたのだから。
「責任を取らなくちゃならないっていう理由があったから……ずっとあなたのそばにいられると思った。でも、エレオノール様がこちらへ戻ってきたと聞いてから……あなたは彼女と会って、もう二度とわたくしのもとへは戻ってこないと思ったの」
「貴女と離婚して、私がエレオノールと再婚するとでも考えたんですか」
こくりと頷けば、彼ははぁと深いため息をついた。
「酷い誤解だ。貴女は私を全く信用していなんですね」
「そういうわけじゃ……」
「エレオノールとは、ただ話をしただけです」
二人は顔を見合わせる。ブランシュの目は警戒したようにマティアスを見つめていた。
「それだけ?」
「ええ、それだけです」
「そんなはずないわ」
元恋人だ。何もないはずがない。
「本当です。何ならこれから、直接彼女に確かめに行きますか。ああ、彼女のメイドも一緒にいましたから、その方に聞いてもらってもいいですよ」
「……本当なの?」
「さっきからそう言っています」
ややうんざりしたように言われ、ブランシュも少々気まずくなる。
「だって、彼女の夫は許したと聞いて……」
「話をするだけから許してくれたんです。メイドがそばにいる、という条件付きでしたが」
ブランシュはどうやら自分の勘違いだとじわじわ突きつけられ、何とも居たたまれない心地になる。
「ごめんなさい。わたくし、あなたたちのことを疑ってしまったわ」
「……まぁ、私たちの以前の関係を踏まえれば、疑ってしまうのも無理はありませんが……でもそれならどうして――」
マティアスは項垂れるブランシュの顔を上げさせる。
「私を引き留めてくれなかったんですか」
ブランシュが何も言わなかったことを、マティアスは怒っているように見えた。
「だって……」
「だって?」
「怖かったもの」
行かないで、と縋っても、貴女には関係ないことでしょうと振り払われることが。私がずっと好きだったのはエレオノールだったから、と突きつけられることが。
「以前の貴女はどんな手段を使ってでも、私を引き留めたでしょう」
「もう、前のわたくしじゃないもの」
一緒にしないで、とブランシュは安堵のあまり腹立たしくなり、マティアスの胸に顔を埋めた。
「わたくしは以前のブランシュとは違う! わたくしはあなたの幸せを願いたいの。今度こそ、幸せになって欲しくて、だからっ……!」
我慢したのに。諦めようと思ったのに。
「それなのにあなたはっ……わたくしがどんな思いでっ……」
自分に怒る資格なんてこれっぽっちもないのに、ブランシュは言わずにはいられなかった。マティアスはそんなブランシュにされるがまま、強く抱きしめた。
「わかっています。でもこれからは……ちゃんと引き留めてください。今みたいに、私に自分の気持ちをぶつけてください」
抱きとめてくれた彼にブランシュはしゃっくりをあげながらも頷く。
「疑って、ごめんなさいっ。それと……ありがとう」
自分のもとへ戻って来てくれて。これからも一緒にいてくれると約束してくれて。
「貴女みたいな面倒で厄介な人は、私くらいしか相手にできませんから」
もと王女に対してなんて失礼な言い方であろう。
(でも、わたくしもそう思う……)
一人で勝手に決めつけて、ぐちぐち悩んで、悲劇のヒロインを気取って……本当に穴があったら入りたい。見捨てず律儀に付き合ってくれるのはマティアスくらいだろう。
「私のこと、泣くくらい、想ってくれていたんですね」
顔を見せてと言われ、恥ずかしくも素直に従う。目元を撫でる手つきは優しく、呆れているのに甘い響きを持ってブランシュに語りかける。
「もし私がエレオノールと一緒になったら、貴女はどうしたでしょうね」
「そんなこと、考えたくない」
また涙を浮かべるブランシュにマティアスは目を細め、目元に唇を押し当てた。彼女はどうしてこんなことするのだろうと思いながら、彼の好きにさせる。
「目が真っ赤だ。可哀想に」
「あなたのせいよ」
「ええ。私のせいです」
「……こんな醜態を晒すのは、あなたの前くらいだわ」
「それほど、私のことを想っていると?」
「そうよ。あなたが好きなのよ……!」
何度も言わせないで、と恥ずかしくなる。マティアスはさぞ良い笑みを浮かべていると思ったが、どこかほっとしているように見えた。
「貴女は私から強請らなければちっとも言ってくれないじゃありませんか」
「言えるはず、ないでしょう」
「じゃあ、これからは言ってください」
いいですね、と額を合わせて約束させられる。ブランシュはまた目を潤ませながらも、しっかりと頷いた。
(あなたが許してくれるなら、何度でも言うわ)
「どうして……」
「どうして、って言われましても……どう思っているかは、相手に直接伝えないと意味がないでしょう?」
いや、そういうことではない。そういうことじゃなくて、とブランシュはマティアスの顔を信じられない様子でまじまじと見上げた。
「それより、もうここへは来ないと約束したはずですが」
ブランシュは呆然としていたが、やがて我に返り、ふいと背を向けて黙り込んだ。彼の問いかけには答えず、硬い声で突き放すように言った。
「あなたこそ、どうしてまだここにいるの。何か忘れ物でもしたのかしら」
だとしたら、わざわざブランシュのもとへ会いに来るなんて、なんて残酷なことをするのだろう。
(行くなら、早く行って……)
また涙があふれそうになり、必死にブランシュは堪えようとする。
(早くっ、そうしないと……)
かさりと草を踏む音が聞こえたかと思うと、そっと身体が温もりで包まれる。
「忘れ物なんて、していません。用事が済んだので、家へ帰ってきたんです」
マティアスに背中から抱きしめられたブランシュは、彼の言葉にもう一度身体を震わせた。
「うそよ……」
「いいえ、本当です」
「だって、だってあなたはっ……」
彼女は声にならない悲鳴を上げ、我慢していた涙がとうとう頬を伝った。
「泣いているんですか」
「泣いていないわっ」
涙声で反論しても、ちっとも説得力がなく、マティアスが笑ったのがわかった。ぎゅっと身体を触れ合わせ、指先が頬をくすぐる。
「ほら。やっぱり泣いている」
子どものように首を振って彼の拘束から抜け出そうともがくも、顔を振り向かされ、無理矢理唇を重ねられた。
「やっ、んぅっ」
容赦なく舌を入れられ、抵抗する気力を奪われる。貪るように口づけしてようやく気が済んだのか、唇が離れていく。赤い目をして睨むブランシュに、機嫌を取るようにマティアスは目元や頬にキスをした。
「少しは落ち着きましたか」
「あなた……滅茶苦茶よ」
「貴女も同じだと思いますが」
同じじゃない、とブランシュは彼の肩口に顔を埋めながら弱々しく胸を叩いた。
「わたくしはもっと、滅茶苦茶よ。あなたを手に入れるために、たくさんの人を不幸にさせたんだからっ……!」
「そうですね」
あやすように背中をとんとんと叩かれ、彼女は苛立ちともどかしさで顔を上げた。
「もういいわ。もう十分よ。あなたはわたくしのことなんて気にかけないで、あなたの幸せを追いかけてよ……!」
これ以上惨めな気持ちにさせないでほしかった。
「私は貴女のもとにいてはいけないんですか」
「あなたがそばにいたいのはエレオノール様のところでしょ!」
彼はブランシュがエレオノールの名を口に出しても驚かなかった。じっと何かを見定めるように癇癪を起すブランシュを見るだけだ。
「私が彼女のもとへ行ってもいいんですか」
「いいわけないじゃない!」
「どっちなんですか」
「いいか悪いか聞かれたら、嫌に決まっている。だから、わたくしが知らないうちに、逃げてほしかったのっ……」
堰を切ったようにブランシュは自分の気持ちを吐露してしまう。
「あなたが好きよ。大好きよ。誰にも渡したくない。エレオノール様のところへなんて、行って欲しくない。ずっとわたくしのそばにいて欲しい。嫌っていてもいいから、夫でいて欲しい。あなたの妻でいたいの。でも、それじゃあきっとあなたは幸せになれない。だから……だから、どうすればいいかわからないのっ……!」
また泣いてしまうブランシュをマティアスはしばらく眺めていたが、やがて今度は正面から抱き寄せて、涙で濡れたブランシュの目をじっと覗き込んでくる。
「貴女は、私のそばにずっといたいんですね」
囁くように、彼が問いかける。
「……ええ」
「なら、ずっと私のそばにいてもらいます」
離れようとしても、マティアスは許さなかった。ブランシュの涙で彼の服が濡れる。
「責任をとってください。以前そう告げたのに、もう忘れてしまったんですか」
「忘れてなんか、いないわ……」
それを支えに、彼に縋っていたのだから。
「責任を取らなくちゃならないっていう理由があったから……ずっとあなたのそばにいられると思った。でも、エレオノール様がこちらへ戻ってきたと聞いてから……あなたは彼女と会って、もう二度とわたくしのもとへは戻ってこないと思ったの」
「貴女と離婚して、私がエレオノールと再婚するとでも考えたんですか」
こくりと頷けば、彼ははぁと深いため息をついた。
「酷い誤解だ。貴女は私を全く信用していなんですね」
「そういうわけじゃ……」
「エレオノールとは、ただ話をしただけです」
二人は顔を見合わせる。ブランシュの目は警戒したようにマティアスを見つめていた。
「それだけ?」
「ええ、それだけです」
「そんなはずないわ」
元恋人だ。何もないはずがない。
「本当です。何ならこれから、直接彼女に確かめに行きますか。ああ、彼女のメイドも一緒にいましたから、その方に聞いてもらってもいいですよ」
「……本当なの?」
「さっきからそう言っています」
ややうんざりしたように言われ、ブランシュも少々気まずくなる。
「だって、彼女の夫は許したと聞いて……」
「話をするだけから許してくれたんです。メイドがそばにいる、という条件付きでしたが」
ブランシュはどうやら自分の勘違いだとじわじわ突きつけられ、何とも居たたまれない心地になる。
「ごめんなさい。わたくし、あなたたちのことを疑ってしまったわ」
「……まぁ、私たちの以前の関係を踏まえれば、疑ってしまうのも無理はありませんが……でもそれならどうして――」
マティアスは項垂れるブランシュの顔を上げさせる。
「私を引き留めてくれなかったんですか」
ブランシュが何も言わなかったことを、マティアスは怒っているように見えた。
「だって……」
「だって?」
「怖かったもの」
行かないで、と縋っても、貴女には関係ないことでしょうと振り払われることが。私がずっと好きだったのはエレオノールだったから、と突きつけられることが。
「以前の貴女はどんな手段を使ってでも、私を引き留めたでしょう」
「もう、前のわたくしじゃないもの」
一緒にしないで、とブランシュは安堵のあまり腹立たしくなり、マティアスの胸に顔を埋めた。
「わたくしは以前のブランシュとは違う! わたくしはあなたの幸せを願いたいの。今度こそ、幸せになって欲しくて、だからっ……!」
我慢したのに。諦めようと思ったのに。
「それなのにあなたはっ……わたくしがどんな思いでっ……」
自分に怒る資格なんてこれっぽっちもないのに、ブランシュは言わずにはいられなかった。マティアスはそんなブランシュにされるがまま、強く抱きしめた。
「わかっています。でもこれからは……ちゃんと引き留めてください。今みたいに、私に自分の気持ちをぶつけてください」
抱きとめてくれた彼にブランシュはしゃっくりをあげながらも頷く。
「疑って、ごめんなさいっ。それと……ありがとう」
自分のもとへ戻って来てくれて。これからも一緒にいてくれると約束してくれて。
「貴女みたいな面倒で厄介な人は、私くらいしか相手にできませんから」
もと王女に対してなんて失礼な言い方であろう。
(でも、わたくしもそう思う……)
一人で勝手に決めつけて、ぐちぐち悩んで、悲劇のヒロインを気取って……本当に穴があったら入りたい。見捨てず律儀に付き合ってくれるのはマティアスくらいだろう。
「私のこと、泣くくらい、想ってくれていたんですね」
顔を見せてと言われ、恥ずかしくも素直に従う。目元を撫でる手つきは優しく、呆れているのに甘い響きを持ってブランシュに語りかける。
「もし私がエレオノールと一緒になったら、貴女はどうしたでしょうね」
「そんなこと、考えたくない」
また涙を浮かべるブランシュにマティアスは目を細め、目元に唇を押し当てた。彼女はどうしてこんなことするのだろうと思いながら、彼の好きにさせる。
「目が真っ赤だ。可哀想に」
「あなたのせいよ」
「ええ。私のせいです」
「……こんな醜態を晒すのは、あなたの前くらいだわ」
「それほど、私のことを想っていると?」
「そうよ。あなたが好きなのよ……!」
何度も言わせないで、と恥ずかしくなる。マティアスはさぞ良い笑みを浮かべていると思ったが、どこかほっとしているように見えた。
「貴女は私から強請らなければちっとも言ってくれないじゃありませんか」
「言えるはず、ないでしょう」
「じゃあ、これからは言ってください」
いいですね、と額を合わせて約束させられる。ブランシュはまた目を潤ませながらも、しっかりと頷いた。
(あなたが許してくれるなら、何度でも言うわ)
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